DATE 2024.02.13

Dolive©️×SAMANSA
映画は家づくりのリファレンスだ!

家は、ただ住むためだけの場所じゃない。もっと人生を楽しませてくれる、ワクワクするような家があってもいいはず。空飛ぶ家や走る家…、 どんな想像だって、デジタルの力を使えば何でも叶えられる。

「Dolive©️(マルシー)」は、"あり得ない"を楽しむプロジェクト!デジタル上のリファレンス(参照するもの)があることで、現実のルールに縛られずに自由な発想で家づくりがきっとできるはず。今回はショート映画配信プラットフォームの「SAMANSA(サマンサ)」とともに、3つの映画をテーマにしたCGハウスをつくりました。
about SAMANSA

株式会社SAMANSAが運営する、世界のショート映画、ドラマ、ドキュメンタリーを配信するプラットフォーム。月額370円のサブスクリプション制で、ショート映画のなかでもより手軽に見られる10〜15分の作品を中心にそろえている。映画は欧米を中心に買い付け、今月からは韓国、タイ、インドネシア、英語圏にもサービスを展開予定。
HP

岩永祐一さん

株式会SAMANSA 代表取締役CEO
鳥取県出身。曽祖父が映画館と映画配給事業を営んでいた影響から、幼少期よりクラシック映画を見て育つ。学生時代にバックパッカーとして40カ国以上を周り、卒業後はリクルートキャリア、Crevoを経て渡米、UCLAエクステンションにて映画演出を学ぶ。帰国後にフリーの映像ディレクターとして活動したのち、株式会社SAMANSAを創業した。

野畑太陽さん

美術監督
東京都出身。 2018年にロサンゼルスフィルムスクールを卒業し、ロサンゼルスでプロダクションデザイナーとして活動。帰国後はアパレル企業でアートディレクターを務め、2022年に独立。 現在はフリーランスの美術監督として映画やCMの映像美術を担当するほか、SAMANSAをはじめとする企業のブランディングも手がけている。

Dolive©️×SAMANSAのコンセプトは、
「AIが映画の世界を具現化した家」。

「Dolive©️」とタッグを組んでCGハウスを手がけた、SAMANSAの岩永祐一さん(右)と野畑太陽さん(左)。二人はアメリカで映画学校に通っていたときに出会ったそう

世界中から作品を発掘し、クリエイターと直接契約を交わして配信する「SAMANSA」。今回はこちらを率いる岩永さんと美術監督の野畑さんが中心となり、「Dolive©️」でラブコメ、ミステリー、SFという映画の3ジャンルをイメージしたCGハウスが完成。その背景やベースとなったリファレンス、自宅で映画鑑賞するときのこだわりまで、伺っていきます。

――まずは「SAMANSA」について教えていただけますか。

岩永さん:
「簡単に言えば、ショート映画を集めたプラットフォームです。場所を選ばず隙間時間に見られるので、より日常のなかで映画を見ていただける機会が増えると思い、このサービスを開始しました」
野畑さん:
「メンバーはみんな、映画制作に携わっている人間で。僕もフリーランスとして映像美術の仕事をしながら、SAMANSAにロゴづくりなどのブランディング担当として携わっています」

「日本からショート映画の魅力を世界に伝えたい」という思いから、「SAMANSA」は生まれました

――今回Doliveと一緒に作った、3つのCGハウスには「SAMANSAというAIが、映画にまつわるリファレンスを集積したらどんな家ができるか」というコンセプトがあったそうですね。

岩永:
「SAMANSAという名前は、このサービスがお客さまにとって日常のパートナーになればという思いで、映画『her/世界でひとつの彼女』に出てくる人工知能の名前(サマンサ)から名付けたんです。CGハウスにもそうしたSAMANSAらしさを取り入れたいと思って、このコンセプトに決定しました」
野畑:
「そこから家として形にできそうなジャンルや、家具やしつらえのリファレンスとなる映画作品をご提案しました。それをもとに、CGをつくっていったんです」

ミステリー、ラブコメ、SF 。
3つのCGハウスをつくるリファレンス。

コンセプトは「ずっと映画ばかり見ているAIが、各ジャンルの映画を参照して具現化した家」。映画のセットのように、家の外側には照明やカメラも

ミステリー、ラブコメ、SFという3つのジャンルをテーマにつくられたCGハウス。それぞれのどんなこだわりや映像作品のリファレンスが込められているんでしょうか?!野畑さんに解説していただきました。
Room Style of MYSTERY

『シャーロック・ホームズ』らしいヴィンテージ調の床と赤絨毯、『ゴッドファーザー』に登場するドン・コルレオーネ(コルレオーネファミリーの長)の部屋を彷彿とさせる壁紙など、往年のミステリー映画からリファレンスを用いたCGハウス。

野畑:
「ショート映画『グッド・ストーリー』に出てくるクラシカルな椅子とテーブルや、『亡命者』に取り入れられていたヴィンテージの壁時計といった小道具も、この謎めいた雰囲気を出すのに一役買っています。このあとに紹介する2ジャンルもそうですが、細かなところにも注目していただけると嬉しいです」
Room Style of Romatic Comedy

『ブリジット・ジョーンズの日記』の主人公・ブリジットが暮らす家をイメージした間接照明&キャンドルの柔らかなライティング、『フレンチ・ディスパッチ』に出てくるような、淡いグリーンの塗り壁に、ホワイトウッドの腰壁……恋をしている女の子の暮らしが見えてくるようです。アートやポラロイドがあしらわれた空間は、『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公・キャリーの部屋から。

野畑:
「さりげなく置かれたプレゼントボックスも、隠れたこだわり。ラブコメはストーリーのなかにクリスマスなどのイベントが組み込まれていることが多いので、『何かハッピーなことがあったのかな?』という想像を膨らませてくれるような小物を置いてもらいました」
Room Style of SCIENCE FICTION

リファレンスのなかでも、『2001年宇宙の旅』から参照した黄色いタイルは印象に残っている人も多いはず。そこに『フィフス・エレメント』で見られる壁のパネルスイッチやデスクを掛け合わせることで、レトロフューチャーと近未来的な要素が合わさったSFハウスに仕上がりました。

野畑:
「卵型の椅子は、『メン・イン・ブラック』から。壁にモニターを組み込んだり、壁からベッドが出てくる仕様は、宇宙船のなかにいるような気持ちにもなりそうですよね。ベースになっている正方形の空間はほかのジャンルと同じですが、SFらしいミニマルな空間で生活している様子が想像できる家になったと思います」

――個性あふれる3つの家ができましたね。映画のジャンルを一つの空間として表現するにあたっては、どんなことを意識されたんですか。

野畑:
「やはり色味が第一印象を左右するので、まずはテーマカラーを決めましたね。ミステリーはブラウンなどのトーンが低めの暖色系、ラブコメはパステルカラー、SFはモノクロにビビッドなカラーを合わせたり」

――ジャンル決めやリファレンスとなる映画のチョイスは、どのような流れでしたか?

岩永:
「僕らからいくつかジャンルを提案して、CG化しやすそうなものをCGチームに選んでもらいましたね」
野畑:
「作品については多くの人が『これ、見たことあるな』と連想しやすいメジャーなものがいいと思ったので、比較的有名な作品をピックアップしました」

「細かいところまで作り込んでくださって、完成形を見たときは感動しましたね」(岩永さん)

――CG空間をデザインするのは、難しかったと思いますが、特に悩んだことなどありましたか?

野畑:
「実写映画ではイメージ画を描いたり小道具を集めて空間づくりをしていくんですが、CGでもそのプロセスは同じ。映画作品を挙げてリファレンスをお出しもしましたが、『こういう要素を入れるとミステリーっぽさが出る』といった、そのジャンルを表現できるポイントをお伝えするようなイメージで打ち合わせしていました」
岩永:
「映画を主題にした家ってどんな空間なんだろうという視点にくわえて、SAMANSAらしさをどう組み込めるか、僕らがつくる意味という部分もじっくり考えましたね」

二人が惹かれた映画に出てくる家と、
自宅で映画を見るときのこだわり。

これまでに数多くの映画作品に触れてきたお二人が、特に印象に残っている映画内の空間は? 自宅で映画鑑賞するときのこだわりは? 映画に精通するお二人だからこその答えが飛び出します。

――いろんな映像作品をご覧になっているお二人の、家や部屋に惹かれた作品が気になります!

岩永:
「ぱっと思い浮かんだのは、『アメリ』かな。ストーリーと同じくらい、夢のような色使いや美術のディテールが印象深かったですね。リアルな世界では使わないカラーリングが現実として受け入れられるところも、映画ならではのよさだと感じました」

映画「アメリ」の主人公が暮らすアパルトマンの寝室イメージ。独自の世界観が人気を呼び、ミニシアターブームを象徴する作品

野畑:
「僕はSFが好きで映画の世界に入ったこともあり、SF映画に出てくる空間が好きなんです。なかでも挙げるとしたら、『未来世紀ブラジル』。主人公が壁と壁にベッドが挟まれているようなすごく窮屈な空間に住んでいるんですが、SFの世界なのにどこかリアリティがあるところに惹かれます。住みたいというよりは、美術的な視点でおもしろみがあって」

鬼才・テリー・ギリアムが、ディストピアな近未来を描いた映画「未来世紀ブラジル」。主人公が暮らすのは、質素なワンルーム

岩永:
「自分の好みというよりも、僕らは主人公や登場人物たちにフィットしているという空間に共感するし、魅力を感じるんだよね」
野畑:
「そうそう。映画のなかに出てくる家や部屋には人物の人となりがはっきりと表れるから、そこからつくり手のセンスや伝えたいことが分かるところもいい。見たときに『あ、この人らしい家だな』という説得力があるというか」
野畑:
「何もない空間で主人公のキャラクターを表現するのは、とても難しいんです。小道具を置くことができれば表現の幅も広がりますが、質素だったり、何も持っていないという設定の人物だと、引き算でキャラクターを見せなければいけないので。だからこそ、先ほどお話した『未来世紀ブラジル』に惹かれるんですよね」

――ちなみに、お二人は自宅でどんな風に映像作品を見られていますか?

岩永:
「大きな声では言えませんが、家ではパソコンで見ています(笑)。本当は大きなテレビやプロジェクターなどの大画面で見るのがベストなんですが」
野畑:
「うんうん。いまはスマホやパソコンで見る人が多いと思いますが、作り手は大きく見せたくて作っていると思うので。だからこそSAMANSAでは、シアターで上映会イベントを実施したりするんです」

「大画面で見ると同じ作品でも感動や見え方がまったく違うもんね」と岩永さんもうなずきます

――では、もし自宅で映画鑑賞する空間をアップデートするとしたら?

岩永:
「僕はぜったい、音にこだわりたいですね」
野畑:
「僕も同じ。映画って音がすごく大事なので、オーディオにこだわりたい。あとは、いいプロジェクターが欲しいです。スクリーンからそんなに遠くに置かなくても大きく映せるかつ、画質も綺麗なやつ(笑)」
岩永:
「理想は映画館と同じ環境を家につくることかな。大画面かつ暗いところでリラックスしながら見ると入ってくる情報も多いので、細かな美術や登場人物の挙動まで目が届くんです。実際にパソコンで何度も見た作品でも、映画館のリバイバル上映に行くとはじめて発見することもよくあって」
野畑:
「ストーリーを理解するだけなら小さな画面でいいと思うんですが、映画は美術や照明、カメラワーク、演技などさまざまな要素が集まってできていますからね」

CGハウスづくりを通して生まれた、 新たな発想とは?

「大画面かつクオリティの高い音響で見るという体験は、また特別な感覚があります」(野畑さん)

最後に今回のコラボレーションを経ての気付きや、今後の展望についても伺いました。

――あらためて、はじめての家づくりはいかがでしたか?

岩永:
「家づくりも映画づくりも一緒だなと思いましたね。はじめにゴールのイメージがなんとなくあって、ディスカッションしながら具現化していくプロセスとか」
野畑:
「そうだね。僕はテンプレートの空間を飾り変える楽しさもありましたね。まったく違う空間でありながら、実は3つともベースは同じという」
岩永:
「あとはAIに自分の好みを伝えて、映画に出てくる家の壁紙やインテリアを再現してくれるサービスがあったらおもしろそうだなと思いました! 実像として提案するのは難しくても、デジタル状で組み合わせて見ることができたら家づくりの参考になりそうじゃないですか?」
CGハウスづくりを通して新たな試みも浮かんできたところで「CGハウスの第四弾をつくるなら、どんなジャンルがいい?」と聞いたところ、「ファンタジーはどう?」(岩永さん)、「CGじゃないとできないし、やりがいがありそう」(野畑さん)という返事が。Dolive©️とSAMANSAによって、デジタル上にまた新たな一軒が誕生しそうな予感です。

今回のコラボレーションで完成した3つのCGハウスは、AIをイメージした特設ページから。各ハウスのこだわりポイントにフォーカスすると、そのリファレンスとなった映画作品も見ることができます。映画の世界に思いを巡らせながら、いつもとは違った視点で家づくりのイメージを膨らませてみてはいかがでしょう。Dolive©️の、今後の展開にもご期待ください。

AI SAMANSA 特設ページはこちら↓

photo/宮前一喜 text/金城和子

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