人間が居心地のいい家=猫も居心地がいい?
−Gatos Apartment【前編】−
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こにゃちは!ボク、Doliveの看板猫たわし。いろんな先輩にゃんこの暮らしを見学して、猫にとって居心地のいい家やライフスタイルを勉強しているんだ。
第一回目の訪問先は、チーさんとウーさん親子のお家。2匹のパパ・木津さんは東京・横浜に計5棟ある猫専用賃貸を監修しているんだ。今の住居『Gatos Apartment』は1Fが賃貸アパートで、2Fに住んでいるんだって。
人間が居心地のいい家=猫も居心地がいい?
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まだ『Gatos Apartment』がなかった11年前のこと。チーさんが木津さんに私を紹介してくれたの。実はその頃、私は野良猫で目が見えなかったの。そんな私を木津さんが病院に連れて行ってくれて、目が見えるようになったのよ。木津さんは命の恩人だと思っているわ。
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にゃんて優しいパパなのでしょう!
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そうなの。その後チーさんが私の弟や妹を産んで、家を引っ越さなきゃならなくなったの。でも当時は、猫専用の賃貸が全然なくて……、木津さんは自分で家を建てることを決めたのよ。
この家には、木津さん・奥さん・娘さん・私とチーさんの3人+2匹で暮らしているよ。チーさんはシャイだから、今日は私が家を案内するね!
<今日のテーマ>
思い込みの「猫ファースト」をやめてみよう
❶ 猫の世話がしやすいかどうかを考える!
木津さん曰く、猫と暮らす家を建てる上でいちばん大切なのは「人間ファースト」という考え方。キャットウォークが張りめぐらされた猫カフェのような内装だと、人間が落ち着かないし、実は猫もそんな家を望んでいないんだとか。
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でも「人間ファースト」の家は、ボクたちにとっても暮らしやすい家なのかな?
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そこが大切なポイントなの。例えば私たちのトイレ。猫はきれい好きだからトイレが汚ないのはNG。そんな私たちのためにバスルームとベランダの手前に、トイレ用の空間を作ってくれたの。
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それが、どうしてボクたちの暮らしやすさにつながるんでしょう?
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トイレを隣のバスルームですぐに洗うことができるの。奥にあるベランダとトイレ横の換気扇のおかげで、通気性がいいから臭いも気にならないよ。トイレ上の棚には猫砂を収納してあって、掃除がこの空間だけで完結するの。おかげで常にトイレが清潔なのよね。
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にゃるほど、わかったぞ!世話がしやすい設計は、人も猫も気持ちよく暮らせるってわけですね。
❷ 室内で自然を感じられると気持ちいいにゃ〜
木津さんが監修する『Gatos Apartment』と同様に、2Fの住居部分も猫が室内で暮らすことを前提に設計されているそう。そうする理由は、猫にとっての害虫や、交通事故、猫同志のケンカによるネコエイズ感染、近隣との糞尿問題を防ぐためなど、いろいろあるみたい。
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もちろん室内で暮らすことを前提としていても、人と同じで猫も自然が大好き。だから木津さんは、外が見えて日光がたくさん入る小窓や、屋上にバルコニーを作ってくれたの。
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ボクも窓際でお昼寝するの大好き!気づいちゃったんだけど、人と猫って似ているみたいだ。
➌ ただつけられただけのキャットウォークには登らないのだ!
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よくある人の勘違いは、猫はキャットウォークがあればいいと思っていること。
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そうそう。ボクたちだって暇じゃないから目的がないと登らないんですよね!
(最初に興味本位で登ることはあるけど……)
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私たちがキャットウォークを使う理由はひとつ。登った先にお気に入りの場所があるということ。木津さんはそれをよく理解しているよね。
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だからこの家には、無駄なキャットウォークがないんですね!代わりに、窓際やバルコニーに行ける階段や段差が自然と設計されているんだ。
❹ 猫の性格を理解していると、つくらなくていいモノもある!
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思ったんだけど、この家は玄関に脱出防止扉がないですね?
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よく気づいたね!猫専用の賃貸なら必ずと言っていいほどあるもんね。これも木津さんのこだわりで、私たちが逃げないのをわかっているから、あえて2Fの住居には作らなかったんだって
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にゃるほど!先輩の性格を理解している木津さんならではの工夫なんだ。
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パッと見、私たちのために建てた家には見えないよね。でも私たちは、とても居心地がいいわ。
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ボクもとても居心地がよかったです小さな工夫にウーさんたちへの愛を感じたにゃ。
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「人間ファースト」が「猫ファースト」に繋がることを初めて知ったな。きれい好きで、自然が好きな猫にとって人間は、居心地のいい空間を共有できる最高の相棒なのかもしれないにゃ。
photography/服部希代野