「家ってもっと自由に想像してみてもいいんじゃない?」——。さまざまな分野で活動するゲストが「本当に欲しい家」を妄想する「妄想HOUSE」。あらゆる固定観念から自由になり、自分たちの「好き」を夢いっぱいに詰め込んだ家を考えていただく連載企画です。
今回のゲストは、「Life is a Picnic」をコンセプトに活動するNEXTWEEKENDのみなさん。メディア、商品開発、店舗運営……さまざまなかたちで、“ピクニックをするように、人生を自由に楽しくカスタマイズする”TIPSを提案するライフスタイルブランドです。
NEXTWEEKEND
代表:村上萌さん(もえ)、編集者:渡邊友美さん(ともみ)、コンテンツプランナー:昼間安代さん(やすよ)、営業・広報:小松美貴さん(こまみ)
“人生も、ピクニックみたいに自由に作って楽しめばいい”──ピクニック思考をベースに、ライフスタイルプロデュース事業を展開するブランド。12年間愛されるコミュニティメディア「NEXTWEEKEND 」をはじめ、雑誌やカフェほか、季節の楽しみと小さな工夫を提案。暮らしのアイデアを詰め込んだ書籍『Life is a Picnic 』が発売中。
せっかくなら、今よりも楽しい時間を作る「ピクニック思考」
「叶えたい理想の生活や小さな野心が胸にあっても、今すぐは難しいし、3年後は遠すぎる。“いつか”と思っていることを、“次の週末”くらいの距離感で叶えてみない?って、背中を押せたら」
そんな村上さんの想いから生まれたNEXTWEEKEND。
ライフスタイルプロデューサーとして活動していた村上さん個人の事例を紹介するサイトに、共感し励まされた仲間が集い、“季節の楽しみと小さな工夫で理想の生活を叶える”哲学とTIPSがあふれるライフスタイルメディアへ。
それでも12年の節目、葛藤を重ねて、2024年の秋にウェブメディアとしての活動を止め、リニューアルを発表。同時に掲げたのが「Life is a Picnic」という合言葉です。
「誰かと競って比べて、山の頂上に登り詰めなくても、登る途中にもいい景色が広がっているかもしれない。『せっかくなら』と少し目線をずらすだけで、違う景色が見えるし、今よりもっと楽しい時間が作れるはず。
人生もピクニックみたいに、もっと自由に気軽に組み合わせて楽しめれば!!と思ったら、心が晴れやかになる気がして。一つの正解や頂上がない今、山登りではない、ピクニック思考を届けたい。メディアの枠にとどまらず、まだまだやりたいこと、できることがあるなって思ったんです」と村上さんは話します。
ウェブメディアの幕を降ろしたのは、もっともっと、その先へ向かうため。
NEXTWEEKEND、新たな章のはじまりに、「ピクニック思考」を詰め込んだ妄想HOUSEを考えてもらいました。
少し先の理想に出会う旅。舞台は湖畔に佇むモーテル
もえさん
忙しい毎日に追われて忘れがちな、自分の小さな理想に気づくのに、旅は効果的じゃない?特別なことをしなくても、こんな暮らしがしたかったんだって、ささやかな自分の理想を思い出せる宿泊施設を作りたいよね。
やすよさん
オーベルジュのような非日常じゃなくて、モーテルくらい日常の延長線上にある場所。
もえさん
目的地があるわけでもなく、無計画に車を走らせている旅の途中、湖畔を見つけて引き返したら、そこに佇んでいる。「NEXTWEEKENDのピクニックモーテル」はどう?
ともみさん
いいですね!季節や天気に合わせて、好奇心のままピクニック気分を楽しめそう。
やすよさん
木陰で囲む食卓とか、湖畔を眺めながら描くアートとか、そこで出会った暮らしのときめきを、そのまま日常に引き伸ばせるモーテルにしたい。
もえさん
そこで出会えるのは、想定外ではなく、自分の胸に秘めていた追憶と憧れ。卵一つ割るのも映画のワンシーンみたいに絵になる、日常が舞台になるモーテルを作ろう!
レモンが実るシンボルツリー、庭に囲まれた小さな家
こまみさん
ともみさん
一歩踏み入れたら、自分だけの物語が始まるような世界観の扉と小道があって、庭にはシンボルツリーを植えたいなあ。
もえさん
庭に囲まれた小さな家。生い茂る木々の隙間から見ちゃった!“覗き見感”を出したい(笑)。
もえさん
シンボルツリーは実がなる、りんご?ザクロ?レモンがいいかな。実をもぎって料理に使ったり、木に登ってお昼寝したり。
こまみさん
建物の外観は、土っぽいピンクとベージュの間くらいの色味で、四角っぽくて、窓があるイメージ。
ともみさん
萌さんが、おばあさまの自宅だった築100年のドイツ建築の洋館の窓を受け継いでオフィスにつけたように、大切に使われていたものを思い出と一緒に紡ぎたい。どこか懐かしさが漂うような。
もえさん
祖母の庭で過ごした記憶は、NEXTWEEKENDのアイデンティティにもなっているんだよね。そこにあった、ただ庭を眺めるだけの窓をつけよっか。ドアや窓枠は深いグリーンがいいな。
やすよさん
1階にはワインやシャルキュトリーを買える小さなお店があって、全部自分たちで用意しなくてもいい気軽さがほしい。そこから階段に登って中2階にあるエントランスへ行けるとか。
木漏れ陽が差す中庭と、星空の下で映画が観られる屋上
もえさん
エントランスはゲストに受付をお任せしてコンパクトに。人件費の節約にもなるし(笑)。さらに中庭も作っちゃうのはどう?
ともみさん
中庭ほしい!そこにも大きな木があって、木漏れ陽の下で食事やお昼寝をしたい。
もえさん
WE LOVE♡KOMOREBIだもんね。Tシャツつくろっか(笑)。
こまみさん
中庭は共有スペースで、キッチンと食卓とくつろげるソファスペースがあって。夜は照明を灯して、いい雰囲気に。
やすよさん
ポートランドで元小学校のホテルに泊まったときに、体育館で、無造作に並べられたアンティークの椅子やソファに座って、映画を観たんです。クラフトビールを片手におしゃべりをしながら。そういうちょっと非日常感のある時間も作れたらいいなあ。
もえさん
中庭に階段をつくって、屋上に行けるようにして、そこで映画を観るっていうのはどう?
やすよさん
星空の下で映画鑑賞、最高です。屋上にもハーブを植えて……
もえさん
朝食のサンドウィッチに味が足りないなと思ったら、階段上がって摘みに行く。
ともみさん
部屋のカラーは全体的に、ほっこりでも奇抜でもなく、アーティステックな大人カラフルな感じ。アースカラーをベースに、深みのある色をアクセントに。
もえさん
差し色も原色じゃなくて、ちょっと淡かったり燻んでいたり。部屋ごとにインテリアのテーマカラーも変えよっか。
外と中の境界線は曖昧に。ピクニックをするように暮らす部屋
ともみさん
アート部屋は、土っぽい塗り壁で、床はテラコッタのタイルでもかわいいかも。
もえさん
床全面タイルにするなら、ベッドスペースにはラグを敷いて。テーブルはミントグリーンがいいな。
ともみさん
ちょっと癖のある照明を置いて、絵画を飾って。窓辺にキャンバスを広げてアートに没頭したいなあ。
やすよさん
夕焼けや月を眺めながら、湯船に浸かるのも絶対に気持ちがいい。
こまみさん
湖畔に面する個別の部屋は、出入りできる大きな窓があるといいですよね。その前にはバルコニーがあって、いつでも湖畔に出られる。バルコニーにソファを置きたいです。
もえさん
やすよさん
ドアを開けていきなり部屋が広がるんじゃなくて、本棚で隠されているとワクワク感が演出できるかも。ちょっとした廊下のような感覚で。
ともみさん
そこにアートを飾ったり、レコードを置いてもよさそう。ベッドサイドには小さなコーヒーテーブルがあって。
もえさん
やすよさん
ただ料理をしたり、乾杯したり、本を読んだり。ここなら特段変わったことをしなくても、ピクニックをするように暮らせる……。
もえさん
ねえ、ちょっと最高じゃない?どうしよう、本当に泊まりたい。妄想で終わらせたくないね。
少し先の理想の生活がぎゅっと詰まったNEXTWEEKENDのPICNIC MOTEL HOUSE。「いつかピクニック思考を体感できる場をつくりたい」と語るみなさん。ぶれない哲学と軽やかな行動力で、その「いつか」を実現する日もそう遠くない予感がしています。
Photography/ 小林真梨子 Text/ 徳瑠里香 Illustration/ 蔵元あかり