![イメージソースは自身も暮らしたアメリカ西海岸。居心地抜群の家づくり術](https://resumu-prod.s3.amazonaws.com/uploads/12/c25419a6b42ac8d4c6516fde50428229bb828e17.jpg)
一度見たら憧れる、おしゃれでこだわりが詰まった家。でも、「そんな家ってどうやったらつくれるんだろう」「建築のプロじゃないとつくれないのでは」と感じている人もいるはず。“あの人の家づくり手帖”は、個性的な家をかたちにした経験者から具体的な家づくりアイデアを伺う企画です。
今回、登場いただくのは、かつてはスノーボードライダーであり、趣味ではサーフィンや自転車も楽しむ河尻晋介さん。様々なアクティビティーを愛する河尻さんらしく、アメリカ西海岸のテイストを散りばめた、居心地抜群の家づくり術に迫ります。
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- 家ができるまで
居心地のためには、一歩ずつ丁寧に。
土地に足を運び、間取りを決定 - 家づくりアイデア①
空間のイメージは、素材によって切り替える - 家づくりアイデア②
住まいの表情を決め込まない、“壁の下地” - 家づくりアイデア③
ゲストルームを兼ねた、高さ絶妙の小上がり
居心地のためには、一歩ずつ丁寧に。
土地に足を運び、間取りを決定
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河尻さんが暮らすのは、神奈川県の鎌倉エリア。その理由は、趣味のサーフィンをいつでも楽しめ、自然体で住める環境があるから。また、河尻さんはスノーボードライダーの顔も持ち、かつてはプロとして活躍。プロの知識と経験を生かし、スノーボードを中心としたマーケティングとサングラスの輸入販売の事業を営まれています。
「特に冬場は家と雪山を行ったり来たり。ここは自宅というより、基地の感覚です。それだけに、一生の住みかという意識は希薄かもしれません。となると、注文住宅ではちょっと重すぎる。かと言って、住まいを好きにデザインする欲求も捨てられなくて」
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そこで河尻さんが選んだのが、家のベースとなる躯体は工務店に一任し、間取りや内装といった家の中身は自由にデザインできる、セミオーダーな家づくり。
「自分が望んだことではあるものの、最初は戸惑いましたね。どこから手を着ければいいのか、考えあぐねてしまって(笑)。でも、戸惑いがあったからこそ、そこは一歩ずつ丁寧に。購入した土地に足を運んでは、窓の配置や間取りを考えていきました」
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河尻さんが住まいに求めたのは、日当たりとプライバシー。隣り合わせた住居から家の中が見えないよう、隣家との距離や窓の向きまでチェック。それに応じて自宅の窓のレイアウトを考え、2階にLDKを配置したのも、求める2要素を両立させるためです。
「間取りに関しては手探りだったものの、内装の理想像は割と明確でしたね。20代のころに暮らしていたアメリカ西海岸を参考に、好きなホテルやショップの内装写真を工務店に共有しました。その際には、工務店が用意してくれたクラウドを利用して」
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印刷不要のクラウドなら、確かに手軽。ただし、河尻さんは自身が思い描く理想にブレが生じないよう、しっかりと吟味してから画像を共有。建築のプロの知見を借りながらも明確な理想像の共有により、居心地のいい住まいを実現させています。
家づくりアイデア①
空間のイメージは、素材によって切り替える
≪キーワード≫
#無垢フローリング #カーペット敷き #ブロックタイル #西海岸テイスト #場所に合わせて床材を変える
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家づくりに当たり、アメリカ西海岸のテイストを参考にした河尻さん。なかでも強く影響を受けたのが、自身も宿泊経験のあるシアトル発祥の「ACEホテル」だったそう。その魅力について河尻さんは「洒落ているのに気取りのない、程よい緩さ」と話します。
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その“程よい緩さ”を踏襲するように、LDKの床はスペースによって素材が変化。リビングは無垢のフローリング、キッチンはブロックタイル、小上がりはカーペットと異素材を隣り合わせることにより、地続きでありながら緩やかに空間の表情が変わります。
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「土足文化のアメリカですが、カーペット敷きの家が多いんです」と、階段もカーペット敷きに
「僕は基本的に裸足が好き。全面をカーペット敷きにすることも考えましたが、掃除が大変なことに気づいて(笑)」と振り返りつつも、すべての素材に共通しているのが足触りの良さ。裸足で心地よく生活できるのも、“程よい緩さ”を象徴する一例です。
家づくりアイデア②
住まいの表情を決め込まない、“壁の下地”
≪キーワード≫
#DIYアイデア #玄関に趣味の収納 #OSB合板 #バスルーム
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河尻さんの自宅は玄関も特徴的。「仕事関係の人を招くこともあるので、ここはちょっとしたショールームの感覚です」という言葉どおり、玄関の壁には自身が開発や輸入に携わった、アウトドアアクティビティーのアイテムがずらりと並びます。
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実はこのスペース、河尻さんのDIY。壁にOSB合板を張り、ラックやフックを細かく設置。そこには河尻さん自身の相棒であるロングボードまで顔を出しますが、大工の経験を持つサーファー仲間の手を借りながら、たった2日間で仕上げたというから驚きです。
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また、1階のバスルームにもロングボード用のフックをDIY。ボードを収めるにはある程度の耐荷重が求められますが、「壁にはできる限り、下地を仕込んでおいたんです」。入居後のDIYを想定した家づくりが、住まいの柔軟な変化を後押ししています。
家づくりアイデア③
ゲストルームを兼ねた、高さ絶妙の小上がり
≪キーワード≫
#小上がり #ゲストルーム #カーテンレール #ガス管 #ベンチ収納
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「サーフィン仲間を筆頭に、ここに引っ越す前から友人が泊まりに来ることが多かったんです。そのための個室を設けることも考えましたが、うちの敷地面積は24坪。しっかり仕切った客間をつくってしまうと、ちょっと窮屈に感じるかな、と」
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住まいの開放感を維持しつつ、ゲストルームを設ける。そのための最適解が、LDKに小上がりを造作すること。その高さによって空間にメリハリを付け、目隠しのカーテンをプラス。カーテンレールには無骨なガス管を用い、デザイン性にも妥協はありません。
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小上がりには収納機能を持たせ、通常よりも少し高めの設計に。高めの設計によって収納力が増し、ゲスト用の寝具はこちらにセット。さらには腰掛けるにも違和感なく、この小上がりは客間としても、ゲストがくつろぐベンチとしても活躍しています。
もっと知りたい、河尻さん宅のアイデア
雑誌OCEANSとDoliveの家
景色も素材も居心地の一部にする、
「SEAWARD HOUSE PROJECT」
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シアトル生まれの「ACEホテル」を筆頭に、アメリカ西海岸の住環境をモチーフにつくり上げた河尻さんの住まい。床も壁も、あらゆる素材が顔を出すミクスチャーの感覚がデザイン性を高める一方、肩肘張るような雰囲気はなく、まさに居心地抜群。
河尻さんの自宅と同様にアメリカ西海岸のテイストを存分に取り入れ、住む人の居心地にとことんこだわった住まいが、Doliveと雑誌・OCEANSが共創した「SEAWARD HOUSE PROJECT」。西海岸の海辺の住宅をモチーフに、ウッドデッキを備えた平屋が特徴です。
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「僕も本当は、平屋の家にしたかったんです。ただ、建坪が足りなくて(笑)。デッキの存在もサーファーには最高。砂まみれで帰ってきても気になりません。それに雪山に建てても映えそうですね。デッキから眺める白銀の景色は、間違いなく美しい」
ウッドを多用した外観は海にも山にも映え、デッキから望む景色が日々の暮らしを豊かにする。SEAWARD HOUSE PROJECTは住宅設備だけでなく、家を取り巻く環境も家に用いる素材も、居心地の良さの要素として捉えた住まいです。
河尻さんが雪山のロケーションを思い浮かべたように、あなたならこの家をどこに建てるのか——。想像を巡らせてみてはいかがでしょうか?
photo/宮前一喜 text/大谷享子 illustration/kozo