Dolive Doliveってなに?

松尾忠尚,ジャーナルスタンダード,Jeep DATE 2022.11.17

ファッションの感覚を、内装やインテリア選びにも。収納にこだわったアメリカンテイストの一軒家

セレクトショップ・ジャーナルスタンダードでディレクターを務める松尾忠尚さん。一軒家を新築しようと考えたきっかけは、洋服やアウトドア用品といった趣味の品が賃貸の収納ではまかないきれなくなったから。自分たちの暮らしに沿うように収納できることを大事に考え、家づくりをスタートした松尾さんから家づくりの方程式を紐解きます。

今回は「Dolive」とJeepのライフスタイル・ウェブマガジン「RealStyle by Jeep®」とのコラボレーション企画。
Jeepの永遠のテーマである自由、冒険、本物をテーマにさまざまな切り口でコンテンツ展開している「RealStyle by Jeep®」では、松尾さんとJeepとのライフスタイルのインタビューがご覧いただけます。

家づくりの方程式
収納にこだわった
切妻屋根の一軒家
西海岸をベースに
国籍やテイストをMIX
ファッションも、車も、
機能美を愛す

仕事柄世界中をめぐり、さまざまなモノに目を向けてきた松尾さん。とくにアメリカへの思い入れは強く、影響を特に受けたのは西海岸。マイホームのデザインをパシフィックファニチャーに依頼したのもそうした好みと合致する点が多かったからだといいます。

「細かなことまで意見をすり合わせながら、じっくりと進めていきました。こちらの意向を何でも汲んでくれるわけでなかったことが、むしろよい家づくりにつながりましたね」

そうして、家の主役になったのは、玄関を入ってすぐの収納庫。そこは収納でありながら、もちろん玄関でもあり、寝室やバスルームにつながる廊下でもある。居住空間を大胆に削ってまでしつらえた不思議な空間は、まさにこの家の象徴。松尾さんがまずこだわったのは、家族みんなで使う“共用部”でした。

収納にこだわった、切妻屋根の一軒家
 

方程式
1

玄関を入ってすぐは、大きな玄関とも、広々した廊下とも、趣味の品を収納する倉庫ともつかない不思議な空間。グレーのタイルが敷き詰められた土間を奥へ抜けると、堂々と存在感放つ鉄骨の階段があり、その脇には、バックパックや寝袋、ブーツをはじめとするアウトドア用品がびっしり格納されています。その様子は、アウトドアショップさながら。

以前の住まいでは、収納が手狭だったことから、アウトドア用品や洋服、靴といったもののストレージは必須条件だったとか。

ひとくちに“収納”といっても、いわゆる押入れやクロゼットといった“閉じた収納”を選ばず、空間の一部を収納“にも”使える設計に。こうして、1階部分は、玄関と廊下と収納が一体となったユニークな空間になりました。

「無駄の多い家でしょう?」と階段を上がりながら笑う松尾さん。「スタイルのある家にしたくて」と続けます。

屋根は抜けがあって空間を広く感じられるよう切妻屋根に。無理に高さを出さなくても屋根を勾配させることで光は十分取り込めるから極力シンプルに、という提案だったとか。

2階にあがると、リビング、ダイニング、ワークスペースがひとつづき。壁をへだてず、大きな一部屋のような大胆な空間づかいに。 リビングとダイニングとのあいだに段差をつけ、さらに床材を切り替えることで、ゆるやかに空間を分けています。

リビングからつづくベランダにも、テーブルやチェアを置いて家族でくつろげるほどのゆとりがあります。
「玄関やお風呂、ベランダといった共用部をいかに充実させるか。それをベースに話を進めていきました。リビングや寝室といった生活の核になる空間は、何も言わなくても意識する部分ですからね」

西海岸をベースに国籍やテイストをMIX
 

方程式
2

2階のダイニングにもタイルが敷かれていますが、1階と同じく、あえて室内用ではないザラザラとした質感のものを選んだとか。
グレーのタイルが敷かれた玄関から鉄骨階段を上がるとダイニングもタイル敷きとなっているので、ひとつづきの空間のように感じます。

一方、キッチンやバスルームの壁面に使われているのは、公共施設のような雰囲気がある艶のある白いタイル。タイルの使い分けによっても、空間をゆるやかに分けていることが伺えます。

リビングに使われる床材も、あえて屋外のウッドデッキなどに使われるウリン材が張られています。そうした床材選びなどのあしらいを考える根底にあるのは、松尾さんが公私問わず親しんできた、アメリカの風景なのだといいます。

「LAやパームスプリングスといった西海岸の地域がとくに好きで、家づくりにおいても、そうした雰囲気を意識しました。たとえば天井のペイントもまさにそうで、無垢のパイン材だとカントリーっぽくなっちゃうから、白く塗りました。ベタッと塗るのではなく、すこし木目が見えるくらい薄めにペイントしたのもポイントです」

「玄関先のブロック塀も、パームスプリングスにある初期のエースホテルなんかをインスピレーションにしました」

とはいえ、アメリカ一色かというとそうではない。アルヴァ・アアルトが好きな建築家のひとりで、フィンランドにある彼の住まいも、参考にしたもののひとつ。

「アメリカ的なものが絶対、とは思っていません。むしろ、いろんな国やテイストをまぜこぜにするのが好き。アメリカンハウスをすこし崩したような家を目指しました」

内装だけでなく、インテリアや収集している雑貨についても、国籍やテイストのへだてはないようです。

「チマヨのラグやナバホ族のインテリア雑貨といったネイティブアメリカンのものは昔から好きで、いまでもインテリアとして使いがち。でも、そこに、モダンなものやインダストリアルなものを合わせたりしたいんです」

リビングだけでも、米軍放出のキャビネット、カッシーナ・イクシーのソファ、ドイツのファットラヴァ、ヒースセラミック、ハンス・J・ウェグナーのチェアなど、国際色はじつにゆたか。でも、異なるテイストをあえてぶつけた、というようなわざとらしさはなく、むしろ自然なまとまりが感じられます。

「たとえヨーロッパのものでも、提案の仕方をアメリカっぽく落とす。そういうことはジャーナルスタンダードで長年やってきたことです。それは洋服の着こなしでも、インテリアでも同じ感覚かもしれません。なんとなく揃う感じになればいいな、と思っています」

松尾さんの体に染み付いた作法が、内装やインテリア選びに自然と滲み出てくるようです。

ファッションも、車も、機能美を愛す
 

方程式
3

ところで、アウトドアが趣味のひとつである松尾さん。登山やトレイルランニング、スノーボードなどを愛する外遊び好きです。それを象徴する1階ガレージにはアウトドア用品がびっしりで、広々とした空間に、キャビネットやロッカー、有孔ボードなどを必要に応じて足すことで、収納をつくっています。

「こういうディスプレイ収納は、ジャーナルスタンダードの店舗でも、昔からよくやるんです。たとえば渋谷にあった旧・神南店も、大きな階段が店のまんなかにあって、その下はこんな風にガチャガチャと雑多にしてあった。そういうイメージが、自分のなかに染み付いているんでしょうね」

有孔ボードなどを駆使して見せる収納にすることは、しかるべく、山に行くときの忘れ物防止にもつながるとか。

ここにあるウエアやギアは、登山やトレランに使える本格派ですが、じつはアパレルショップであるジャーナルスタンダードで買ったものも多いそう。

「フィールドで本気で使えるアウトドアアイテムも、けっこう取り扱っているんですよ。ファッション提案しているけれど、じつはアルプスに登るのに使える、みたいなウエアやギアも多い。本格スペックのアイテムを、ファッション的に取り入れるのも僕ららしさなんです」

アウトドアに特化した本格ウエアやギアを、あえてファッションとして取り入れる感覚は、愛車選びにも通じるところが。

「去年の9月に乗り換えたJeepに乗って、休日は山を縦走しに出かけたり、家族でキャンプに出かけたり。アウトドア使用がメインなので、走破性の高いモデルを選びました。タイヤも、マッドテレーンというオフロード仕様。そうしたオーバースペックなものを格好いいと感じるのは、ファッションも車も同じみたいです」

(方程式のまとめ)
常識にとらわれないおおらかな家づくりが
家族とのゆたかな時間をあたえる。

玄関とも収納ともつかない収納庫、リビングの広さを犠牲にした広いベランダ、あえて家の中心にしつらえた幅広の鉄骨階段など、暮らしやすさや勝手のよさだけを優先することなくつくりあげた、スタイルのある家。正解だったかはわからない、と言いつつも、「部屋数や快適さより、みんなでともに使う空間がリッチなほうが、ゆたかな気もします」と、そのアソビを大切にしつつ、家族の時間にやさしく目を向ける松尾さん。
そのおおらかな態度は、アメリカ的なしつらえにさまざまな国籍のインテリアをミックスする大胆さにも、通じているようです。

「RealStyle by Jeep®」での、松尾さんとJeepとのライフスタイルのインタビューはこちらからご覧いただけます。

そしてDoliveではデジタル上のリファレンス(参照するもの)があることで、現実のルールに縛られずに自由な発想で家づくりができるDolive©️をスタート。第一回目のコラボレーションは「Jeep」。ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
 

松尾 忠尚さん

〈ジャーナル スタンダード〉メンズディレクター。1975年生まれ。2000年、ベイクルーズ入社。ショップスタッフやバイヤーなどを経て現職に。

Photography/安川結子 Text/髙阪正洋(CORNELL)