Dolive Doliveってなに?

TOKYOBIKE TOKYO,トーキョーバイク DATE 2021.12.01
2021年7月に東京・清澄白河にオープンした「TOKYOBIKE TOKYO」。自転車の販売だけでなく、自転車を軸に街とのつながりや出会いを創造する、多目的なショップとして人気を呼んでいます。誰もが気軽に訪れられ、楽しみを共有できる空間づくりについてお話を伺いました。

元倉庫をリノベした大空間

1,2階は吹き抜けになっている。支えているのは現代では使われなくなったトラス梁。

天井が高く、武骨な柱が印象的な空間は、もとは築58年の倉庫だったといいます。

「もともと3フロアにわかれていたのですが、それをリノベーションによってひとつの大空間にしました。地上3階建てで、1、2階がショップ、3階がオフィスになっています」

設計を担当したのは「トラフ建築設計事務所」。大空間のアクセントになっている柱を活かそうというのも建築家からの提案だったそう。

「今の建築にはないものらしく、貴重で格好いいからより象徴的に使ってはと。夜にはライトアップもされ、ショップのシンボル的存在になっています」

モルタル床は既存のものを生かして修復。猫の足跡も残っている。

ほかにも、もとの建物の良さを少しずつ残すよう改修。モルタル床も新たに均一に塗り直すのではなく、欠けた部分を埋めるという方法で修復。そうすることで、建物が持つ記憶を塗り替えるのではなく、積み重ねるイメージをつくり出しています。

コーヒースタンドとグリーンショップも併設

コーヒースタンド「アライズコーヒーパッタナー」。タイなどアジアのシングルオリジンの豆が中心。

日本初上陸の「プラントソサエティ トーキョーフラッグシップ」。センスのいい鉢にも注目。

また、このショップのユニークなところは、自転車だけでなくコーヒースタンドやグリーンショップが併設されていること。エントランスを入ってすぐの右手には、地元で人気の「アライズコーヒーロースターズ」の新店舗「アライズコーヒーパッタナー」が朝8時に開店。2階にはメルボルン発のインドアプランツショップ「プラントソサエティ トーキョーフラッグシップ」があり、カラフルな鉢や植物が空間に彩りを添えています。

「街の面白さを伝えるショップでもあるので、暮らしに関係するコーヒー店やグリーンショップに入ってもらい、自転車にそれほど興味のないお客様にも遊びに来ていただけることを目指しました」

IDEA1:フレキシブルな居場所をつくる。

大階段は縁側のように座って寛ぐスペースにも。

店内に入ってまず目を引くのが1階と2階をつなぐ大階段。訪れた人たちが縁側のようにコーヒーを片手に思い思いに座っています。階段だけれど寛ぐスペースでもある。目的を一つに絞らないフレキシブルな考えは、暮らし方にもリンクします。

例えば、住宅のリビングの中心に幅や奥行きが広めの階段を設置すれば、ゲストが来た際の座る場所にもなります。さらに、踏板の端に植物や本、オブジェを置けばディスプレイコーナーにも。

階段が作れなくても既存の部屋に寛ぎスペースをつくる方法も発見。自転車が置かれたディスプレイ台をヒントに、自宅でも窓辺に座ってちょうどいい高さの収納ボックスを置いてみてもいいかも。わざわざ椅子を持ってこなくても、そこに座ればいつでも外の景色を楽しむことができる特別な場所になります。

IDEA2:外とシームレスにつながる

エントランス。透明度の高いポリカーボネートの扉を設置した。

エントランスは、既存のシャッター開口の間口いっぱいに透明なポリカーボネートの扉を設置し、街との連続性を強調。そのまま自転車で店内に入っていける段差のない仕様になっています。

「外からでも店の中がどんな雰囲気なのかを感じることができ、それが店に対する安心感につながります。また、店内からも外が見えて開放的。この扉にしたことで、人の往来が活発化したと思います」

折れ戸になっていて広く開口する。

このアイデアも住宅に転用可能。近年、土間のある家が人気を呼んでいますが、仕切りに光をゆるやかに通す透明扉を採用することで、プライバシーを保ちながら、外とのつながりを楽しむことができます。雨に濡れて帰ってきてもそのまま自転車で入っていけたり、ガーデニンググッズの置き場にしたりなど、外との中間領域である土間は活用方法もさまざま。その魅力をより引き出してくれるはずです。

IDEA3:収納をディスプレイする。

大階段にはディスプレイと収納を兼ねた箱型什器が設置されています。

「トップがディスプレイ台になっていて、その下の箱は積み重ねることができ、在庫が収納されています。安全上、固定されている棚もありますが、可動式のものもあるので場所の移動も簡単。トップのアクリル板は取り外しができて、かなり自由度高く使える設計になっています」

この棚のアイデアも取り入れられそうなポイント。下部を引き出しにして洋服をしまい、時計やサングラスなどは最上段にディスプレイしながら収納、なんていうこともできそう。可動式にすればクローゼットからキッチンまで多様に使うことができます。

キッズスペースの壁は、商品の形に合わせてくり抜いて収納に。

階段を登って左側にはキッズのスペースがあります。キッズバイクに乗ったり、ベルを鳴らしたりなど、子どもたちが自由に過ごせる場所です。ここでは、商品の形に合わせて壁をくり抜いてディスプレイ。子どもたちが潜り込んで遊べる、クッションが置かれた小空間もあります。これも家の収納に応用できる工夫です。

工具を掛けているのは、塗装した有孔ボード。

階段の裏側の1階にはメカニックのスペースも。自転車の修理などはここで行っています。

「ここはメカニックスタッフの希望もあり、工場の色でもあるグリーンが基調になっています。ただし、色調を明るくして武骨さではなく、柔らかさを演出。工具の収納には塗装した有孔ボードを活用しました」

さまざまなものを掛けられる有孔ボードはディスプレイ収納の定番。部屋に合わせて好きな色を塗ることで、インテリアの幅もアップします。

自転車のストックは、イエローのポリカーボネートの引き戸の奥に収納。

「自転車を収納するスペースの扉もぼんやりと中が見えるのが特徴。透明にすると見えすぎるのでイエローのフィルムを貼って、うっすらと透ける程度に。圧迫感がなくなると同時に、ポップな色が空間をグラフィカルにしてくれます」

収納を閉じるのではなくオープンにすることで、好きなものをいつでも眺めていたいという気持ちが高まり、よりものに対する愛着がわいてきそうです。

IDEA4:素材を使い分ける

新たに作った壁は木毛セメント板を白く塗装した。

壁だけでなく、什器としても住宅に使用できる。

既存の鉄骨構造を生かしてトラス梁を象徴的に使用し、必要なところには新たな鉄骨ブレースや木梁で補強。大階段の半分や什器はラワン合板などのラフな素材で仕上げ、白壁は質感のある木毛セメント板を用いるなど、ひとつの空間の中でもさまざまな素材が使われています。それでも統一感があるのは、半世紀以上前の建物に対するリスペクトがあるから。

空間づくりの第一歩は、何を一番大切にするかを見極めること。ここでいえば既存の良さを生かすことでした。家づくりも同様に、生活のどこに重点を当てたいのかを考えることから始まります。モノがたくさんあってそれらを眺めて暮らしたい、というならば有孔ボードを活用したり、自転車をそのまま家に引き入れるなど外との一体感を得たいならば土間を作ってみたり。

ラワン合板や溶融亜鉛めっき鋼板などさまざまな素材が共存

内と外が半透明のドアでゆるやかに区切られ、街とのつながりを楽しめる場所。人が自然に集いたくなる、ナチュラルとインダストリアがほどよい具合に融合した「TOKYOBIKE TOKYO」には、生活を楽しむヒントがたくさん隠されています。
TOKYOBIKE TOKYO

東京都江東区三好3-7-2
03-6458-8198
平日11:00〜18:00、土日祝10:00〜18:00 / 定休日:月・火
HP

Photography/ 宮前一喜 Text/ 三宅和歌子