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YURIE,アウトドアインフルエンサー DATE 2023.03.14

モダン家具と映画みたいな屋根裏部屋。
アウトドアも楽しめる庭つきログハウスの暮らし。

千葉県のちょっと高台に位置するペパーミントグリーンのログハウス。そこが、アウトドアインフルエンサーであるYURIEさんの家です。おとぎ話に出てくるようなかわいらしい外観に、木の質感を生かした家具が並ぶ室内。賃貸ですが、オーナーに交渉して友人のビルダーと一緒にDIYでリノベーションもしました。ずっと家にいたくなる、抜群の居心地の良さを作り出したYURIEさんの家づくりの方程式を紐解いていきます。

YURIEさん

1988年生まれ。アウトドアインフルエンサー。キャンパー、インスタグラマーとして活躍し、グランピングなどの空間スタイリングや、アウトドア商品の開発、プロデュースなども手掛ける。

家づくりの方程式
賃貸ログハウスを
DIYでリノベーション
木の家に似合う
こだわりのモダン家具
アウトドアインフルエンサーの家づくり

YURIEさんが夫とともに、この家に引っ越したのは2020年のこと。それまで住んでいたのは東京のコンクリート打ちっ放しのマンション。一転、緑に囲まれた一軒家での暮らしは思った以上に快適で、今や千葉での生活を思いきり満喫していると言います。

「住んでいたマンションの修繕工事と緊急事態宣言での外出自粛が重なり、息苦しくなったのが引っ越しの理由です。自然の近くでの暮らしはいつかやってみたかったので、まさにこのタイミングだと思って物件を探し始めました」

家探しの第一条件は庭があること。
「外で遊ぶのが大好きなので、広い庭に憧れていたんです。仕事の商品テストをしたり、ちょっとした撮影をするのにも便利だと思って、まずは庭を条件に探しました。千葉には縁もゆかりもなかったのですが、東京の仕事にも行きやすくていいなと。最初はログハウスにするつもりはなかったのですが、偶然見つけて、理想的な庭もあったので思い切ってこの家に。結果はログハウスにして大正解。木の質感が心地良くて大好きになりました」

ペパーミントグリーンの外観は、入居前にオーナーが塗装したそう。2LDK+屋根裏部屋の、広すぎず狭すぎないサイズ感もちょうどよかったといいます。

賃貸ログハウスをDIYでリノベーション
 

方程式
1

見つけた家が賃貸だったことも移住のハードルを下げた理由のひとつ。
「賃貸だと合わないと思ったら引っ越せるので気が楽でした。知らない土地なので、最初はちょっと不安で東京との2拠点生活を送っていました。でも、すぐに馴染んで、3か月でこちらへ完全移住。この辺り一帯はログハウス開発をしていた地域らしく、近所にもかわいらしい家がたくさんあります。庭には桜の木があり、歩いて5分ほどのところには湖もあるので、とても気に入っています」

2020年7月に契約をしてからリノベーションを始め、実際に引っ越したのは約2か月後。リノベーションに関して、オーナーはとても寛大だったといいます。

「大きな穴を開けなければなにしてもいいよ、という感じでした。結局大変そうだったのでやりませんでしたが、最初室内の壁を白に塗り直してもいいかと聞いたところ、OKが出たので、あまりに寛容でこちらもびっくりしました」

大きく手を入れたのは、1階と屋根裏部屋の床面。1階の床をモルタルにしたいと言った時は、ドアが開かなくなるからとNGでしたが、もともとあるフローリングの上にモルタル調のタイルシートを敷くことで解決。

「はがせば元の床に戻ります。きれいに仕上げたかったので、角など細かい部分のカットは友人のビルダーに頼みました。屋根裏部屋の床もカーペット敷きだったのをはがして、DIYでフローリングに。材料は安価だけど無垢材なので裸足で歩いていても気持ちいいです」

ほかにDIYをしたのは、元々茶色だったキッチン棚を白に塗り直したことと、キャンプ用品の収納専用にした奥の部屋に棚をつけたこと。さらに、屋根裏部屋のソファと本棚、テラスのテーブルと椅子などもYURIEさんが作ったそう。

元々茶色だったものを自身で白く塗り直した木製棚

「DIYもですが、最近手で何かを作ることに興味があります。屋根裏部屋は主に私が趣味で使っている部屋なのですが、そこで自分で描いたクマの絵柄の木版画を刷っています。ステンドグラスの作品も作りたいと思っていて、この家に来てからそういう手作り、手作業も楽しむようになりました」。

屋根裏部屋からは庭の向こうにある菜の花畑が一望できます。手作りのソファと小さな椅子やテーブルに囲まれた空間は、絵本に出てくる秘密部屋のようで、そこにいるだけでワクワクします。

木の家に似合う、こだわりのモダン家具
 

方程式
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家具は、引っ越しの際に家に合わせてほぼ入れ替えたとYURIEさん。北欧を中心とした木の家具がログハウスに馴染み、魅力を一層引き立てています。

家具は、まず夫が探し、2人で相談して購入するそう。選ぶ基準はログハウスに合うかどうか。シャルロット・ペリアンやハンス・J・ウェグナー、イルマリ・タピオヴァーラといった著名デザイナーのものからノーブランドなものまで、2人の審美眼に適ったアイテムは、ずっとそこにあったかのように空間にしっくり馴染んでいます。

「この家を見つける前からインテリアは好きで、本もいろいろ持っていました。例えば洋書『junk style』もお気に入りの一冊。高価ではないものを組み合わせて、とても雰囲気のいいインテリアを作っています。『ABODE』の著者である建築デザイナー、Mason St.Peterさんも大好きで、Instagram(@masonstpeter)もフォローしています。画家のジョージア・オキーフの家も格好いい。彼女のことは生き方も含めて尊敬しています」

家具の組み合わせやチョイスはお気に入りの本から学んだそう

YURIEさんの家づくりのイメージソースになっている本はネットやふらりと立ち寄った書店、美術館で購入したものだそう。
「そのままを真似るわけではないですが、写真を見てバランス感や、異素材の組み合わせ方をインプットしています。赤をアクセントに入れるとかわいいんだな、とか。そうすると、実際に家具を探しにお店に行ったとき、あの本に載っていた感じのものだと気づくことができて、センスがアップグレードしている気がします」

照明はすべて自分たちで選んだものに付け替え。リビングの大きな照明は、ハイメ・アジョンがデザインした、デンマークの照明ブランド〈アンドトラディション〉の『フォルマカミ ペンダントライト』。キッチン側にはイサム・ノグチの『AKARI』を取り付けましたが、さらに大きな照明を配することで、空間に抑揚をもたらしています。ともに手仕事で仕上げられた照明は、部屋に温かみとゆらぎを与えてくれます。

(左の壁)グランピエで見つけたキリム
(中央)〈アンドトラディション〉のライト

リビングの壁にかかっているキリムは、西洋民芸の店『グランピエ』で見つけたもの。店で同じように飾られていて、そのまま採用。ベッドカバーにしているアメリカのアンティークキルトは、海外サイトeBayから取り寄せました。

「キルトがこの家には合うなあ、と思って。ベッドに掛けているとアメリカの古い家にいるような気持ちになります。手仕事のものが好きで、北海道の木彫りの熊やアイヌの精霊のセワ、自分で絵付けした福島の郷土玩具の赤べこなど、民芸品もたくさんあります。大量に作られたものよりも手で作られたもののほうが大事にできるし、モノと会話ができそうな気がします」

手仕事の家具や小物が多いながらもカントリー調になりすぎずモダンな印象を受けるのは、2人のもの選びのセンスと、本や映画から吸収したバランス感の賜物だといえそうです。

アウトドアインフルエンサーの家づくり
 

方程式
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仕事柄、テントやキャンプ用品などアウトドアの道具をたくさん所有しているYURIEさん。ここに引っ越す以前は、家と愛車の中など、キャンプ道具がバラバラに収納されていたそうですが、この家では一部屋を丸ごと収納に使うことにしたそう。

一目で見渡せて、取り出しやすく、しまいやすい収納を作ることに決め、壁にDIYで棚を設置。ガチャレールで棚板をセットしているので、高さの調節は自在。キャンプ道具に合わせて効率的に収納しています。

「何を持っていて、どこにあるか一目でわかるので、以前よりもものを大事にできています。クローゼットルームは本当に作ってよかったです」

アウトドア用収納ルームだけでなく、仕事で知り合った人にDIYを手伝ってもらうなど、YURIEさんの家づくりには仕事での繋がりや経験が生かされています。屋根裏部屋のフローリング貼りも、愛車のDIYを担当した方に頼んだのだとか。

家づくりに繋がる、DIYした愛車の車内をまた、必要なものをなるべく効率的に使うアウトドアなマインドがあるからか、物が多くなりがちな場所の家づくりにも創意工夫がたくさん。収納部屋だけでなく、コンパクトなキッチンに調味料を置く棚を自作したりなど、効率的なアイデアを取り入れています。

(方程式のまとめ)
賃貸でもDIYと好みのインテリアで、
ログハウスの魅力を最大限に引き出す

自然に恵まれた環境ながら、意外と都会へのアクセスも便利。木の香りが心地いいログハウスでの暮らしは、YURIEさんの生活を大きく変えました。散歩をしながら野鳥を観察したり、庭にテントサウナをしつらえたり。以前よりも家にいることが多くなり、仕事でもあるアウトドアと、暮らしのベースとなるインドアの両方を楽しんでいます。

賃貸といえども自分たちで手を加え、本や写真を参考に空間に合うインテリアに整えて機能面にも心を配る。自分たちらしい暮らしを実践するには、ひとつひとつを丁寧に積み上げていくことが大切だと教えてくれます。

Text/ 三宅和歌子  Illustration/谷水佑凪(Roaster)