No.00
どんなスタイルにも染まってくれる、白いキャンバスのような家。「No.00」は、好みや暮らしに合わせて自由にデザインできる、プレーンで柔軟な“自分らしい家”の出発点となるDoliveのオリジナル住宅です。
どんなスタイルにも染まってくれる、白いキャンバスのような家。「No.00」は、好みや暮らしに合わせて自由にデザインできる、プレーンで柔軟な“自分らしい家”の出発点となるDoliveのオリジナル住宅です。
「おいしいものは人類の奇跡だ!」
おみそはんのすべての表現は、このシンプルだが力強いコンセプトから始まったそう。
大学の卒業研究で「歌って覚えるレシピ」をつくったことをきっかけに、音楽と料理をミックスした“くいしんぼうHIPHOP”というスタイルを確立。メジャーデビューから10年。出産や独立を経た今、おみそはんの活動フィールドはますます自由になっています。音楽、ポッドキャスト、食育講演、絵本づくり……さらにはイラストもMV編集も自ら手がける、まさにDIY精神にじむアーティストです。
おみそはんの創作のルーツは、幼少期にさかのぼります。それは、妹たちと繰り返した“ごっこ遊び”。赤ちゃん人形やシルバニアファミリー、キューピー人形を相手にしたなりきりの遊びの「誰かになってみたい」「真似してみたい」という気持ちが、今の幅広いクリエイションの原動力になっているそうです。
そんなおみそはんに、住まいへのこだわりを尋ねてみると、返ってきた答えは「明るくて風通しがいいこと」。古さや新しさよりも、日中に自然光が入る部屋が、制作へのやる気のスイッチになると話します。
かつての賃貸暮らしで1口コンロや調理スペースの少なさに悩んだことも。そんなときはホームセンターで材料を買い、自作の板を設置するなど、DIYで工夫を重ねるほど、まずは“やってみる”精神がおみそはんの暮らしにも息づいています。
白米のようにプレーンな「No.00」の家をキャンバスに、おみそはんがまず考えたのは、『この家で何をしたいか?』ということ。
「肉じゃがを煮込みながら、横でビートを打ち込めたら最高」と話すおみそはん。暮らしと創作の境界がない、そんな場所が理想なのだそうです。
「うっすら顔に見える家が好きなんです」そう語るおみそはんが想像した外観は、どこか人懐っこくて、街角にいたら話しかけたくなるよう“顔のような家”。2階の小さな窓を“目”に、ひさしを“まぶた”に、木製サッシの大開口は“口”に見立てます。「商店街の中、できればコーヒー屋さんと花屋さんの間に建ってたら最高。人の行き来が見えて、声も聞こえる場所が落ち着く」とおみそはん。商店街の風景にすっとなじみながら、ユーモアと個性が光る外観に、おみそはんらしい“味つけ”が加わっていきます。
家の外観が“顔”なら、次に考えるのは“おなか”にあたる内観。
「真ん中に大きなキッチンがあって、料理も音楽もつくれる。いろんなことができる場所が家の中心にあるのがいいですね」。そう話すおみそはんが思い描いたのは、ひとつの大きな作業台兼キッチンを中心に据えた空間。室内は全体的に明るい色調で統一。床はナチュラルなウッドのヘリンボーン張りに。壁の一部には、背景紙のように色を変えられる可動式パネルを設け、撮影や配信、ちょっとした展示やイベントにも対応できる“スタジオ的な一角”もと想像が広がります。
「ぬいぐるみも楽器も、子どものおもちゃも、“出しっぱなしOK”の家にしたいんです」 と話すおみそはんにとって、すべてが日常の一部。すぐに手が届いて、すぐに遊べて、すぐに作れる。その自由さこそが、“暮らしの理想形”なのかもしれません。
2階の窓を“目”に、ひさしを“まぶた”に見立てて顔の家のデザインに。窓枠は定期的に塗り替えたいと細部までDIY精神が根付いています。
「家の中にぬいぐるみが外を眺めるための小さな窓が欲しい」とおみそはん。日替わりで外を眺められるように、FIXの小窓を。顔の家の“鼻”も担当!
口ひげのポジションには、オレンジと白のストライプ柄の軒先テントを。お肉屋さんをイメージしたオレンジと白の太いストライプ柄。外壁は漆喰塗りでシンプルながらもテクスチャーを加え、オーニングが際立ちます。
「ここで何をしたいか?って考えると、どんどんアイデアが湧いてきて、すごく楽しかったです」。
はじめは家を建てるなんて、自分には関係ないと思ってたと言っていたおみそはん。
でも、プレーンな「No.00」というキャンバスに向き合う中で、自分の好きなもの、やってみたい暮らし、子どもとぬいぐるみと一緒に過ごす日常が、どんどん形になっていったそう。
「土台があると、妄想がどんどん具体化していくんだなって思いました。家って、もっとカジュアルに考えていいんですね」。
そんなおみそはんが名付けたこの家のタイトルは、出身地・御殿場にちなんで「創作御殿」。暮らしと表現、子育てと遊び、食と音楽がゆるやかにつながる、おみそはんならではの空間ができあがりました。
「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、トラック、リリック、アートワーク、映像などを自ら制作し、料理と音楽の新たな楽しみ方を提案する、超自家製ラッパー。 まぎらわしい名前だけど、一人。Eテレの番組「ごちそんぐDJ」でお茶の間に進出。CM音楽や絵本の制作、コラムの執筆、ワークショップ講師など、その活動は多岐にわたる。各地の食材をフューチャリングに迎える出張食堂『ジャスタジスイ食堂』も不定期で開催している。
Illustration/ 五味健悟 Edit, Text/ 中島直樹