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好きも苦手も正直に。とことん、自分と向き合う家づくり術。 DATE 2023.08.05

好きも苦手も正直に。とことん、自分と向き合う家づくり術。

一度見たら憧れる、おしゃれでこだわりが詰まった家。でも、「そんな家ってどうやったらつくれるんだろう」「建築のプロじゃないとつくれないのでは」と感じている人もいるのでは。“あの人の家づくり手帖”は、個性的な家をかたちにした経験者から具体的な家づくりアイデアを伺う企画です。

今回登場いただくのは、俳優として活動するかたわら、デザインやコピー制作のお仕事にも励み、さらには多趣味でもあるQ本かよさん。日当たりを求めるところから始まり、自分に正直に進めた家づくり術に迫ります。

ズボラな自分にウソをつかない。
浮かんだ望みを正直に付箋に書き出して。

洞穴に住んでいるみたいだな——。Q本さんを家づくりに駆り立てたのは、ご主人のひと言。夫妻のかつての住まいはデザイナーズマンション。雰囲気も広さも申し分なく、不便を感じることなく暮らしていたといいます。

「前の家は半地下のような構造だったんです。私自身は特に気にしていなかったものの、言われてみると確かに暗い。日当たりの悪さが気になったが最後、念願だったリノベーションに乗り出したくなってしまって(笑)」

「知り合いの建築家に設計をお願いすることも考えましたが、どこまで解体できるのか、物件ごとに制約が異なるのがリノベーション。専門業者にお任せしたほうが安心かなと思い、物件探しから施工まで、ワンストップのリノベーション会社に依頼しました」

かくして、念願のリノベーションがスタート。インテリア雑誌を買い漁っては理想と合致するページを切り抜くと同時に、Q本さんは頭に思い浮かぶ「ああしたい、こうしたい」の要素をひとつずつ付箋に書き出し、プランナーさんに共有したといいます。

Q本さんが、プランナーさんと打ち合わせをするご様子。

「家のベースに関わることも枝葉の要素も、分け隔てなく浮かんでくるんです。素人の私には、それを整理するのは困難。付箋をどさっと共有して、プランナーさんと一緒に可能なこと、不可能なこと、優先すべきこと、妥協すべきことを体系立てていきました」

希望をひとつずつ書き出す作業も、それらを体系化し、取捨選択する作業も。家づくりに際し、Q本さんが最も大切にしたことを伺うと、答えは自分に正直であること。

「私は根っからのズボラ(笑)。緊張感のあるミニマルな家にも、丁寧な暮らしにも憧れます。でも、自分のズボラさを無視しては、完成後にしんどくなるだけ。苦手なことを上手にカバーできる家のほうが、絶対に快適だと思うんです」

そうして完成した住まいには、ズボラさんならずとも真似したくなるアイデアが随所に。自分に正直につくり上げたからこその、暮らしやすさに満ちています。

家づくりアイデア①
より明るく、空間に光を巡らせる白の効果。
≪キーワード≫
 #リビング #天井 #白いカーテン #白い天井 #自然と明るい空間

Q本さんもご主人も、モルタルがお好き。好みのマテリアルを生かすべく、天井を解体。当初はコンクリート打ちっぱなしの天井を想定していたといいます。

「それが実際に解体したところ、意外と天井高が出なくて。天井の低さのせいか、肝心の日当たりの良さを実感できない。そこで、打ちっぱなしから方向転換。少しでも明るい印象にするため、壁だけでなく、リビングの天井も白く塗装しています」

白は窓から注ぐ日光を反射し、部屋に光を巡らせてくれる色。大きな窓に面したリビングはもちろん、ダイニングの窓と隣り合わせるように設えた衣装ラックもホワイトに。さらには目隠しのカーテンにも白を採用し、望みの明るさを実現しています。

家づくりアイデア②
“初手の面倒さ”を解消する、オープン収納。
≪キーワード≫
  #キッチン #見せる収納 #吊るす収納 #クローゼット #桐箪笥

「何事も最初の一手が面倒なんです。調理器具を手に取りさえすれば、手の込んだ料理をするのも好き。でも、手に取るまでが面倒だし、せっかく購入した便利なツールも引き出しに仕舞っていては使わないまま。もったいないですよね」

それを解消したのが、キッチンの壁を覆うようなオープン収納。吊した器具が油でベタつくことを避けるため、シンクとガス台を分けるという工夫まで。器が並んだ造作のラックにも扉は付けず、オープンスタイルを徹底しています。

そして、衣装を収納するにもクローゼットは設けず、ラックはダイニングの一角に。畳む手間を省くため、ハンガーに吊したままに収納できる高さに設計。Q本さんの趣味である着物も仕舞えるよう、桐箪笥が収まるスペースも確保しています。

家づくりアイデア③
仕切らず気分をスイッチする、異素材と段差。
≪キーワード≫
 #リビング #オーク材のフローリング #キッチンダイニング #モルタル #段差で空間を仕切る

「私はフリーランスのため、デスクワークは基本的に自宅。以前は犬を飼っていたので、私が個室にこもってしまうと愛犬が可哀相で。それに私自身、個室で黙々と作業するのが苦手なんです。同じ場所にいながら、夫も私も好きに過ごせる空間にしたくて」

そのための最適解が、壁で仕切ることはせず、床の表情によって空間の印象を変えること。ダイニングとキッチンはモールテックス塗装のモルタル、リビングはオークの無垢材を張ったフローリングに仕上げ、フローリングには約7cmの段差を設けています。

「この段差は単に、夫の視覚的なこだわりです(笑)。ただ、少しの段差があることで、生活によりメリハリが生まれた気がします。モルタルはスリッパ、フローリングは裸足で過ごしていますが、この段差のおかげでスリッパの脱ぎ履きも楽ちんです」

家づくりアイデア④
暮らしの細部にこそ、しっかり自分に正直に。
≪キーワード≫
 #蓋付きのゴミを溜めるスペース #スイッチ #暮らしのアイデア

ダイニングの隅っこに設えられた、フタの付いた四角い窪み。実はこれも、自分に正直に向き合った証拠。なんと、ホウキで掃いたゴミを捨てるためのスペースだそう。

「掃除機の音が、どうにも苦手。だから、掃除はホウキでしたい。でも、ちり取りを使うのは面倒くさい(笑)。この窪みにゴミ袋を敷いておけば、ホウキで集めたゴミを掃き捨てるだけ。このアイデアをイラスト化して、プランナーさんに共有したんです」

また、LDKに4つある照明を一気にオン・オフできるよう、スイッチを一カ所に集約。消し忘れのないよう、出掛ける間際にバタバタしてしまう“あるある”を解消するべく、4回路の照明スイッチを個人手配。痒いところにも手が届く暮らしを叶えています。

もっと知りたい、Q本さん宅のアイデア
リビングの後方に用途を決め込まない“余白”のスペースを設け、現在は趣味も仕事もこなせるアトリエに。
カウンターは床と同様のモールテックス塗装。イスをセットできるよう、表の面を窪ませたデザインに。

好きも苦手も、住まいは家主の映し鏡。

「我が家の個室といえば、やんわり仕切った寝室だけ。LDKの開放感が気持ちいいし、リビングもダイニングもキッチンも、どこにいても心地いいんです。ちょこちょこと場所を変えては気分転換しながら、仕事も趣味もはかどります」

その心地よさの根底にあるのが、自分に正直な家づくり。自分の好みを投影するのはもちろん、苦手なことにも目を向ける。家とは、住む人の映し鏡なのかもしれません。

Doliveアプリには、あなたのこだわりを助けてくれるアイデアがたくさん。
気になった記事に「いいね!」を押して保存すると、後から見返すことができるあなただけのアイデア帖に。さらに理想の外観・内観をシミュレーションできる機能も搭載。具体的な仕様まで検討できるので、実際に家づくりを行う際のイメージとして活用できます。

気になった方は、ぜひダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

photo/川村恵理 text/大谷享子 illustration/kozo