色と素材をリンクさせる。モダンカラフルな大人空間のつくり方 DATE 2024.03.21

色と素材をリンクさせる。モダンカラフルな大人空間のつくり方

一度見たら憧れる、おしゃれでこだわりが詰まった家。でも、「そんな家ってどうやったらつくれるんだろう」「建築のプロじゃないとつくれないのでは」と感じている人もいるのでは。“あの人の家づくり手帖”は、個性的な家をかたちにした経験者から具体的な家づくりアイデアを伺う企画です。

今回訪れたのは、ディスプレイ会社に勤務し、花器やアートのコレクションを持つ矢島さんの住まい。カラフルなインテリアが引き立つ素材や色味の組み合わせ方を中心に、家づくり術を紐解きます。

70平米のルーフバルコニー付き!
中古マンションをフルリノベーション。

近くに大きな公園や花と野菜の市場がある伸びやかな世田谷区の住宅街。矢島さん夫婦が生後3ヶ月の息子さんと3人でこの家に越してきたのは、2022年12月のこと。築25年の中古マンションを購入し、フルリノベーションをして暮らしています。

結婚を機に「都内の中古マンションのフルリノベ」を前提に物件を探し始めた矢島さん。現在の物件を見つけるまで、1年半の時間をかけました。

「都内で80平米以上の広い家に住みたかったので、価格的にも中古マンションのフルリノベ一択でした。でも、買い付けしてもなかなか取得できなくて。時間はかかったけど、目利きができるようになって、結果的にお気に入りの物件を購入できました」

決め手になったのは、70平米のルーフバルコニー。もともと住んでいた賃貸物件の小さなバルコニーで、コロナ禍にお酒を飲んだり朝食を食べたりすることが気晴らしになった経験から「ルーフバルコニー付き」は必須条件だったそう。

「この広いルーフバルコニーを見た瞬間、即決でした。リビングが北向きだけど東南のバルコニーの照り返しのおかげで冬でも日差しが入る。夏は週2回バルコニーでパラソルを立ててBBQをして、子どものプールを出して遊んでいましたね」

デザイン・設計は、Instagramの施工事例に惹かれた設計デザイン会社に依頼。設計に2ヶ月半、施工に3ヶ月、物件購入から5ヶ月半で完成しました。

「物件を探し始めてから3社目のご縁で、すごく相性のいい設計士さんに出会えたんです。店舗を多く担当している方で、提案してくれるものと自分が求めているものが一致して。かなり信頼して相談してアドバイスをもらって、理想の空間ができました」

矢島さん宅から紐解く、家づくりアイデア

家づくりアイデア①
グレーとミントグリーンをベースにしたカラフル空間。
≪キーワード≫
 #色壁 #ツートーンカラー #ミントグリーン #ライトグレー #イエロー

空間のベースとなる色は、ライトグレーとミントグリーン。玄関から廊下に広がるコレクションを飾るディスプレイ棚からキッチン、ワークスペース、寝室に至るまで、絶妙な塩梅でツートーンカラーが散りばめられています。

「ピンクやオレンジ、黄色などカラフルな色が好きなんですが、それらをインテリアで合わせるときに、ベースはなるべくシンプルに馴染む色がいいなと思ったんです。ミントグリーンなら明るい色と調和するだろうと。白を組み合わせようと思ったんですが、眩しすぎるし、モダンな雰囲気にしたかったのでライトグレーを選びました」

洗面台のある脱衣所とトイレは、アクセントカラーとしてビタミンカラーのイエローを選択。明るい雰囲気を放っています。

「窓がないコンパクトなスペースなので、水回りはイエローで統一しました。天井や側面にライトグレーを取り入れて、洗面台にはキッチンとリンクさせたテラゾータイルを採用しています」

建材だけでなく、家具や雑貨などインテリアを取り入れるときにも、矢島さんが意識しているのが「リンク」させること。素材や色味を合わせることで、雑多な印象になることなく、空間全体に統一感が。

「ベッドやソファ、ハイチェアなど、大きめの家具はグリーンに統一しました。花器をはじめ、カラフルなものを取り入れるときは、マットな素材にすると目立ちすぎちゃうので、ガラスやアクリルなどクリアな素材感で揃えていますね」

その時々の流行や気分で小物を買い替え、季節に沿った花を飾り、カラフルな暮らしを楽しんでいます。

「春に向けて、友人のイラストレーターに花束の絵を描いてもらって、ピンクの花を生けました。リンクするように、グリーンを置くためのピンクのスツールとクッションを新調。小物や花で気分に合った好きな色を取り入れています」

家づくりアイデア②
テラゾータイルのハイカウンター、お店のようなキッチン。
≪キーワード≫
  #キッチン #テラゾータイル #ハイカウンター #ピンクの照明

広々としたLDKの顔となっているのが、テラゾータイルで造作したハイカウンター。下に組み合わせた濃いブラウンの木目とクリアピンクの照明も相まって、スタイリッシュで遊び心もあるバーのような大人な雰囲気に。

「最初はツルッとした真四角のタイルで提案してもらったんですが、夫が水回りの印象が強いと言うので、Pinterestで見つけてこれがいいと、テラゾータイルを教えてもらいました。家の中で一番目に着く場所なので、下に組み合わせる素材の色味や高さはめちゃくちゃ迷いました。照明の色も最後まで迷って、突然これしかない!と閃いてピンクを選んだ。リビングから見るカウンターの眺めが好きです」

ダイニングテーブルにもなる幅の広いハイカウンターでは、食事をしたり乾杯したり、PCを開いて仕事をすることも。対面にあるキッチン台も幅が広く、レストランの“厨房”さながら。モノが出ていてもカウンターで死角になるため、生活感が滲み出ることはありません。

「広々としたキッチンで、すごく作業がしやすいので、もともと嫌いだった料理が嫌いじゃなくなりました。3人くらい入れるので、遊びに来た友だちと一緒にごはんやスイーツをつくることもあります」

キッチン下の収納棚は扉をつけずオープンにして、背面には絵画やグラスを飾れる飾り棚を設置。コンロに近い壁のみ油や水で劣化しないようモルタルを塗っています。

家づくりアイデア③
クリアガラスで空間に開放感とつながりを。
≪キーワード≫
 #ワークスペース #寝室 #ガラスで仕切る

間取りでこだわったのは、リビングと地続きにあるワークスペースと寝室。圧迫感が出ないように、クリアガラスで空間を仕切りました。

「夫は基本在宅ワークで1日中ここで仕事をしているんです。狭い個室で壁に囲まれていると閉塞感があるけど、ガラスなら開放感があるし、音を遮断して集中しつつも、お互いの気配を感じることができますね」

クリアガラスでオープンなワークスペースと寝室は、廊下やキッチンと同じくミントグリーンとグレーのツートンカラーに。ミントグリーンの壁に馴染むように、ワークスペースには同じ色のアルミ棚を導入し、寝室には同じ色のブラインドを選び抜くこだわりっぷり。

「一つひとつ色味や素材を見極めるのは大変ですが、インターネットで探し尽くして、妥協せずにがんばりました」

寝室の壁に光る「Better Together」のネオンは結婚式のディスプレイで使ったもの。家族の合言葉として、土間玄関の床にも同じ文字が刻まれています。

もっと知りたい、矢島さん宅のアイデア
3畳ほどの土間玄関はルーフバルコニーに直結
モルタル調のグレーと木目のブラウンの床で空間に変化を
天井を抜いたままにすることで、天井高を上げて開放感をプラス

カラフルなものと時間が溢れる暮らし

この家で過ごす夜の時間もお気に入り。廊下やキッチンのカウンター・飾り棚につけたライン照明、部屋中に置かれた間接照明、ベランダの柵に取り付けた電球が煌びやかに灯ります。

「照明のおかげで夜はすっごく雰囲気があります。ここが息子にとっての実家なの!?って親ながら思いますね(笑)」

子どもの成長に合わせて、ダイニングテーブルの導入や子ども部屋の使い方を検討中だという矢島さんは、今後やりたいことにも胸を膨らませます。

「バルコニーはこれから育てていきたい。アウトドアリビングとして、床材を敷き詰めて、グリーンを増やして、暖かい季節はもっと日常的に活用したいです」

引き渡しの際には「自分の家じゃないみたいで、落ち着かなかった」と振り返る矢島さん。暮らし始めて1年3ヶ月。リビングの広いソファで寛いだり、立ったままハイカウンターで仕事したり。好きな時間を重ねて「自分の家」として育っています。
カラフルなものに囲まれた矢島さんの暮らしには、彩り鮮やかな時間が溢れていました。

Doliveアプリには十人十色のアイデアが盛りだくさん。
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photo/宮前一喜 text/徳瑠里香 illustration/kozo

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