No.00
どんなスタイルにも染まってくれる、白いキャンバスのような家。「No.00」は、好みや暮らしに合わせて自由にデザインできる、プレーンで柔軟な“自分らしい家”の出発点となるDoliveのオリジナル住宅です。
DATE 2025.10.28

どんなスタイルにも染まってくれる、白いキャンバスのような家。「No.00」は、好みや暮らしに合わせて自由にデザインできる、プレーンで柔軟な“自分らしい家”の出発点となるDoliveのオリジナル住宅です。
小沢さんが長野県上田市で営むセレクトショップ『EDISTORIAL STORE』は、“雑誌の3D化”を掲げるお店。「雑誌には厚い号も薄い号もある」という編集感覚をそのまま空間に持ち込み、アイテムや企画の密度に応じて“空間の濃度”を可変させています。毎号ちがう物撮りページのように商品の置き方を変えるべく、什器は基本すべてタイヤ付き。必要に応じてレイアウトを日々更新します。いわば“雑誌の特集が変わるように”空間がアップデートされるお店は、スタイリストでもある小沢さんならではのアイデアです。
スタイリストは「与えられた最低条件をどう最上にするか」を考える仕事。小沢さんは、店づくりも家づくりも同じ視点で語ります。
物件の条件や内装費といった制約の中で、どう空間を仕立てるか。ここにもスタイリスト的発想が通底します。小沢さんが挙げたキーワードのひとつが「テンポラリー」。合板を使った壁や天井はそのイメージの一つで、ニューヨークの閉店した店舗の板張りから着想を得て、テンポラリーな要素を取り込んだと言います。
その他に参考にしたのは、インテリアデザイナー・倉俣史朗のアトリエや、1980年代のイッセイ ミヤケの店舗写真など。同時代を共有する内装チーム『GOO FACTORY』には、こうしたリファレンスを見せるだけでムードが即共有できたそうです。
「努力しなくても心地よいのがいちばん。きっちり片づける前提の家ではなく、散らかっていても不快じゃない状態をどう設計するか」と話す小沢さん。この考えから「No.00」のデザインを発想していきました。そして、大の服好きである小沢さんが掲げたテーマは、「ウォークインクローゼットの中で暮らす」こと。
壁をぐるりとハンガーポールとシェルフで囲うワンルーム。あえて見えている状態をつくることで、探し物が減り、服のコンディション管理もしやすくなります。床はグレージュ系のカーペットにして、ほこりが目立ちにくく。「完璧に隠す収納」よりも、“ちょうどいい”適当さで回る暮らしこそリアルだと、小沢さんは話します。
外観で小沢さんが第一に考えるのは、「街に溶け込む」こと。イメージしたのは、天井高のある広いワンフロアの平屋です。外壁の素材は、周辺の景観になじむなら問わないそうです。
「注文住宅でも、細部をすべて自分で決めるより、適切な業者に任せるところは任せる。外壁も同じです。」
とはいえ、基準は明確です。断熱性やメンテナンス性など実用性に優れた素材を選ぶこと。さらに衣類の紫外線ダメージを抑えるため、大きな窓などは北向きに計画します。大声で主張しない外観に、暮らしの合理性と服への気遣いを静かに織り込む。そんなバランスに、小沢さんらしさが詰まっています。


壁面にぎっしりと収納された衣類。天井高だから、上には普段使わないグッズも置くことができます。2年ぶりに思い出したシャツも、こんな風に視界に入ればすぐ見つかるはずです。

靴のまま歩ける導線を設ければ、靴のまま鏡前に立つ、スタイリングチェックも簡単に。素材はモップで掃除が可能なイージーケアな素材に。

素材はお任せと話す小沢さんにDoliveが提案するこの素材。カラーや形状のバリエーションが多いため、町並みに溶け込みやすく、耐久性や熱反射性などの機能性にも優れています。
「No.00」は、信頼できる基礎があるからこそ、プリフィックスコースのように前菜やメインを選ぶ感覚で、自分の“味付け”ができる。そう小沢さんは例えます。
「ある程度ルールがあるからこそ、その中で自由に遊べる。しかも家は何度も建てられないから、選択肢を可視化して試せるシミュレーションアプリも便利だと思います。」
冒頭の「与えられた最低条件をどう最上にするか」という言葉は、「No.00」のデザインを考えてもらったあとも余韻として残ります。Doliveの家づくりも同じく、大きな箱という枠組みの中に自分の“好き”をどう当てはめ、どうデザインするかがテーマ。
きっちり片付けた整った美しさより、少し散らかったまま心地よい環境をどう設計するか。見せる収納とイージーケアのバランス、街との接点の作り方。「No.00」を舞台にした、小沢さんらしいスタイリングの家ができあがりました。

スタイリスト/EDISTORIAL STORE 店主
1964年、長野県上田市生まれ。雑誌『POPEYE』の編集アシスタントを経てスタイリストに。2022年、地元・上田に『EDISTORIAL STORE』をオープン。「雑誌の3D化」を掲げ、アパレルのデッドストックを“LIVE STOCK”として編集・販売する独自の取り組みを続ける。
Illustration/ 五味健悟 Edit, Text/ 中島直樹