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DATE 2017.01.25

乾物の“RE”/「DRY and PEACE」〜前編〜

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前編では、「Reduce(リデュース)=ゴミそのものを減らす」という考え方の一つとして、乾物の手軽で美味しい楽しみ方を提案し、世の中に広める活動をしている「DRY and PEACE」の“RE”のかたちについてお伺いしました。後編では、生活の中にどのように乾物を取り入れられるか、その方法やコツについて迫っていきたいと思います。
※上の写真:酢水につけてから干したれんこん・ビーツ・生姜

室内でも簡単につくれる

「乾物を生活の中に取り入れる」と言われても、具体的なイメージが掴めない……と、思うかも知れませんが、家でも手軽にできる「乾物のつくり方」についてお話をうかがいました。

田平

「乾物をつくる」って、難しそうなイメージがあると思うんですが、実際は、切って干すだけ。だから、すごく楽なんですよ。

サカイ

私たちは「外で干さなくてもいい」という提案もしています。せっかく食べものを無駄にしないように干しているのに、途中で雨がふってダメになってしまうこともあるし、道路沿いの家で空気の汚れが気になるという場合だってある。だから、「室内で干す」という実験もやってみたんです。その結果、特に問題がないことがわかりました。

田平

例えばリンゴ。食べきれなくて余ったものを塩水につけてから干します。1週間くらい経つと、甘みがギュッと凝縮されていて、なんとも言えない味わいになりますよ。

サカイ

講座やイベントでは「あえて乾物をつくろう!ではなく、まとめて買った野菜の中からこれはここ2〜3日で使えそうだという分だけ冷蔵庫に入れておいて、残りはすぐに乾物にしちゃいましょう」と話しています。野菜を買ってきて仕分けをするときに、「冷蔵庫用」と「乾物用」に分けてしまうんです。例えば、椎茸。長く留守にするときに冷蔵庫に入れっぱなしだと黒くなってしまう椎茸も、ざるなどに載せて冷蔵庫から出して広げておけば乾物として使うことができます。冷蔵庫に頼りすぎない暮らしを心がけることは食べ物を無駄にしない「Reduce」にもつながりますよね。

知っておきたい乾物づくりのコツ

「難しそう」というイメージとは裏腹に、実は手軽につくれてしまう乾物。さらに、つくる上でのコツや注意すべきポイントも教えていただきました。

サカイ

乾物は、1年中つくることはできますが、最も適した季節は空気が乾燥している冬なんです。ただ、室内で干す場合、湿度が高いと乾きにくくなるので、加湿器には注意してください。梅雨どきや台風シーズンなどの湿気が多い時期は避けた方がいいですね。あとは干しはじめのお天気もポイントです。晴天の日から干しはじめると、1日目に一気に乾いて失敗しにくいですよ。それから、大根なら千切りにしたり、薄く輪切りにすることで空気に当たる面積を増やしてあげてください。例えば、冬に切り干し大根をつくるなら、天候や湿度、切り方にもよりますが、3日〜1週間くらいが目安になります。

田平

もちろん、乾かしきらずに半干しのまま、途中で食べちゃってもいいんですよ。これも食べものを無駄にしない乾物ならではの使い方のひとつ。つくる過程でいろいろな味が楽しめるし、保存もできるという意味でも、食が豊かになりますよね。

サカイ

椎茸、シメジ、ピーマン、パプリカ、ネギ、白菜、ニンジン、大根、赤大根、紫タマネギ、長イモ、カボチャ、オクラ、ナス、れんこん、ズッキーニ、ショウガ、ミョウガ、リンゴ……などなど、大概のものはできますが、ナスやれんこんなどアクの強い野菜は、酢水に浸けてから干すときれいに干しあがります。いちばん簡単なのはエノキ。失敗しにくい上に、もどさず汁物に入れてすぐ使え、シャキシャキ感がクセになる!と実践してくれる方が多いです。

乾物の楽しみ方いろいろ

聞けば聞くほど魅力がたくさん見つかる乾物。乾物ならではの楽しみ方は前編で紹介したヨーグルトでもどす方法の他に、どんなものがあるのでしょうか。

赤大根と大根おろしの和え物

干しきのこのパスタ

乾物スープキット

田平

乾物の魅力は“色”にもあります。例えば、赤い大根はとてもキレイな赤になるんです。お酢が入っているドレッシングなどを混ぜ合わせるとさらに鮮やかになる。こんな風に、お店で売っていないような乾物も自分で簡単につくれますから楽しいですよ。

サカイ

乾物をパスタと一緒に茹でてしまうのもいいですよ。茹でている間に乾物が戻り、その旨味をパスタが吸うんです。パスタと具材を別々に茹でなくて良いので、手間も省けます。他に、炊き込みご飯もおすすめですね。例えば、切り干し大根をお米を炊くときに加えるだけでもいいですし、乾物と一緒にベーコンや鶏肉と炒めながら脂や旨味を吸わせて、お米の上に載せて炊いても美味しい。乾物って、本当に気軽に楽しめるんです。

田平

あとはオートミールや煎り大豆、ドライフルーツ類などをヨーグルトに入れて一晩おいておくだけで、翌朝の朝食ができてしまう。これは、栄養価も高くて美味しいレシピです。

サカイ

いろいろな乾物をミックスして、オリジナルのスープキットをつくっている方もいますね。忙しい朝や、帰りが遅くなったときでも、お鍋で15分ほどコトコト煮れば、簡単にお味噌汁やスープがつくれる。包丁もまな板も必要ないし、ゴミも出ない。その上、洗い物の水も節約できる。広い意味で「Reduce」にもつながるし、この簡単さのおかげで、食事をつくる気にもなれるんですよね。こんな風に乾物をくらしの中で活かしてもらえたら、と思っています。

現在も、講座や研修会、イベントなどを開催し、乾物の魅力を広める活動を続けている「DRY and PEACE」。実はとっても使いやすくて美味しい。その上、無駄なゴミを減らすことまでできる“Re”duce。それが「DRY and PEACE」の“RE”でした。次はどんな“RE”に出会えるのか……次回の更新をお楽しみに。

●PROFILE:DRY and PEACE

長年にわたり食や料理にまつわる研究を重ねてきたサカイ優佳子さん(左)と田平恵美さん(右)が2013年に「乾物で世界をもっとPEACEに!」というメッセージを掲げて発足。2015年には乾物をヨーグルトでもどす方法を発表して話題に。テレビ、雑誌、ワークショップなどで精力的に活動している。
公式サイト:https://www.dryandpeace.com/