Doliveの新しい家「No.00(ナンバーゼロ)」って?
暮らしへの自由な想像の邪魔をしない、プレーンでノンデザインな家。オリジナルのままでもカッコイイし、そこから自由にアレンジしてももちろんOK。「No.00」に自分らしいライフスタイルを味付けして楽しもう。
暮らしへの自由な想像の邪魔をしない、プレーンでノンデザインな家。オリジナルのままでもカッコイイし、そこから自由にアレンジしてももちろんOK。「No.00」に自分らしいライフスタイルを味付けして楽しもう。
豊島区の住宅街に建つ、昔ながらの一軒家。ここは、当時建築を学ぶ東大生だった木村七音流(きむら・ないる)さんが2017年に友人と始めたシェアスペース「OKARA」。2022年現在はシェアハウスとして、年齢も職業もバラバラの7人が生活しています。
「リノベーションスクールっていう、空き家を区で集めて、使いたい人とマッチングさせるイベントがあったんです。そこに参加していた僕の友人が、この物件の存在を教えてくれて。最初は、この地域の人に使ってもらう場所にする、という目的でリノベーションをしたんですけど、コロナで人が集まりにくくなって、だんだんとシェアハウス色が強くなりました」(木村さん)
シェアスペースを始めた頃は「誰かが2階に暮らしながら、1階を地域に開放して暮らす」というコンセプトだった為、あえて「人と人とが自然に距離を取れるように」リノベーションをしたのだそう。
「リビングはわざと人が集まる場所を分散させています。誰かが喋っているとき、そこに参加してもいいし、しなくてもいい、みたいな距離感をつくりたくて。ちょうどこの家を作る前くらいに、大学で『家をどう地域に開けるか』という課題があって、『街に大きく開いて、誰でもいつでもウェルカム!』みたいな案も出ていたんですけど、そこで暮らすのって難しいよなと思ったんです。なので、住人に負担がかかり過ぎない距離感で街の人とも繋がれるような家がいいなと思いながらOKARAをつくりました」
2022年現在は創作活動をするメンバーのラボになっている部屋が、元々は地域に開放していたコミュニティスペース。壁には近所に住む子どもたちが描いた絵が残っています。
「最初は外にもテーブルを置いて、縁側からコミュニティスペースに入ってもらう動線にしていました。住人の玄関は別にあって、リビングを挟んでいるので、軽く挨拶する程度の人はコミュニティスペースでコミュニケーションをとり、仲良くなってくるとリビングに入ってくる。そういう何段階かのゆるいフィルターをつくったので、程よい距離ができたかなと思います」
そこにいる人たちがお互い程よい距離をつくれるからか、コロナ禍で積極的に人を呼べなくなった後も、知り合いが集まり、住人が増えていったOKARA。住む人が増えたり、入れ替わることで、家自体の表情も徐々に変わってきたと言います。大きな変化としては、コミュニティスペースだった場所が最初はテレワーク部屋になり、その後、構造エンジニアの下田さんやファションデザイナー・プロさんのラボ兼アトリエになったこと。
「あとは例えば、冷蔵庫の掲示板はここ1、2ヶ月ぐらいでできたものです。マサヒロくんっていう子が引っ越してきて、みんな働いていて家にいない時間が多いので、コミュニケーションが取れる仕組みが欲しいってことで、掲示板をやることになりました。それと、微妙な違いではあるんですけど、料理をする人が増えたので調理道具を置く場所が広くなったり」
また、家の外に設置された「机上のものご自由におもち下さい」コーナーも新しい変化のひとつ。「(コミュニティスペースを地域に開けなくなった後、)何か代わりにできることがないかなって思っていたときに、近所の方に荷物を処分したいから『ご自由にお持ちください』みたいなこと、あなたの家でできない?って言われて、置くことにしたんです。そしたら、別の方も不用品を置きたいって、徐々につながっていって。積極的に始めたというより、気づいたらそうなっていました。割とすぐいろんな物がはけていくんですよ。冷蔵庫とかテレビとか、ぬいぐるみとかも意外と早くなくなるんです」
シェアハウスにつけられた「OKARA」という名前は、家主が近くの商店街でお豆腐屋さんをやっている方だったこと、オカラのように「使われなかったもの(空家)を使っておいしいものを作っている」ことが由来のひとつだそう。人に合わせて変化できる柔らかさを持ったことで、自然と人や物が集まり、親しみやすい味が生まれているところも、なんだかオカラに似ています。
そんなOKARAのメンバーたちが「No.00」に住むとしたら、どんな家と暮らしになるだろうか。現メンバーのうち4人が住人、他3人は遊びに来たり、働きに来たりする仲間、という設定で考えてもらいました。
「OKARAのNo.00」は、現在と同じ、地域の人と程よい距離感でつながれる1Fのシェアスペースが基盤に。屋台で販売するクレープを買って帰るだけでもいいし、顔見知りになった人は畳の小上がりでゆっくり食べてもOKのようです。遊びに来たOKARAメンバーも畳でごろ寝の予定。2階は一体どうなる……⁈
リビングにはテレビではなくプロジェクターを置いて……などなど、No.00での暮らしの想像は少しずつ具体的に。7人と地域の住人たちが、それぞれの関わり方でゆるくつながるOKARAハウスのスタンスをまるっと引き継いだ、風通しのいい家になりそうです。
Photography/宮前一喜 Text/ 赤木百(Roaster) Illustration/谷水佑凪(Roaster)