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三浦安間,三浦安間自宅, DATE 2023.02.24

PESさんが考えた家で、あなたはどう暮らす?
写真家・三浦安間さん

ユニークな世界観を持つブランドやアーティストとコラボレーションして、デジタル空間上にオリジナルのCGハウスをつくるプロジェクト、Dolive©️でPESさんが考えた「植物と海と音楽」のための家

そんな家で、あの人だったらどんな風に暮らすのだろう?今回は、海とサーフィンを愛する写真家の三浦安間さんに、Dolive©️を想像のきっかけとして、暮らし方のアイデアをインタビューしました。
三浦安間さん

1978年、神奈川県鎌倉市生まれ。14歳でサーフィンと出会ったことをきっかけに、学生時代より世界中を旅しながら海とサーファーを撮り始める。その後立教大学文学部を卒業し、スタジオ勤務を経て写真家として独立。現在はファッションや広告撮影を中心に活動中。
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鎌倉の海がすぐそばにある、自宅兼ギャラリー。

神奈川県・鎌倉市で暮らす写真家の三浦安間さんは、4年前に生まれ育った鎌倉で海の近くにご自宅を建てました。子供のころから海が遊び場だったという三浦さんが、家族と暮らす家を海のそばに建てたのはごく自然な流れだったといいます。

「よく『海のそばに住んでいるなんて最高だね』と言われますが、実家の方が海に近かったんですよ(笑)。昔から海は当たり前の存在だったので、大人になってから地元を出たことで、海がそばにあることの幸福感や子供を育てるにあたってもいい環境だと実感したんです。なので家を建てるときも、海の近くでと考えていました」

自宅は3階建て。屋上からは海を一望できる絶好の場所

三浦さんは海での撮影をライフワークとし、大のサーフィン好きでもあります。自宅から海までは、徒歩3分ほど。すぐに海へ出られる距離なので、ほんの数十分でも隙間時間ができたら仕事の合間をぬってサーフィンを楽しんでいるそう。

「鎌倉の湾はあまり波がないため、いい波を待つ間にちゃんと仕事も進められて、上手くバランスが取れるのも心地いいんです。波が多いとつい海に行きたくなって、仕事になりませんから(笑)。この辺りで暮らすサーフィン好きはみんな同じ気持ちなんじゃないかな」

屋上からは、三浦さんが大切にしているサーフポイントもよく見えます。

「サーファーって、自分の好きなポイントをずっと見ていたいものなんですよ。この波が来たらこんな技をしたいなとか、イメージするのが楽しいんです」

「海の近くに住んだことで、娘とできる遊びの選択肢も広がりました。妻もサーフィン好きなので、家族とコミュニケーションを取る機会も増えましたし、気分によってはみんなで釣りや素潜りに行くこともあるんです」

自宅1階には、念願のギャラリー『Seascape gallery』も併設。ギャラリーには専用の入り口がありますが、自宅玄関の内側にも扉を付け、中で自宅と行き来できる造りになっています。

「昔同居していたサーフィンフォトグラファーが、フランスのバスク地方にすごく素敵なギャラリーを持っていたんです。ギャラリーでぼーっとしながら波が来たら撮りに行くというライフスタイルがとても羨ましくて、いつか鎌倉でこんな風に暮らしたいと思っていました。ちょうど家を建てる時期に個人のライフワークも大切にしていきたいと考えるようになったので、タイミングもよかったです」

「自分のギャラリーができたことで、定期的に写真展用のコンセプトを決めて撮影したり、ここの空間をイメージしながら撮影するようにもなりました。ここ数年は、赤潮や逗子マリーナにいついた亀を撮っていましたね」

天井を高く取り、自然光がきれいに入る窓にこだわった空間

ギャラリーは撮影もできるよう、自然光を取り込める造りに。長方形の長い窓を設けたことにより、自然のライトで人物がきれいに写るように計算されています。

「もともとは、写真館も兼ねたギャラリーにする予定だったんです。最近はクラシックな写真館が少なくなったので、地元の子供たちが七五三や成人式、やがては親子で来てくれるような写真館をやりたいなと。ただ本業が忙しくて、いまは手が回らず……いつか実現したいですね」

ギャラリーでは、不定期で写真展を開催するほか、作品の販売も

自宅スペースにもお邪魔してみると、海が好きで撮影で世界中を飛び回っている三浦さんらしい空間が広がっていました。家づくりにおいて重要なのは、「外観やデザインよりも、建っている場所や中身」だと三浦さん。そんな考えが特に反映されているのがこのリビングです。

「家を建てる際は、海沿いに建つ家を集めた写真集や、世界中のサーファーの家を紹介している洋書をよく眺めていました。家って、暮らす人のライフスタイルがそのまま出るじゃないですか。なのでデザインを参考にするというよりも、僕と同じように海やサーフィン好きな人の家を紹介している本を見ながら、室内のイメージを膨らませていきました」

「建物の高さ制限があるため、1階と2階は天井を高くして、3階は少し低めです」

棚には、旅の途中で出会った雑貨や娘さんと海で拾った貝殻が。

「思い出が詰まっているものを上手くレイアウトしていたら、自然と自分のカラーが出た気がします。ただのガラクタなんですが、僕にとっては宝物。年を重ねるごとに増えていくのが幸せなんですよね。家は暮らしの場というだけでなく、好きなものに囲まれた『思い出の集合体』なんですよ」

娘さんと海に行くたびに探している桜貝は、色味を分けてレイアウト

そして「家を持って実感したのは、何よりも建っている場所が大事だということ」と三浦さんは続けます。「どんなに素敵な家でも、自分に馴染まない場所にあったら意味がないんです。なので思いきって、海のそばに決めてよかった」

実家から持ってきた古びた写真機の箱は、文鳥のカゴ置きに

PESさんが考えた家で、三浦さんはどう暮らす?

PESさんが考えたCGハウスのテーマは「植物と海と音楽」。一目見て「まさに僕の理想の家なので、うちのリビングのように好きなものを詰めこんだ場所にしたい。家族で暮らす本邸とは別に、こんなセカンドハウスがあったら最高です」と三浦さん。ここで暮らすとしたら、やはり「建てる場所が重要」だといいます。

「建てるのは、もちろん海沿い! 一番好きなサーフポイントが目の前にあるかつ、そのままビーチに降りられる場所なら言うことなしですね。プールを海側にして、プールに入りながらずっとサーフポイントを眺めていたい。潮の満ち引きによって1日のなかでも波の良し悪しがあるので、いい波が来たらすぐに海へ! 海のリズムに合わせて生活することになりそうなので、仕事には集中できないかもしれません(笑)」

ガラス張りのサンルームに地続きのプールを設けた、開放感あふれる造り

「海沿いに建っていたら自然とサーフィン仲間が集まって、賑やかな毎日になるなぁ(笑)。庭にみんなのサーフボードを置いておいて、好きなときにどうぞっていう出入り自由な家にできたら。シェード付きのデッキもあるし、夏は海を見ながら仲間や家族とバーベキューをしたいですね」

「僕だったらここで野菜を育てちゃうな」と三浦さんは笑います

サンルームではPESさんのように観葉植物を育てるのではなく、家庭菜園をするという提案も。

「実は畑を持ちたいんですが、やるとなったら常に気になってしまうタイプがゆえに、実行できていないんです。台風が来たりしたら、気が気じゃないので。でもここならいつでも様子を見に行けて、天候も気にしなくていいから安心。屋上庭園とサンルームとを使い分けて、いろいろ育ててみたいですね」

室内で育てた木の幹が、屋上庭園まで伸びていける仕様になっています

「ちなみに海の近くの家は潮による影響がネックなんですが、PESさんの家は植物に潮が当たらないサンルームがあったり、外壁に錆びない石を使っていたりして、まさに海沿いに建てるための家なんですよね」と三浦さん。

「暮らす人によって雰囲気が変わりそうなシンプルなデザインもいいですよね。僕が住んだら、写真家でサーフィン好きというカラーがはっきり出ると思います。特に石張りの外壁がかっこいい! この外観に合わせて、サーフボードが置けるような小屋も増築したらより自分好みになるかな」

最後に、「見るからにきれいな自然光が入る造りなので、スタジオとしても機能すると思います」と三浦さんは話します。

「プール越しの波や育てている植物など、いろんな写真を撮ってみたいですね。作品が撮れたら、この家自体をギャラリーにするのはどうですか? 室内の壁に飾ったり、サンルームに立てかけたり、外にもラフに作品を置いて……すごくよさそうですよね。こんなにわくわくした気持ちになるのは、やっぱり目の前に海があるからこそ。海沿いにこの家を建てられたら創作力も掻き立てられて、さまざまな作品が生まれてくる予感がします」

今回三浦さんに暮らしを想像していただいたPESさんが考えた家の記事はこちら。あなたならどんな風に暮らしたいか考えてみるのも、楽しいかもしれません。

Photography/山本大 Text/金城和子