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真似したくなる、空間のアイデア -小川売店編-

DATE 2021.03.04 暮らしのヒント
小川売店
コーヒーとクレープのやさしい香りに誘われて茅ヶ崎の鉄砲道を進むと、そこに見えるのはコダックの黄色い大きな看板とタコが描かれた「小川売店」という小さな看板。もともと写真館だった物件の持ち味を生かしながら、オーナーの小川卓哉さん・小雪さん夫妻が“好き”を詰め込んでリノベーションしたコーヒーと軽食のお店です。

三角の土地に沿うように建てられた物件を3つのイメージにわけて作り上げた内装のこだわり、そして真似したくなるようなインテリア術を、小川さん夫妻に教えてもらいました。
小川売店

住所:神奈川県茅ヶ崎市南湖5-11-1
営業時間:8:00〜18:00(L.O 17:00)
定休日:水曜日、第3木曜日
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※店内写真撮影禁止

見た目は写真館。中に入ると、海外の喫茶店?!

都内でバリスタとして働きながら、「いつかコーヒーのお店を」という卓哉さんの夢を実現させるために、物件を探し始めた小川さん夫妻。『都心へのアクセスがいい海の町』『1階が店舗で2階が住居』、そして『自分たちで改装できる物件』という3つの条件を満たしたのが、かつて写真館だったこの物件。

「もともとは七五三の写真を撮るような町の写真館で。入って左側が撮影スタジオ、正面が現像受付、右側がフォトギャラリーになっていたんですよ。たくさんのドアで空間がかなり仕切られているユニークな形状は、写真館ならではだなって」(卓哉さん)

「商売の用途に合わせて作られた商店の物件に惹かれたんです。実際に住みながら、どうリノベーションするか想像を膨らませていったのですが、三角形の建物なのでキッチンをどこに配置するかなど動線が限られていた部分があって。最終的にドアを取り払って、床にガムテープで線を引きながら、『コーヒーのお店』というゴールに向かってイメージを固めていきました」(小雪さん)

シュガーバタークレープとコーヒーのモーニングセット。オレンジジュースもついてくる。

アイスクリームパーラーやレトロな喫茶店…
様々なイメージが一体になった空間

写真館時代はスタジオ、現像受付、ギャラリーというエリアに分かれていたこの建物。それを受け継ぐかのように小川売店の内装も3つのイメージから生み出されました。

「左側は昔の喫茶店、スナック、キャバレーやホテルのロビーのようなギラギラした雰囲気。正面にはカウンターを配置してアイスクリームパーラーや遊園地の売店のような雰囲気に。右側はさびれたダイナーのような雰囲気。先代が仕事をやり込んだ空間を活かしたかったですし、横に長い物件なのでイメージのレイヤー感を大切にしましたね」(小雪さん)

「当初から写真館のギミックがある部分を残したいなと思っていました」と語るのは卓哉さん。コダックの看板とトイレの鏡は特にお気に入りなんだとか。

「僕が写真をやっていたこともあって、コダックの看板は残したいなと思いました。もともとスタジオだった部屋の脇にあるトイレの鏡は、写真撮影前のお直し用なのかとても大きくて。縁取りにパールがあって、バブルの雰囲気があるギラギラした感じが気に入っています」(卓哉さん)

IDEA1:柄壁紙にトライするなら壁の一部から

そんな元スタジオのスペースは、今やホテルのロビーのような佇まい。照明機材を天井から吊るすためのレールやスイッチがそのままになっているなど、ここにも写真館の名残を感じつつ、いちばん目を引くのはグリーンの柄壁紙。

「広範囲に柄壁紙を使うとさすがにうるさいかなと思ったんですけど、部分的には使いたかったんです。だから、キャバレー感を出すためにこのスペースは全面に柄壁紙を使うことにしました」(小雪さん)

実はこのスペースはもともと客席にする予定ではなかったんだとか。開店準備期間にひとまず卓哉さんが惚れ込んだこの壁紙だけ張り替えていたところ、客足が増加し開放することに。そのため急遽、家で使っていた手持ちの家具や中古家具を運び入れたといいます。

「壁紙のおかげでホテルのロビーや応接間のような重厚感が出たので、それに合わせてローテーブルやモケットソファを入れました」(小雪さん)

「柄壁紙はハードルが高い印象があるかもしれないですが、洗面所やトイレなどの小さい空間や壁の一部だけに使うと住宅でも取り入れやすいと思いますよ」(卓哉さん)

IDEA2:空間を締める一工夫!天井にもアクセント

建物の角に向けて狭まっていく造りになっているこの空間には当初からL字のベンチシートを入れようと思っていた小川さん夫妻。

「ここには建物の形状を考えてL字のベンチシートを。ベンチシートにするなら空間全体をダイナーのようにしたいなって思って。スペースに合わせて座面も背もたれも小さめにオーダーしたのですが座り心地もいいんですよ」(小雪さん)

板張りの天井も、居心地の良い空間づくりのテクニックのひとつ。もともと床を少しだけ上げる予定が、「天井を下げたほうがコストも抑えられるし、空間に雰囲気がでる」という設計士さんのススメで現在のかたちに

「私たちは天井にこだわりがなかったんですけど、設計士さんが『低くして板張りにしよう』って(笑)。だから天井は全部設計士さんにお任せして。天井の深めの木の色が空間を締めてくれたので、ソファもトーンの低い赤にして、結果的にこっくりした色のリラックスできる空間になりましたね」(小雪さん)

そして、下げた天井の中と最奥部の格子の中にはダクトイン式のエアコンが。コーヒータイムをゆったりと過ごせる空間づくりをしながら、機能面もバッチリのアイデア。

IDEA3:自分の"好き"を集めつつ、サイズと色味で統一感を

緑を基調とした華やかな柄壁紙、ピンクの見切り材が生えるミントブルーの壁、板張りの天井、プールのようなタイルをあしらった白壁……質感やイメージがバラバラながらも、小川売店にはなぜか統一感が。

「住宅だったら思ったよりも小さめの家具でも間に合ったりするので、部屋と家具のサイズ感だけは徹底的にチェック。サイズ感さえ気をつけて、自分の“好き”を集めたら自然と統一感が出ると思います。例えばこのスツールは、オールドハワイなんだけどハワイっぽすぎないとか、スツールの脚が細すぎないかとか、そういう絶妙なところまで、“好き”の感覚を突き詰めているんですよ」(小雪さん)

「このお店の場合、インテリアの雰囲気や色を全て統一してしまうとまとまりすぎて物件の良さを活かせないと思って。でも、木の色を統一することでいいまとまりが出ているんだと思います。カウンターに使っている集積材などディテールも含めて木のトーンを揃えると、ほかの要素がバラバラでも統一感が出ますよ」(卓哉さん)

締めるところは徹底的に締め、あとは“好き”を突き詰める。小川さんご夫妻にならい、まずは壁やトイレなど小さな空間から、住宅に“好き”を散りばめていってみては?