「“Re”claimed(リクレイムド)=廃品の再利用」や「“Re”product(リプロダクト)=再現」をコンセプトに掲げ、アメリカの古材をメインに世界中の魅力的なインテリアマテリアルを輸入・販売している『GALLUP』。前編では、お店ができるまでのストーリーや仕入れへのこだわり、“RE”の想いが込められた2つのコンセプトについてうかがいました。後編では、“古いモノ” の魅力や、 生活へのインテリアマテリアルの取り入れ方、誰でも楽しめるようなお店づくりへのこだわりを探っていきます。
経年変化がつくり出す深い風合い
長い歳月を積み重ねることで、独特の味わい深い風合いが生まれた古材や金物などのアイテム。その味わいは、生活に取り入れることでもっと深く楽しめるようになるとか。“古いモノ”の質感に秘められた奥深い魅力とは、いったいどんなものなのでしょうか。
- GALLUP
- 古材や金物などのアイテムの“古さ”が持つ魅力は、時間を経ることで生まれた凹凸やムラ感など、人工的にはつくれない味わい深さ。人の手で加工すると、どうしても色や模様などの主張が強くなるんですけど、経年変化による風合いには、わざとらしさがなくて優しい印象があるんですよね。例えば、店内では、床材の一部に約100年前に建てられたウイスキー工場の木材を使っています。この趣深さは、長い歳月を経ることでしか出ません。床や梁、棚など、古材や古い金物を使って生まれる空間や家具は、いつも目に触れる身近なもの。日々の生活の中で、自分で選んで手を入れた部分を見るたび、きっと愛着が深まっていくはずです。
ウイスキー工場で使われていた古材を、店内の床材に。自然に生まれた味わい深い雰囲気が漂う。
何をつくるか、どう使うかは自分次第
『GALLUP』の店内には、経年変化により、唯一無二の魅力が宿ったアイテムが並びます。素敵なインテリアマテリアルに出会ったときは、どのように生活に取り入れたらよいのでしょうか。
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- インテリアマテリアルの面白いところは、何をつくるか、どう使うかを自由に考えられる点。まずはつくるものをはっきり決めずに、「いいな」と感じられるアイテムを探して、それをどう使うかを考えてみるのも楽しいですよ。『GALLUP』では、初心者のお客様向けに、お手頃な小さい端材も用意しています。釘を打って木枠にしたり、塗料を塗って看板にしたり、簡単なものでいいので、自分の手で何かをつくってみて、その楽しさを味わってもらえたらうれしいですね。ほかにも、手軽に使える木箱やフックなどの雑貨も用意しています。例えば木箱だったら、そのまま本棚にしたり、重ねてラックにしたり。少し手を加えて、底を抜いて電球を入れればおしゃれなランプシェードにもなります。気になったアイテムを手にとってみて、「これをどんな風に使おうかな……」と考えて、工夫していくうちに、どんどん面白くなってくるんですよね。
誰でもインテリアマテリアルを楽しめる場に
『GALLUP』には、それまでDIYの経験がなかった人も多く訪れます。たまたまお店に立ち寄ったことがきっかけで、空間や家具をつくる面白さに引き込まれ、常連になる人も多いそうです。最後に、知識や経験の有無に関わらず、さまざまな人を魅了している『GALLUP』のお店づくりへのこだわりを聞きました。
- GALLUP
- 『GALLUP』では、それまでDIYの経験がない人が訪れても楽しめる場づくりを心がけています。例えば店内の空間は、遊び心をくすぐる倉庫をイメージしたもの。中目黒の店舗では、打ちっぱなしのコンクリートがあったり、エッジの効いた輸入雑貨をショーウィンドウに並べて道行く人の目にとまるように工夫をしたり、時代や土地柄に合わせて都会らしさも加えています。実は、立地にもこだわりがあって。どの店舗も「駅から少し遠いところ」に店を構えるようにしているんです。というのも、実際にアイテムを購入してDIYをはじめるとなったら、つくりたいものに合わせて資材をカットしたり、塗料の使い方をご説明したりと、お客様とじっくりとコミュニケーションをとりたい場面も多いんですよね。せっかく気に入ったアイテムを見つけてもらったからには、つくりたいもののイメージをちゃんと汲み取って、実際に使いやすいかたちで商品をお渡ししたい。だから、駅前の喧噪から少し離れた場所に店を置くことで、落ち着いた雰囲気の中、ゆったりと商品を吟味し、なんでも相談できる環境にこだわりました。
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- 『あるとき、通りすがりに来店くださった女性のお客様がいました。なんとなく店内を眺めている中で気になった古材があったらしく、「どんな風に使ったらいいんですか」とその場でいろいろと尋ねてきてくれて。2度目の来店でその古材をご購入いただき、3度目で塗料を、4度目に新たな古材を買い足して……と、次第にDIYにのめり込んでいく過程に寄り添えたのはうれしかったですね。まずは気軽にお店に来てもらい、実際に自分の目で見て、手で触れて、使ってもらう。この体験をより多くの人に提供して、インテリアマテリアルの面白さを伝えていきたいと思っています。もともと私たちの原点は、アメリカで目にして心惹かれたアイテムを使って、古着屋の内装をつくっていたこと。ずっと前からインテリアマテリアルに魅せられ、楽しんできた私たちだから伝えられることがあると思うんです。これからもその魅力を発信し続けていきたいですね。
『GALLUP』の「“Re”claimed(リクレイムド)=廃品の再利用」や「“Re”product(リプロダクト)=再現」という2つのフィルターを通り、新しい息が吹き込まれたインテリアマテリアルは、歳月を経て生まれた風合いとストーリーを持つ唯一無二のもの。巡り会えたお気に入りのアイテムは、自分の手を加えたり実際に暮らしの中に取り入れることでもっと愛着が深まっていくはず。『GALLUP』はその過程に親身に寄り添ってくれる存在。気になった方は一度足を運んでみてはいかがでしょうか。