PES さん
HIP HOPアーティストとして2001年より活動。MCとしてのパフォーマンスから、他アーティストとのコラボレーション・楽曲プロデュース、さらにグラフィックデザインまで活動は多岐にわたる。近年はAwesome City Clubやs**t kingzなどの楽曲に客演で参加。lyrical schoolの楽曲もプロデュースしている。現在、10年ぶりとなるソロアルバムの制作も進行中。
HIP HOPアーティストとして2001年より活動。MCとしてのパフォーマンスから、他アーティストとのコラボレーション・楽曲プロデュース、さらにグラフィックデザインまで活動は多岐にわたる。近年はAwesome City Clubやs**t kingzなどの楽曲に客演で参加。lyrical schoolの楽曲もプロデュースしている。現在、10年ぶりとなるソロアルバムの制作も進行中。
ツリーハウスで大自然を一望しながら、ゆったりと自分の時間を満喫したり、断崖絶壁にある全面ガラス張りのホテルに泊まって、美しい星の下で眠ることなどに昔から憧れていたと語るPESさん。どうやら自然にぐるりと囲まれた環境が好みのよう。
「自然に囲まれるのっていいですよね。僕は趣味でシュノーケリングをやっていて、いつも5メートルくらい潜って海底で正座するんです。聞こえるのはポコポコという水の音だけ。頭上を見上げるとすごくきれいで、落ち着くんです。曲作りにおいても、一人で何も考えずに、頭を真っ白にする時間が必要だから、妄想ハウスはそれが体験できる家だといいですね。そんなところで曲を作ったら超楽しそう!」
PESさんは自然の中でも趣味でよく行く海に絞り、景色を楽しみながら過ごせる理想の空間を妄想しはじめました。
「水族館にある水中トンネルもすごく好きなんですよね。海の中に全面透明のガラス張りで、球体の家を作ったらどんな感じになるのかなあ。360度まわりが見えて、色とりどりの魚が泳いでいて、珊瑚礁もあって……」
スケッチブックに絵を描きながら海中ハウスの妄想を広げるPESさん。
「中央の大きな球体をリビングにして、そこに別の球体の部屋をくっつけちゃいましょう。音楽スタジオ、ダイニングルーム、ベッドルーム。もうひとつはサーフィン用具を置いたりするストレージルーム。さらに小部屋をくっつけてバスルーム、植物ルーム、ランドリールーム、トイレ。連絡通路も透明がいいですね……いや、全部透明だと夜、魚がバンとぶつかってきたりして怖いから、ボタンひとつで暗くなる調光ガラスにします(笑)」
中央の球体から大小の部屋が8方向に延びたフォルムは、まるでタコのよう。シュノーケリングだけでなくサーフィンも大好きなPESさんらしく、この家を「シーハウス」と名付けて各部屋のディテールを妄想していきます。
PESさんの楽曲にも海にまつわるものが数多くあります。2012年に発表したソロアルバムには「シーサイドラバーズ」という楽曲も。そんな海を愛するアーティストPESさんが、「シーハウス」にて一番こだわりたいのは、やはり音楽スタジオの部屋。
「できればドラムや鍵盤があるとうれしいですね。レコーディングは、この球体の中に狭い吸音ブースを作ればOK。あと、こだわりたいのは水深かな。頭上がキラキラと光っていてほしいから、理想は太陽光が届くくらいの深すぎない位置ですね。海に差し込む光を見るのがたまらないんですよね」
ただし、部屋の広さはむしろ狭い方が好み、とPESさん。
「今は自宅に構えた四畳半の部屋で音楽を作っているんです。DTM(デスクトップミュージック。パソコンを使用して、音楽や楽曲を作ること)なのでパソコンとサンプラーとギター&ベースが全部手の届くところにある。そういう狭いところで作るのが好きなんです。だから、妄想の音楽スタジオも全体で8畳もあれば十分(笑)。広いと音が反響しちゃうし、こじんまりしてるのが好きなんです」 。
「この部屋で生まれる音楽は……アゲアゲにはならないでしょうね。まったりするだろうなぁ(笑)。ラップもするかどうか……。スピリチュアルな音楽しか作らなくなっちゃうかもしれない。まったく新しいアンビエントヒップホップとかね。あと、気持ちいい音質を研究し始めるかも。どんな音を出したら人はすぐ寝るかとか、水中にいる気分に近づけるかとか、とにかく変わったものが生まれるでしょうね」
音楽スタジオとサーフボードを収納するストレージのほかに、PESさんがこのシーハウスに作りたいのは小さな植物ルーム。現在も自宅で観葉植物や多肉植物を育てていて、癒やしの部屋になっているのだとか。
「今住んでいる家でも、植物を長時間眺めています。まわりから“病んでるの?”って言われるくらい(笑)」
特に夢中になっているのがビカクシダというシダの仲間だそう。
「ビカクシダは、もう怖いくらい育っちゃったので(笑)。20株くらいあったのを友達に分けたりして減らしました。今の家はいろんなところに植物を置いてあるけど、シーハウスには植物専用の部屋がほしいですね。1度に温度調節も可能だから便利そう」
ライフワークである音楽と、癒やしのツールを完備したPESさんのシーハウス、実は海中部分は家の一部で、地上からの玄関口にもなる巨大なスペースがついている……と言うから驚き。
「映画『アイアンマン』に出てくるトニー・スタークの家がある崖みたいな場所に、何でもない普通の一軒家を建てて、シーハウスへの入り口にしたいです」と妄想は止まりません。
「崖の地下に洞窟を掘って、そこからトンネルでシーハウスに繋げたいですね。地下の洞窟にはエレベーターでシュッと降りる。エレベーターはあえて無機質にして、洞窟は岩肌が剥き出しの感じがいいな」
「洞窟はパーティールームにしたいですね。ライブができたり、クラブとして楽しめるスペース。それが作れたら完璧! でも友達とか仕事仲間が入れるのはこの洞窟まで……。オクトパス型の海中ルームには僕だけが入れるんです」
普段、音楽を制作する時間は決めていないそうですが、「この家だったら作るのは朝になるでしょうね」とPESさん。午前中は海に差し込む光を見上げながら海中の音楽スタジオで曲作り。夕方になったら、海に沈む太陽を崖の上の家で眺めてリラックス。
「最高にチルな妄想ハウスから、どんな音楽が生まれるかを考えるだけでワクワクします」
PESさんの妄想ハウスをもとにCGハウスを制作!ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
Photography/小林真梨子 Text/猪又孝 Illustration/ HONGAMA