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焦らずじっくり、順序よく。丁寧さが住まいに宿る家づくり術 DATE 2023.10.30

焦らずじっくり、順序よく。丁寧さが住まいに宿る家づくり術

一度見たら憧れる、おしゃれでこだわりが詰まった家。でも、「そんな家ってどうやったらつくれるんだろう?」「建築のプロじゃないとつくれないのでは?」と感じている人もいるはず。“あの人の家づくり手帖”は、個性的な家を形にした経験者から具体的な家づくりのアイデアを伺う企画です。

今回、登場いただくのは、都内のマンション暮らしから一転、栃木県那須塩原への移住を決めた森さん夫妻。生活動線や内装へのこだわりはもちろん、移住先だからこその土地探しにも学びが満載の家づくり術に迫ります。

土地に根ざした工務店の声も聞きながら。
一つひとつ、丁寧に暮らしと向き合う

森さん夫妻が現在の住まいを建てたのは、2022年のこと。夫妻にとって、それは二度目の家づくりでした。以前の住まいは東京23区内。築40年を数えるマンションの一画を購入し、リノベーション。

それが入居から5年を待たず、在宅勤務が定着したことを機に、栃木県那須塩原への移住を決意。二度目の家づくりがスタートしました。

移住先を決めるに当たり、夫妻が重視したのが都内までの所要時間。新幹線が停車する那須塩原なら、1時間とちょっと。なおかつ、車内にコンセントが完備されていることも決め手になったといいます。

移住先が決まれば、次に待っているのが土地探し。この重要なプロセスに際し、夫妻が頼りにしたのが工務店だったそう。

工務店さんへ共有するため、まとめたイメージボード。

すでにリノベーションを経験しているばかりか、実は、夫妻は共に住宅関連会社に勤務。特に内装に関しては、プロの目をお持ちです。「でも、家の躯体や外装に関しては素人同然。前のめりにならず、工務店さんのセンスに委ねました」と振り返ります。

「出来上がった完成予想図は、さすがはプロ。横長の土地を生かした美しさに感動しました。そこからが私たちの出番。生活動線と家の構造を照らし合わせながら間取りを決めて、間取りも考慮しながらディテールを詰めて。結果、大満足の家に仕上がりました」

家づくりアイデア①
土地の景色を生かすための、シンプルな内装
≪キーワード≫
 #外観デザイン #平屋 #シンプル内装 #ホワイトとグレー

「これも田舎ならではですよね、土地の販売単位が大きいんです。細かな区画では購入できず、わが家の敷地も250坪。それでも価格は、都内とは桁が違います。しかも、目の前は管理の行き届いた木立。景観の良さに惹かれて、この場所に決めました」

夫妻の住まいは、広大な敷地を生かした横長の平屋建て。横に長い空間がのっぺり平坦な印象にならないよう、天井高にメリハリを付けているのも特徴です。そして、夫妻が惹かれた木立の景色を美しく切り取っているのが、天井近くまで延びた木枠の格子窓。

その景色を生かすため、内装はシンプルに。壁の色は光を巡らせつつも落ち着きのある、ホワイトグレーを選んでいます。当初は塗装にする想定だったそうですが、施工面積の広さゆえに予算オーバー。塗装壁風のクロスを選び、上手にコストを抑えています。

家づくりアイデア②
シンプルな美が際立つ、セパレートキッチン
≪キーワード≫
 #アイランドキッチン #レンジフード #シンプルキッチン

内装のシンプルな美しさを際立たせているのが、シンクとコンロを分けたキッチン。シンクを備えたアイランド型のカウンターが存在感を放つ一方、コンロは壁際に設置していますが、その理由は「コンロに必須のレンジフードを隠すため」だとか。

アイランド型のキッチンでは、天井から吊すようにレンジフードを設置するのが基本。それが部屋のアクセントとして機能する一方、夫妻が重視したのは窓向こうの景色が映えるシンプルさです。すると、存在感のあるレンジフードがちょっぴり邪魔に。

そこで、コンロのみを壁際に設置。レンジフードの存在感をより希薄にするため、壁と類似したカラーをセレクト。調理スペースをコの字型に囲い、囲いの天井に埋め込むようにレンジフードを設置しています。

家づくりアイデア③
家の構造を生かした、ワークスペースの配置
≪キーワード≫
 #ワークスペース #リモートワーク #ロフトアイデア

移住を考えた理由のひとつに、在宅勤務の定着を挙げる夫妻。共働きのため、それぞれの仕事場が必要です。リモート会議中にも生活音の響かない環境を確保するため、ご主人のワークスペースはLDKから寝室を隔てた、横長の住まいの端にレイアウト。

気になる奥さまのワークスペースは、メリハリある天井高を生かしたロフトに配置。お子さんは保育園に通っているそうですが、仕事と育児が重なるタイミングもあるはず。そんなときもLDKで遊ぶお子さんの気配を感じながら、仕事をすることができます。

ちなみに奥さまの勤務先は、空間づくりに必要なアイテムがそろう「toolbox」。仕事の資料として自社商品が欠かせませんが、「生活空間と程よく距離のあるロフトなら、商品を広げていても邪魔になりません」。これもLDKとワークスペースを分ける利点です。

家づくりアイデア④
日々の暮らしを快適にする“家事室”の存在
≪キーワード≫
 #ランドリースペース #より家事を効率的に #ハンガーパイプ

「すべてのママやパパにおすすめしたい」。夫妻が口をそろえるのが、昨今、徐々に浸透しつつある家事室。家事室とは読んで字のごとく、家事をするための専用ルームのこと。夫妻は室内に乾燥機を設置し、ランドリースペースとして活用しています。

「前に住んでいたマンションにも、家事室を設けていたんです。最大の理由は花粉。洗濯物を外干しにすると、花粉が付いてしまいますよね。それに家事室があれば、部屋干ししたお洋服が表に出ません。部屋の印象を壊さないためにも重宝しています」

二度目の家づくりにおいても、家事室の存在は大前提。自然光が差し込むよう南向きに窓を設え、物干しのためのハンガーパイプも設置。さらには脱衣スペースをサンドするように家事室とバスルームをレイアウトし、生活動線もしっかりと考慮しています。

もっと知りたい、森さん宅のアイデア
外壁の塗装は耐久性に優れ、色褪せにくさも特徴のジョリパットの吹き付け仕上げ。色は工務店のオリジナル
造作のカウンターには表面にも収納をプラス。キッチン上部の照明も特注し、カウンターと同様の色味に
床材は「toolbox」のラスオークフローリング。これを薄グレーの自然塗料で塗装し、白みがかった印象に

移住を決めた最大の理由。
それは、家づくりの楽しさをもう一度

「在宅勤務が定着したことや、自然が身近な環境に憧れたこと。これらも移住を決めた理由の一つですが、何よりも大きかったのが、家づくりへの興味関心。もう一度、家づくりの楽しさを味わいたいという気持ちが、最大の後押しになった気がします」

移住への大きな後押しとなった家づくりを終えた今、森さんファミリーは那須塩原の暮らしを謳歌。そして、土地の特徴を踏まえた横長の佇まいも、横に長いことを生かした間取りも、夫妻のお話から見えてくるのは、きちんと順序を経ることの大切さです。

移住を見事に成功させた秘訣は、焦らずじっくり、土地選びから丁寧に、家づくりに向き合った夫妻の姿勢にあるのかもしれません。

Doliveアプリには十人十色のアイデアが盛りだくさん。 気になった記事に「いいね!」を押して保存すると、後から見返すことのできる、あなただけのアイデア帖に。さらには理想の外観・内観をシミュレーションできる機能も搭載。具体的な仕様や素材まで検討でき、家づくりのイメージも明確になります。 気になった方は、ぜひ、ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

photo/宮前一喜 text/大谷享子 illustration/kozo