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理想を“見える化”。夫婦のこだわりをかたちにした、マンションリノベーション DATE 2023.09.05

理想を“見える化”。夫婦のこだわりをかたちにした、マンションリノベーション

一度見たら憧れる、おしゃれでこだわりが詰まった家。でも、「そんな家ってどうやったらつくれるんだろう」「建築のプロじゃないとつくれないのでは」と感じている人もいるのでは。“あの人の家づくり手帖”は、個性的な家をかたちにした経験者から具体的な家づくりアイデアを伺う企画です。

今回登場いただくのは、コロナ禍を機に中古マンションを購入してリノベーションした、とみこさん。フリーランスのとみこさんにとって、家は暮らしの空間であり仕事をする場所でもあります。ご主人と自身のこだわりを擦り合わせながらつくり上げた空間には、家庭と仕事場が心地よく共存するアイデアが詰まっていました。

3つの条件を決めて、家探しをスタート

コロナ禍を機に新居の購入を決定したという、とみこさん夫妻。とみこさんは中古マンションのリノベーションを希望していましたが、ご主人は当初、新築派でした。

「夫は機能性を重視するタイプなので、設備が新しくてメンテナンスもしやすい新築を希望していたんです。私はリノベーション物件に住んでいる友人が多かったこともあり、漠然と自分好みの家づくりができるリノベーションに憧れがあったんですよね。なのでまずは、夫にリノベーションの魅力を伝えることからはじめました」

夫婦でショールームを訪れたり、リノベーションの実例集を読むうちに、ご主人の気持ちに変化が。きちんと物件を選べば中古でもメンテナンスに不安がないこと、何よりも一から家づくりを考える楽しさを知って、次第にリノベーションへと気持ちが傾いたそう。

そうと決まれば、まずは物件探し。予算と周辺環境などの条件を決めてから、エリアを絞って物件選びがスタートしました。

「物件探しにあたっては、日当たりと天井高、そして現行の耐震基準を満たしているかの3つを重視しました。この物件はだいぶ予算オーバーでしたが、それらの条件がそろっていたのと、近くに保育園や小学校があり子育てがしやすいのも魅力的で、即決したんです。」

購入したマンションは78平米の3LDK。ここから8ヶ月かけて、とみこさんたちのリノベーションプロジェクトがスタートします。物件の予算が大幅にオーバーしたぶん、リノベーション費用は抑えることに。限られた予算のなかで、夫妻はどう理想の家づくりを進めていったのでしょうか。

家づくりアイデア①
夫婦それぞれの“好き”を共有&手持ちの家具と家電をリスト化
≪キーワード≫
 #夫婦での家づくり #インテリアと家電 #間取り #素材選び

まずはリノベーション経験のある友人たちに聞いたりネットで調べながら、デザイン会社を決定。それと同時に、夫妻それぞれの好きなデザインをSlackで共有し、可視化していきました。

「PinterestやInstagramでピンとくるデザインを見つけたり参考になりそうな電子書籍があったら、すぐにSlackで共有するようにしました。ぱっと送っておけばあとで一緒に見返せますし、とても便利ですよ」

「私はモルタルやコンクリを使ったスタイリッシュな雰囲気にしたかったんですが、夫は温かみがある内装が好みだったので、気に入ったデザインやアイデアをストックしながら、二人がいいと思えるイメージを探っていきました」

くわえて、手持ちの家具と家電をエクセルでリスト化。それによって好みの傾向が見えてきたため、部屋の雰囲気を決めるのにも役立ったそう。

「最終的に、ベースは白基調でシンプルにしつつ、木などの素材を使って温かみを加えようということになりました。もともと付いていたドアやクローゼットの扉が木だったので、壁や床材でバランスが取れるという利点もあったんですよね」

事前に好きなイメージやどんな家具があるかまとめておいたことで、デザイナーとの意思疎通もスムーズだったといいます。

「デザイナーさんとの打ち合わせにデザインの参考資料と家具&家電リストを持参したら『こんな資料を持ってきた方は、はじめてです』って言われました(笑)。資料を見ながら私たちのライフスタイルを細かくヒアリングしていただいて、それをもとに3つの案を出していただき、デザインと間取りが決まりました」

間取りについては、とみこさんは使いやすいキッチン、ご主人は充実した収納を希望したといいます。

「私たち夫婦は家事分担を明確にしているので、それぞれがこだわりたいポイントがはっきりしていたんです。料理は私、掃除は夫が担当。なのでリノベーションにあたっても、私は自分のテリトリーであるキッチン、夫は主に収納を中心に考えていましたね」

最終的に、3LDKから2LDKに変更してリビングを広く設けるプランに決定。そのぶんご主人が希望していた収納スペースは、工夫が必要でした。

「特徴的なところで言えば、ウォークインクローゼットにドラム式洗濯機を置くというアイデア。デザイナーさんから提案いただいたときは、目から鱗でしたね。洗濯・乾燥したものをすぐにしまえるので、なかなか便利なんですよ」

家づくりアイデア②
仕事と暮らしが共存する住空間。こだわりのワークスペースとキッチン
≪キーワード≫
  #ワークスペース #オープンキッチン #造作家具 #見せる収納

フリーランスのとみこさんは家で仕事をすることが多く、ご主人もコロナ禍を機にリモートワークがメインに。そのため、どうワークスペースをつくるかも、一つのテーマでした。部屋数も多くないため、パーソナルスペースを保ちながら仕事をするにはリビングに設けるのがベストという結論に。

「そこでデザイナーさんから、窓辺にロングテーブルを造作してはどうか? とアイデアをいただいたんです。たまたま窓辺の天井が一段下がっている造りだったため、おのずと独立しているようなスペースになったのはラッキーでした」

「足と引き出しはイケアで購入して、上の板のみ業者さんに作っていただきました。造作家具は予算的に厳しいと考えていましたが、既製品と組み合わせることで費用が抑えられたんですよ」

とみこさんこだわりのキッチンは、壁で仕切られていたキッチンをオープンな仕様に変更。基本的にキッチンに立つのはとみこさん一人なので、横幅210センチのコンパクトなシステムキッチンを採用したそう。

「選んだのはサンワカンパニーのプレーンKミディアム。シンプルでリーズナブルかつ、ステンレスで掃除がしやすいところが夫にも好評で。リビングにいる子供の様子を見ながら作業できるので、オープンキッチンにしたのも大正解でした」

器好きなとみこさんの希望で、お気に入りの器を見せながら収納できる棚も設置。
「こうしたスペースをつくれるのも、家づくりの醍醐味ですよね。ふと目に入ったときに、気持ちが高まりますもん」

家づくりアイデア③
コストを抑えながら理想の空間を叶える、壁紙と床材選び
≪キーワード≫
 #壁紙 #床材 #オーク材の床 #カーペット #タイル床

「壁や床は張り替えることができるため、気持ち的にも思い切ってコストカットしやすかったポイントです。張る範囲は最小限にして、素材もリーズナブルなもののなかから決めていきました」

塗装を考えていたリビングの壁は、予算を抑えるために塗装のような風合いのある白い壁紙に。寝室と洗面、トイレは一面にだけアクセントクロスを張ることにしたそうです。

「一面にすることでコストも抑えられるかつ、『もとの壁の色と合わせて一部屋に2色の壁ができるから、おしゃれに見えますよ』と提案いただいたんです。一面にしたことで圧迫感もなくデザイン性もあり、気に入っています。よく見ないと分かりませんが、部屋によって色分けしているのも隠れたこだわり。色選びも楽しかったですし、淡いブルーやグレーなどの奇抜ではない色味だからこそ、色が微妙に違っても家全体の雰囲気に影響しないんですよ」

「床材は夫の希望もあり、掃除のしやすさを考えて塩化ビニールのタイルで統一。いくつかサンプルを見ながら決めましたが、キッチンとトイレは汚れやすいので、ちょっと濃い色にしています」

リビングの床材はマンションの規約でカーペットと決まっているため、窓際のワークスペースのみ、タイル貼りに。異なる2つの素材は、居住空間とワークスペースを分けてくれる役割も担っているとか。

「プライベートエリアとワークスペースが同居しつつ、カーペットとタイルの境目によってメリハリもある空間になりました。あっちに移動したら仕事、休憩するときはこっちのスペースに……という感じで、ゆるく切り替えができる雰囲気も心地いいんですよね」

もっと知りたい、とみこさん宅のアイデア
横幅210cmのシステムキッチン。前面のモールディング腰壁でクラシカルな印象に
リビングのテレビボードは元々クローゼットだった場所。飾り棚が空間にアクセントを
リビングでひと際目をひくキャビネットは、イギリスのヴィンテージ家具『G-PLAN』のもの

余白をもたせて、ライフスタイルの変化にフィットするように

「家が完成したあとに、丸みのあるインテリアが多いと気がついたんです」と、とみこさん。

「ダイニングテーブルからペンダントライト、空気清浄機、浴室のミラーまで丸形で(笑)。結果的にスペースに抜けができて部屋が広く見えますし、柔らかいフォルムがいいアクセントになっていると思います」

「デザインの好みや家族のライフステージは、年々変わっていくもの。そうした変化に応じていつでもつくり変えられるという心のゆとりが持てるのも、リノベーションのよさ」と、とみこさんは続けます。

「そんな思いが念頭にあったので、予算的にもデザイン面でも余白を残しながら、夫婦のライフスタイルをかたちにしていけました。いったん完成しましたが、この先どんな家になっていくのか考えたながら生活するのも楽しいんです」

そう語る表情から、これからも続いていく家づくりへのわくわく感が伺えました。

Doliveアプリには、あなたのこだわりを助けてくれるアイデアがたくさん。 気になった記事に「いいね!」を押して保存すると、後から見返すことができるあなただけのアイデア帖に。さらに理想の外観・内観をシミュレーションできる機能も搭載。具体的な仕様まで検討できるので、実際に家づくりを行う際のイメージとして活用できます。

気になった方は、ぜひダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

photo/川村恵理 text/金城和子 illustration/kozo