竹聲館
住所 : 大分県由布市湯布院町川上2381-7
電話番号 : 0977-84-7414
営業日 : 金土日
CREATORS PROJECTでの対談をきっかけにスタートしたNIHON NOIE PROJECT。
日本が大切にしてきた“和”の魅力をノスタルジックにでなく、現代に合わせて自由に解釈して表現する、「新しい“和”」。NIHON NOIE PROJECTでは、「モノ」や「ヒト」「コト」を通じて、日本各地にある「新しい“和”」を見つけ、暮らしの中に“和”を取り入れるアイデアを紹介していきます。
「Crafty」は2010年に設立された、伝統の竹細工を軸にしたブランド。もともと40年にわたって由布院で竹細工職人をしている両親と、ファッションを学んできた娘夫婦によって生まれました。竹かごと異素材の組み合わせで生まれるプロダクトは、NIHON NO IE PROJECTが考える「新しい“和”」を感じさせるモノになっています。
そもそも、大分県といえば「竹細工」が伝統工芸ということをご存知ですか?大分県は竹細工に用いられる真竹の日本有数の生産地。温泉が豊富なこともあり、温泉に行くための石鹸やタオルを入れて持ち歩くかごとして竹細工が日常に根付いていきました。
大分に自生している真竹は、その厚みが大きな特徴。
「とにかく厚くて均一に編んでいくのが大変。その分丈夫で、細いものでも全然壊れない。一生モノです」と話すのは高見一也さん。高見さんが生まれる前に作られたという40年モノの竹かごもまだまだ現役。孫の代まで使えるようなクオリティのものがたくさんあるそうです。
そこからどうして「Crafty」が生まれたのでしょうか。
「竹細工は素晴らしい工芸品ですけど、若い方にも気軽に使ってもらえるかというと、そうではありませんよね。もっと街の中でも身近に使ってもらえたらと考えるなかでCraftyが生まれました」と高見さん。
竹細工の職人であるご両親。ファッションを学んできた娘の佳乃さんと夫でレザー加工職人の一也さん。それぞれの技術を組み合わせたバッグを展示会で発表したことから、ブランドが本格的にスタートしました。
「3万円の竹かごだと敷居が高いかもしれませんが、3万円のバッグなら手に取れる。そうやって竹細工の魅力を知り、ゆくゆくは竹かごにもチャレンジしてほしいと思います。僕たちのブランドが入り口となり、伝統を広めていくきっかけになれば」。
高見さん一家だからこそ生まれたブランドではありますが、全て手作業がゆえに制作できる数には限界も。竹を編むところから考えると、1カ月に作れても30〜40個。それが一生モノだとすれば、その値段はむしろ安いくらいかもしれません。
デザインを担当するのは、妻の佳乃さん。伝統的かどうかよりも、かわいいかどうかをまず考えるそう。
「なによりかわいく使ってほしいと思います。付加価値としての伝統や技は必要ですが、難しいことを考えずに、楽しんでほしい。そうやって伝統が広まり、残る手段になりたいんです」。
こたつの上に置いた竹かごとみかんはなかなか見られなくなりましたが、それならば時代に合わせてデザインも変えていけばいい、と一也さんは考えます。
「これからも、みんなの暮らしに当たり前にあるものを目指して商品を作っていきたいですね。伝統だからとか、珍しいからではなく、日常で使えてかわいいものをつくる。そうして伝統を自然な形で未来へと繋いでいきたいと思います」。
住所 : 大分県由布市湯布院町川上2381-7
電話番号 : 0977-84-7414
営業日 : 金土日
Photo/麻生和也 Text/角田貴広