NIHON NOIE PROJECT,現代の和,松本,ALPS COFFEE LAB,アルプスコーヒーラボ,りんごコーヒー DATE 2022.08.31

Doliveが見つけたNIHONのイイモノ
〜 コーヒー×信州の特産品。新しい"和"を発信するモノ、松本編~

NIHON NOIE PROJECTとは?

CREATORS PROJECTでの対談をきっかけにスタートしたNIHON NOIE PROJECT。
日本が大切にしてきた“和”の魅力をノスタルジックにでなく、現代に合わせて自由に解釈して表現する、「新しい“和”」。NIHON NOIE PROJECTでは、「モノ」や「ヒト」「コト」を通じて、日本各地にある「新しい“和”」を見つけ、暮らしの中に“和”を取り入れるアイデアを紹介していきます。

NIHON NO IE PROJECTの連載企画「Doliveが見つけたNIHONのイイモノ」は、プロジェクトの根幹にある日本各地の「新しい“和”」を探し求め、紹介していく連載企画。
「NIHON NOIE PROJECT by SOU・SOU」のモデルハウスが建つ由布院に続いて、今回は長野県松本市で「新しい“和”」の魅力をみつけました。

「ALPS COFFEE LAB」というコーヒースタンドがつくる、コーヒー豆に長野県の特産品であるりんごやわさびを組み合わせるという、海外由来のコーヒーを、現代の解釈でその地域の特産品と掛け合わせた「新しい“和”」が感じられるモノをご紹介します。

130年前の蔵をリノベーション。
城下町・松本にできたコーヒースタンド

400年以上の歴史を誇る城下町・松本。江戸~大正時代の蔵造りの建物が多く残り、漆喰で作られた“なまこ壁の土蔵”が今も数多く残っている「中町通り」からも、こうした歴史の空気を感じることができます。

そんな中町通りのほど近く、今からおよそ130年前、明治27年に建てられた蔵をリノベーションした建物に「ALPS COFFEE LAB」があります。
2021年6月にオープンした「ALPS COFFEE LAB」は、オーナーの斉藤さんが運営する築60年の純喫茶を引き継いだ「珈琲茶房かめのや」、昭和初期の洋館をリノベーションした「カメノヤ別館」につづく3店舗目。

「昔の建築がすごく好きで、街並みが変わってしまうのが嫌なんです。だから、できるだけそのまま残したいと思っています」と斉藤さん。
この蔵は、以前ラジオ博物館でしたが、旧蔵の良さはそのままにシンプルな空間に、和を感じさせる小豆色のカウンターが映える店内にリノベーションをしました。

2階に上がると目を引かれる天井の柱には、建築当時のオーナーさんの名前と日付が記されている。

蔵の持つ名残をそのままに、斉藤さんの私物でもある昭和レトロな照明が、空間のアクセントに。

りんごとコーヒー?!信州ならではのご当地コーヒー

そんな「ALPS COFFEE LAB」から生まれたのが、海外のモノであるコーヒー豆をりんごやわさび、ブランデーなどといった信州らしい素材と掛け合わせた「リミックス」シリーズ。
それは、どのようにして生まれたのでしょうか?

「私のコーヒーのルーツは、喫茶文化なんです。喫茶店って、日本のお茶文化のひとつだと思うんですよね。ただ、サードウェーブや北欧系など海外のコーヒー文化が浸透している今、日本においてのコーヒー文化の再定義が必要ではと感じたんです。焙煎でそれを表現するのは難しいとので、コーヒー豆の加工に目をつけて、日本らしさを加えるためにまずは身近な信州の食材と組み合わせることをスタートしました」

そうして最初に出来上がったのが、信州産のりんごとコーヒー豆を掛け合わせた『りんごコーヒー』。

「このコーヒーは、りんごを絞ったフレッシュジュースに、生豆を漬け込んで発酵をさせてから焙煎をしているんです。ワインみたいに、温度や時期、使うりんごの種類でも味が変わるので、日々おいしくなってきていますね」

これ以外にも、林農園のブランデーに漬け込み発酵させた『ブランデーコーヒー』や八幡屋礒五郎の七味をドリップバッグに混ぜ込んだ『柚子七味コーヒー』など、日本で作ることのできないコーヒー豆に、信州らしい特産品を組み合わせた「新しい”和”」を感じさせるモノが次々と生み出されています。

47都道府県のご当地コーヒーがあってもいい

LABというお店の名前の通り、さまざま実験を通じて「リミックス」シリーズを展開している斉藤さんですが、今後は信州だけでなく、全国各地へと取り組みを広げられたらと考えているそうです。

「今は、八丁味噌のコーヒーを作っているんです。名古屋の八丁味噌のメーカーさんとこういう味でコーヒーを出しましょうという開発をしています。これを皮切りに47都道府県ご当地コーヒーを作れたらいいなと、今年から一歩ずつ進んでいっています」

「コーヒーには、季節感がないと思うんですが、果物と組み合わせることによってそれが生まれるんです。桜の季節だけ、パッケージやブレンドを変えたりはされていると思うんですが、この季節だけしか飲めない果物のコーヒーもあっていいと思うんですよね」

斉藤さんが考える日本らしいコーヒーの再定義は、まだまだ始まったばかりのようです。

コーヒーという海外のモノを、日本の地域性に合わせて再定義することで、新しいコーヒー文化が生まれる。それもNIHON NOIE PROJECTが考える「新しい”和”」のひとつ。”和”というフィルターを通すことで、生まれた新しいモノを松本で見つけることができました。
アルプスコーヒーラボ

長野県松本市中央二丁目4-9
TEL: 070-3196-2708
HP

Photography/安川結子

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