Kanocoさん
兵庫県出身。ファッション誌、ライフスタイル誌、CM、広告などで活躍中。月刊誌『OZmagazine』(スターツ出版)ではレギュラーで表紙を飾る。InstagramやWEARで発信するシンプル&ベーシックな着こなしや、ナチュラルなライフスタイルも人気。著書にスタイルブック『かの・この・はなし』(宝島社)があるほか、夏ごろに新刊を発売予定。6月に男児を出産したばかり。
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「大のシロクマ好きです。妄想の家は制約がないからいいんじゃないかと思って、建築模型のような意味で、フランスの彫刻家フランソワ・ポンポンのシロクマのフィギュアを持ってきました」
親子のような大小のシロクマフィギュアをイメージし、Kanocoさんが妄想したのは一対のシロクマハウス。「母屋と離れのようなイメージです。外壁はこのフィギュアと同じ、陶器のようなつるんとした材質がいいな」
円柱やアールがあるスタジオ、アーチ形の扉など、丸みを帯びたデザインに惹かれるそう。
「かまぼこ形やかまくら(雪洞)のようなフォルムもいいですね。今住んでいる家は四角い部屋ばかりなので、余計にそう思うのかも。あと、欲しいのは開放感。狭いところが苦手なので、とにかく広いワンルームに憧れているんです」
「母屋は大きな前脚が玄関ですね。もちろん扉はアーチ形。木の素材もいいのですが、やはり防犯を考えると外壁と同じ陶器のような材質で、ここは現実的に(笑)。そこからガラス張りになっているエレベーターで胴体部分へ移動します。なんだか美術館みたいですね!」
「ベッドルームは、シロクマの頭のところがいいな。一番高いところだから、いい夢が見られそう。両目が窓になっていたらお月見できていいですね」
シロクマのおでこの部分(天井)にはプロジェクターを映して、寝ながら観たいという発想は、映画や動画を観ている時間が幸せだというKanocoさんの趣味が活きています。
「お腹のところはキッチンです。Instagramにごはん用のアカウント(@kanogohan)を持っているくらい料理が好きなので、部屋を見渡せるような開放的で使いやすいアイランドキッチンに憧れます」
「キッチンの上は広いリビング。基本的にあまりモノを置かないのが好きなので、家具は必要最低限、テーブルとソファーだけでいいです。テーブルは実際に嫁入り道具として作った、大好きな桜の一枚板のもの。幅170cmのどーんと大きなテーブルで、とても気に入っているので持って行きたいです」
“モノを置かないのが好き”とはいっても、シロクマだけは別。
「今は100匹以上、大きい子はリビングに、小さい子はベッドルームに集結させています。最近も身長160cmくらいで仁王立ちする子が来たばかり。他にもスノードームやお皿、グラス、服などシロクマグッズがずらり。シロクマ記念館や、シロクマグッズのリース屋さんが開けるくらいです(笑)」
「シロクマ好きになったきっかけは、高校3年生のときに訪れたロンドンのハロッズで購入したぬいぐるみ。その子を愛でていたら、いつの間にかシロクマ自体が好きになって。好きと周りに言っていたら、みなさんにいただくようになりました。私を思ってプレゼントしてくださったものだから、よけいに愛おしく思えて。そうやって周りの方のおかげで、愛がどんどん大きくなってしまいました」
「子ども部屋が必要になるのはまだまだ先だけど、シロクマハウスに作るとしたら、離れに。できれば子ども部屋の隣にシロクマルームを作って、そこにシロクマコレクションを飾りたいです。リビングがある母屋とはドームのような透明の通路で繋がっているといいですね。楽しく行き来したいです」
「大きな脚の部分は、1本は玄関、1本は夫の書斎に。あとはクローゼットにしたいです。もう服がたくさんあって大変なんです。服が大好きで、なかなか捨てられないので。立体駐車場のような高さのある収納にして、自動で着たいものが選べたら最高! 今はオフシーズンの服はレンタル倉庫に預けています」
「田舎の出身なので都会に憧れているのですが、特に東京で自然が多いところが大好き。だからお庭も欲しいです。そこにフワフワとしたスモークツリーを植えます。スモークツリーは、和名を“ハグマノキ(白熊の木)”というんですよ。私、お庭で朝ごはんを食べるのが夢なんです。テーブルに赤いチェックのテーブルクロスを敷いて、パンケーキを焼かなくちゃ! 」
「子どもの発想のようなとりとめのない妄想ハウスも、こうしてまとめてみるととてもいい家ですね。かわいい! 本当に住めそうな気がしてきました」
Kanocoさんの妄想と現実的な理想をミックスしたシロクマハウス。そこには出産を経て始まった新しい暮らしへの期待と、ずっと変わらないKanocoさんの芯の部分が垣間見え、穏やかな幸せが漂います。
「シロクマハウスのリビングルームの窓からたっぷり光を浴びて、自然の鳥の声や、風、雨の音を聞きながら過ごしたいです」
Photography/ 藤井由依(Roaster) Text/ 安達薫 Illustration/ HONGAMA