Dolive Doliveってなに?

菊池亜希子 DATE 2022.10.04

モデル/俳優・菊池亜希子さんの喫茶店ハウス

「家ってもっと、シミュレーションゲームみたいに自由に、楽しく作ってもいいんじゃない?」 こんな想いを胸に、さまざまな分野で活躍するゲストが「本当にほしい家」のイメージを探すお手伝い。連載「妄想HOUSE」は、あらゆる固定観念から自由になって、住む人の「好き」のみをベースにした家づくりのアイデア集です。

今回のゲストは、喫茶店好きが高じ、著書『好きよ、喫茶店』も上梓した菊池亜希子さん。家なの? 喫茶店なの? B&Bなの? 喫茶店をベースにぐんぐん妄想が広がる、楽しく新しい菊池さんの理想の家について、自身の手で図面を描き起こしながら、具現化していきました。
菊池亜希子さん

岐阜県出身。数々のファッション誌、ライフスタイル誌の誌面を飾るほか、俳優として映画、ドラマでも活躍。
裏方としてアイドルグループの写真集をディレクションしたことも。着こなしやライフスタイルのセンスも注目を集め、 自身が編集長を務める『菊池亜希子ムック マッシュ』も発刊。現在、雑誌『リンネル』(宝島社)、『LEE』(集英社)、『天然生活』(扶桑社)で連載中。
BSフジ『私たちの天然生活』では、ナビゲーターとして気になる人の暮らしを深掘り取材している。
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街のシンボル、 トースト型の喫茶店にみんな集まれ!

「いつか自分で喫茶店をやりたいんです。現実でどんな喫茶店にするかは長い人生をかけて考えていきたいんですけど、今はいろんな人の宿木になるような喫茶店があったらいいな!と妄想しています」

「最近は友人たちが陶芸や手芸など、趣味の創作活動に夢中なんです」。菊池さんも絵を描くのが好き。1人で黙々とやるのもいいけれど、集まって手を動かして、おしゃべりして、気づくとお茶ばかりしていた!なんていう感じがとても楽しいのだと言います。そういう場を理想の“喫茶店ハウス”として考えてみました。

「街のシンボルになるようなお店にしたいんです。分厚いトーストが大好物だから、外観は全体が厚切りトーストのフォルム。鳥山明先生の『Dr.スランプ』に出てくるポット型の喫茶店に子どものころから憧れていて、あんなふうに『あぁ、あのお店ね!』とみんなに知られていたらいいな」

お店はその名も“KISSA TOAST”。色はこんがりと美味しそうな焼き目がついたブラウンで、一切れ持ち上げたように小さな2階があり、とろ〜りと溶けたバター型の部屋も。そのバター部分が菊池さんのプライベートスペースです。

「バターで一気にファンシーな外観になりますね。じんわり溶けて角が丸くなったバターは幸せの象徴のよう。夢が詰まっていますよね!」

トーストにバターが染みている幸せ感を部屋の中にいるときに感じられるよう、「じゅわ〜」っとした素材感の床材を使用。そこは土足厳禁で、お客さんにはフカフカでしっとりとした靴下を貸し出して、はき替えてもらいます。

「バターが溶け始めたときのまるっぽいフォルムは、完璧だと思うんです。だから、階段や壁はなるべく全部角を取って、溶け始めのバターと同じ角度にしたいです」

バターの染みたシナモントーストを頬張りながら、バターヘの愛とこだわりを妄想ハウスに反映させていく菊池さん。

「このトースト型の建物は、ユニット的に組み合わせ可能なので、フランチャイズ展開して。フランチャイズでも、外観の焼き色の濃度や、乗せるのがバターなのかホイップクリームなのかなどはオーナーさんの裁量に任せているので、画一的な外観にはならないんです(笑)」

こもったり、集ったり、自由に過ごす
コミュニティハウスは老後の夢

内部は、巣のような構造に。小さい個々の空間がぽこぽこと多層的に点在していて、みんながコーヒーを飲みに集まってくるのです。

「どーんと広い空間よりは、スキップフロアが好きです。階段状になっていて、1.5階があるような。階段下の隙間のようなスペースもワクワクします。そんな秘密基地のような部屋がいろいろなところにあるイメージ」

カラフルなカーテンがかかったパンの中の小部屋。住人はふわふわのパン生地靴下を編んでいます。

こもれる部屋では、お客さんがそれぞれ手芸や、陶芸、読書、料理、昼寝、コーヒー焙煎など、創作活動をメインに好きなことをして過ごします。でも、いつでも誰かの気配は感じられて、部屋から出るとほかのお客さんとおしゃべりを楽しむこともできる。部屋にこもって熱中している人、窓から顔だけは見えている人、オープンな場所にいる人……そのときの気分で過ごし方が選べる自由な喫茶店タイプのコミュニティハウスです。

トースト型の建物全体は少し浮いた構造で、その下は屋外に繋がったスペースに。住人とお客さんが作ったものを素敵にさりげなく販売しています。通りがかりにふらりと立ち寄って、焼きたてのパンやコーヒー豆を購入することもできます。

「『私が作ったこれ、売れる?』『私、買いたい!』『こういうの欲しいから作ってよ』と、ここだけで消費サイクルが回り、経済の流れがきれいに繋がっていたらおもしろいですよね」

自分の好きなこと・得意なことを発揮して、それと物々交換のように相手の好きなこと・得意なことを受け取る。そんな純粋な価値の交換が新しい、菊池さんの妄想ハウス。

そんな喫茶店ハウスでの、気になるメニューラインナップは、コーヒー、フレッシュジュース、そして厚切りトースト。名物トーストの豊かな厚みと、たっぷりバターの染み具合がこだわりです。

「コーヒーを淹れるのは必ずしも私じゃなくていいんです。手が空いてる常連のお客さんが好きにコーヒーを淹れるような感じ。ドリップやサイフォンなど、コーヒーを淹れる器具は各種取りそろえておきます。看板メニューのトースト用の食パンも、パンを焼くのが好きな人がここで焼いて、ジャム作りが好きな人が“ジャムおばさん”として季節の果物のジャムをことこと煮てたりするといいな」

「老後の夢のような気分で考えていたのですが、なんだか男子禁制的な雰囲気がありますね。おばあちゃんたちのコミュニティのような。でも男女の境はなく、マインドがおばあちゃんであればオッケーってことで。バリアフリーも考えたいですね。でも、足腰鍛えるために階段をたくさん使うのも大切ですね」

高校・大学と建築学科で学んでいたからこその発想と、爆発する偏愛と。家づくりから暮らし方までどんどん広がる自由な喫茶店ハウスが、菊池さんの妄想の中にできました。

「こうやって見てみると、本当に建築学科を出てる?って言われそうで怖いです(笑)」

Photography/ kento mori Text/ 安達薫 Illustration/ HONGAMA Styling/ 山口香穂 Hair&make/ ナライユミ

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