No.00
どんなスタイルにも染まってくれる、白いキャンバスのような家。「No.00」は、好みや暮らしに合わせて自由にデザインできる、プレーンで柔軟な“自分らしい家”の出発点となるDoliveのオリジナル住宅です。
どんなスタイルにも染まってくれる、白いキャンバスのような家。「No.00」は、好みや暮らしに合わせて自由にデザインできる、プレーンで柔軟な“自分らしい家”の出発点となるDoliveのオリジナル住宅です。
桜新町でコーヒースタンド「Autumn」を営む林翔さんが、自身の店づくりでいちばん大切にしたのは、“自分が今いちばんいいと思えるもの”をちゃんとつくること。
コーヒー店での勤務のほか、家具屋で働いていた経験、大学で学んだプロダクトデザインの知識。そして、洋服や映画、本から自然と培ってきた感覚を、無理に飾ることなく空間に落とし込んでいます。
店の構造も一般的なコーヒーショップとは一線を画す。いわゆる“フードを選んで、レジを通って、奥で受け取る”という動線は、あえて無視。店が回りづらい、席数がとりづらいなどのデメリットは承知の上で、「お客さんがどう動くか決めすぎない」ゆるさを大事にしたそう。
「クラシックは不滅だ」という映画『マイ・インターン』のセリフが印象に残っているという林さん。流行に左右されず、「10年後に見てもかっこいいか?」という視点で素材を選び、時間の中で価値が失われない空間を目指しました。
そんな林さんが「No.00」を初めて見たときの印象は、「豆腐みたいな家」。
真っ白で四角くて、とてもプレーン。それが、どんなスタイルにも染まってくれそうな“余白のある箱”に見えたんだとか。
「もしこの家を自分が建てるなら?」というテーマで、まず思い描いたのは“場所”のこと。理想は、海の近く。海沿いの高台に、ぽつんと一軒だけ建っているような、ちょっと別荘っぽい雰囲気に憧れてるんだそう。
家のディテールはまず外観から。
家の外観は、中東やモロッコの建築にありそうな土の質感のあるテラコッタ色の壁に。「かたちは四角く、屋上は絶対に欲しい!」と話す林さん。期せずも「No.00」のカタチが好みだったようです。家の構造は2階建て。だけど部屋は細かく区切らず、吹き抜けのワンルームに。仕切るのはトイレとお風呂くらいで、あとはできるだけ広々と使いたいと思い描きます。
続いては内観。「床も壁も天井も、ぜんぶ外観と同じ素材で仕上げた内装。土っぽい質感のある素材に、自然光の濃淡で自然とグラデーションになるような空間が理想ですね」と林さん。家具は低め、配置は余白を活かしてぽつぽつと。木やガラス、ウールなど異素材をミックスして、“揃えすぎない”ラフさも大事にしたいそう。照明は必要なところだけに置いて、光と影がちゃんと意味を持っている空間が好きなんだとか。カーテンやラグも、透け感や質感にこだわりながら、少しずつ“自分らしい空間”を整えていきたいと想像は膨らみます。
中東の建築に影響を受けた、土のような質感のテラコッタ外壁。 潔い四角いかたちに、少しだけ角の丸みや小窓を加えて、やわらかな印象に。
大正時代の建築に見られる、少し丸みを持たせた角。ソリッドな素材感にゆるやかさが加わることでこの家の空気をやわらかくしてくれる。
FIXの窓ではなく、ガレージ扉のような開口部。お気に入りのカフェで見たあの開放感を、自宅の玄関にも。
「No.00」って、本当に真四角で、真っ白で、装飾もない。
でもだからこそ、「ここに何を足すか」「どう暮らすか」がすごく想像しやすかった。まるで自分の想像力を試されてるみたいで、どんどん欲が出てきた、と林さんは笑う。
そうやって妄想を重ねるうちに、自分の価値観や“好き”が少しずつ浮かび上がってきた。
しかも不思議と、今の自分の家やお店のことまで頭に浮かんできて、「あの照明、実は好きだったな」とか、「これってすぐにでも取り入れられるかも」なんて、現実にもフィードバックできそうな気づきがいくつもあったそう。
「妄想って、それだけで終わるものじゃないんですね。自分の価値観とか、理想の暮らし方を確認する手段でもあるなって思いました」。
「Autumn」店主。コーヒースタンドで10年ほどバリスタとして勤務後、2022年11月に自身のお店「Autumn」をオープン。
Illustration/ 五味健悟 Edit, Text/ 中島直樹