Dolive Doliveってなに?

DATE 2023.01.19

アパレル会社に勤める大杉浩平さん&美帆さん夫妻。リノベーション前提でヴィンテージマンションを購入して、自分たちの生活スタイルに合った家をつくり上げました。頼んだのは定額制のパッケージリノベーション。ただし、パッケージに頼るだけでなく、間取りの希望や使いたい素材をしっかり伝えることで、満足できる仕上がりに。家族3人が笑顔で暮らす、家づくりの方程式を紐解いていきます。

家づくりの方程式
​​ヴィンテージマンションをパッケージリノベ
部屋の半分を土間にして長いキッチンを設置
アパレル勤務夫婦ならではの見せて隠す工夫

東京都調布市。仕事場のある原宿まで電車で約30分という、程よい郊外に位置する築40年のマンションが、大杉さん一家の住まいです。

「最初は、以前に住んでいた杉並区で探していたのですが、なかなかいい物件に出合えなかったんです。それで不動産屋から調布を勧められ、行ってみたら駅前は栄えているし、緑が多くて環境もいい。すっかり気に入ってしまい、この地で探すことしました」と、浩平さん。

その選択は大正解。希望していた、駅からそれほど遠くない70㎡以上の物件が見つかり、購入を決めました。

「紹介された物件が1階だったのがちょっと気になりましたが、子育てを考えていたのでそれもありかな、と。また、モルタルの床にしたかったのですが、2階以上だと遮音の関係でできない場合があると聞いたので、丁度良くて。結果的には息子が部屋の中を走り回っても気を使わなくて済むので良かったですね。窓の外の生垣の先はマンションの駐車場。高い建物が立つ心配がなく、日当たりは抜群。しかも、目の前が公園というのもラッキーでした」と、美帆さん。

マンション自体は古い物件ですが、これも2人の希望でした。「2人とも新築のきれいなところより、ちょっと味があるような作り込まれたところのほうが好きなので、初めからヴィンテージを狙っていました。もちろん築浅のほうが嬉しいですが、築年数はそれほど気にしませんでした」

ヴィンテージマンションをパッケージリノベ
 

方程式
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改装ありきで探したヴィンテージマンションですが、情報収集するなかで見つけたのが、2人の好きなテイストを叶えられそうなtoolboxという会社のリノベーションパッケージ。使える素材や仕様は限られていますが、自分たちの好きなテイストから外れないのならば、一から考えるよりもスマートに進めていけると、このプランを採用。

限られた仕様の中でも自分たちのやりたいことは諦めたくないと、プランからはみ出すアイデアを積極的にオーダーしたそう。費用は加算されますが、そこは妥協したくなかったと言います。

「僕らが好きなのは、コンクリートと木と金属のマッチング。その武骨な感じが、リノベーションパッケージと合っていたんです。壁や天井もコンクリート剥き出しにして、あえて壁紙を剥がした接着跡を残したままにしました。また、モルタルの土間を作りたいというのも希望。標準プランでは1坪だけしかセットされていないかったのですが、結局、部屋の半分を土間にしてしまいました」

打ち合わせは3回までと決まっていましたが、メールでやり取りしながら徐々に具体化。「打ち合わせ回数が決まっているのもよかったです。何回でも可能だったら、僕の性格上、永遠にやり取りしていたかもしれません(笑)」

部屋の半分を土間にして長いキッチンを設置
 

方程式
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リノベーションをする際に出した大きな希望は3つ。「土間を作りたい」「大きいキッチンを作りたい」「ワンルーム的な間取りにしたい」でした。

「モルタルの土間は、リノベーションを依頼する前から決めていたことでした」と、浩平さん。「ただ、最初は植物を置くインナーテラスにするなどの案もあったのですが、話し合いを進めるうちに部屋半分がモルタル床になりました」

残り半分は小上がりのように1段上がったフローリングに。ワンルームでも段差があることで、うまく空間を分けることができます。

「フローリング部分でくつろいで、土間でご飯を食べるイメージです。モルタルだと寒いのではないかと心配していたのですが、日当たりがいいせいか全然、大丈夫でした」

その土間の壁一面にしつらえたのが長いキッチン。これは美帆さんのこだわりでした。

「プランに組み込まれている最大の長さが3mだったんですが、さらにラワン合板の造作カウンターを足してもらい、3m70cmの長さのキッチンにしてもらいました。以前、アメリカの友人宅に泊まったとき長い壁付けキッチンがあって、それがとても素敵だったので、いつか大きいキッチンが欲しいなと思っていて。あと、このシンプルなキッチンに一目惚れしたというのもあります。使いやすさも抜群です」

冬でもポカポカと日が差す土間で、美帆さんは料理をし、浩平さんはダイニングテーブルでくつろいだり、植物の世話をしたり。息子のさくくんは、キッズバイクで走り回っています。思い切って広い土間にしたことで、それぞれの楽しみが自然に形作られていきました。

小上がりになったフローリングの一角は、引き戸を閉めると部屋にもなる作り。「ふだんは開け放していますが、お客さんが泊まりに来たときに使ってもらったり、将来的には今の寝室を息子の部屋にして、ここを夫婦の寝室にすることも考えています」と浩平さん。

一見、ワンルームのように見えながら、柔軟に変化できるアイデアがあるところも大杉さんたちらしさといえます。

アパレル勤務夫婦ならではの見せて隠す工夫
 

方程式
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2人ともアパレル業界で働き、洋服が大好き。さらに、浩平さんは民芸品収集など興味を持ったらとことん突き詰めるタイプ。なので、ものはびっくりするほどたくさんあるといいます。でも、それを感じさせないくらい部屋はすっきり。

その秘密は“きちんと収納場所を設ける”というルールにありました。キッチンに向かって左手にパントリーがあり、ストック食材や書類、掃除機など雑多な道具類を収納。ドアの開閉にスペースを取られないよう引き戸にし、ドアの白木の素材やハンギングレールは浩平さんの好みで選びました。

パントリーの棚に同形のバスケットを並べることで、ギチギチにものが詰まっていても整頓されている見た目をキープ。 「パントリーは本当に作ってよかったです。リビングに収納家具を置くのが嫌だったので、なんでもこの中に入れています。お客さんが来たら戸を閉めるだけでいいので便利です」と美帆さん。

もう一つ、リビングの隣に作ったウォークインクローゼットも大活躍。3畳程度の広さで、3人分の洋服はすべてここに収められています。「布団などが置けるよう上部に棚を作ってもらい、ハンガーパイプを取り付けてめいっぱい服を掛けています。それだけだと足りないので、パイプの下に収納家具も置いています。これも作ってよかったですね。大きな収納はクローゼットとパントリーの2ヶ所だけ。ここにすべてを詰め込んで、見せる部分と隠す部分のメリハリをつけるようにしました」

リビングはくつろぐ場所と決めて、収納家具は置かない。 「その代わり、ポスターを飾ったりしています。そういう無駄に空間を使っている感じがいいなあ、と思うんです」と、浩平さん。

さらに、天井に植物などをハンギングできるパイプを取り付けたのも2人のアイデアです。

「実はガス管を曲げたものなんです。インダストリアルな雰囲気があって気に入っています。しかも大人2人くらいなら楽々ぶら下がれるほど耐荷重が大きいんです」
これも植物だけなく、部屋に飾って見せたいツールを吊り下げたりもできる、収納アイデアの一つです。

リノベの際、解体したら出てきた天井のネジ穴もハンギングに利用

“見せる”と“隠す”をはっきりと分ける。それが、ものが多くても快適に暮らせるコツといえそうです。

(方程式のまとめ)
ものが増えがち、優柔不断、凝り性。自分の性格に合わせた家の作り方を選ぶ

情報収集して自分たちの好きなテイストを把握。その感性に合ったリノベーションパッケージを依頼し、自分たちの希望を取り入れながら、理想に近い家を完成させた大杉夫妻。部屋の半分を土間にしたり、幅が4m近いキッチンを設置したり。挑戦的にも思えるオーダーですが、やってみたら使い勝手は抜群。そのチャレンジ精神が家づくりに大切なマインドかもしれません。さらには、ものが多いことを諦めず、“見せる”と“隠す“のメリハリをつけるため、大きな収納スペースを作ったことも満足度を高める秘訣に。自分たちの暮らし方をとことん考えて導かれた家づくりの方程式には、参考になるヒントがいっぱいです。

大杉浩平さん・美帆さん

2人ともアパレル業界で働く。現在、浩平さんがハマっているのは植物。仕事の合間や休みの日にグリーンショップをのぞく日々。

Photography/上原未嗣 Text/ 三宅和歌子  Illustration/谷水佑凪(Roaster)