働く猫から学ぶ!ネオ銭湯の人気看板猫の暮らし
−喜楽湯−
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こにゃちは!ボク、Doliveの看板猫たわし。いろんな先輩にゃんこの暮らしを見学して、猫にとって居心地のいい家やライフスタイルを勉強しているんだ。
第6回目の今回は、いつものネコLIFEと趣を変えて看板猫の先輩から学びます。
訪問先は、看板猫“たたみ”が活躍する銭湯「喜楽湯」。1950年代から街の人に愛され、オープン前に開店待ちの列ができる日も。たたみが玄関や番台でお出迎えする姿も愛らしく、会いに来るお客もたくさんいるのだとか。番頭の中西可奈さんや従業員の皆さんは、たたみを自由に過ごさせていますが、看板猫としてなかなかの働きぶりなのだそう。
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僕は、喜楽湯の建物裏手にある、従業員の生活スペースで寝起きしているんだ。勤務時間はまちまちだけど、ほぼ毎日銭湯に出勤して、お客さんをお出迎えしているよ。
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すごい!昔からそうしていたの?
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うん。僕は喜楽湯の向かいにあった畳屋で保護されて、喜楽湯に引き取られたんだ。生後10日くらいだったけど、その日のうちに番台デビューしたよ。猫の飼い方に詳しいお客さんが、ミルクの飲ませ方や飼い方を教えてくれたんだって。
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へー!お客さんにも育ててもらったんだ。
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そう!今でもお客さんから沢山のキャットフードやオヤツをもらうよ。看板猫として、僕はこの街で結構有名なんだ。今日は看板猫の先輩として、いろいろ教えちゃおうかな。
看板猫として、多くの人に愛されるには?
●分け隔てなく接客をする
2018年12月から番頭を務める中西可奈さんは、喜楽湯の特徴を「初心者向けで、どんな人でも気軽に来られること」と、話します。アメニティ類やタオルの貸し出しサービスのある「手ぶらセット(220円)」が人気で、常連客でなくても利用できる気安さも。また女湯の脱衣所にベビーベッドやキッズスペースがあることから、子連れのお客も多いのだとか。
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ボクは小さい子ってちょっと苦手…。叩いたり引っ張ってくることあるし。
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僕は平気だよ。僕の体を撫でたい人には、みんなに触らせてあげるんだ。
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優しいんだね〜!
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お客さんに喜んでもらえると僕も嬉しいんだ!お姉さん(中西さん)は、特に子どもに親しんでもらえるように「銭湯の入り方教室」を企画したいんだって。教室開催のときは、みんなが楽しめるように僕も協力するつもりだよ!
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頼もしい!看板猫は分け隔てなく接客をして、お客さんに楽しい気持ちで過ごしてもらうお手伝いをするんだね。
●和ませ役に徹する!
たたみは喜楽湯が開店する15時〜23時の間、番台近くのお気に入りの場所で過ごしたり、敷地内を散歩したり、気の向くままに過ごしています。勤務時間中ずっと寝ていたり、マイペースな姿が多くのお客を和ませています。
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開店している間、接客ばかりするわけじゃないんだね。
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うん。僕が自然体でいる方が、お客さんは喜んでくれるんじゃないかな。接客しないで外にいても、手を振ってくれたり話しかけてくれるんだよ。
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外ではどんなことをして過ごすの?
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裏手に積まれた薪で爪研ぎをしたり、貯水タンクの上で日向ぼっこしたり。敷地内でどう過ごそうとお姉さん達は僕を好きにさせてくれるし、とっても快適!
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自由気ままに過ごすのが好きってこと、飼い主さんもお客さんもよくわかってくれているんだ!看板猫って大変なことばかりじゃないんだなあ。
●仕事場のルールに従う
喜楽湯の敷地内で自由に過ごす一方で、公衆浴場という性質上、たたみが出入りを禁止されている場所もあります。それは、特に清潔さを求められる、脱衣所と浴場。中西さんや従業員の方々が常に気を配り、たたみが出入りしないよう注意しています。
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賑やかで楽しそうで、つい脱衣所に入っちゃいそうになることあるけど、お姉さんに「公衆衛生上、ダメなものダメ」って言われるんだ。
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そっか。好き勝手し放題ってわけでもないんだね。ボクもちょっと浴場を覗いてみたいけど…。
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ダメダメ。喜楽湯は色々な人が来る場所だし、そこで生活する僕もわきまえなくちゃいけないんだよ。
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そっか、銭湯ならではのルールがあるんだ。仕事場で重んじられることは、看板猫も覚なくちゃいけないんだね。
●同僚と信頼関係を築く
たたみは従業員との絆が深く、特に中西さんにはよく甘え、愛嬌のある表情を見せるのだそう。たたみは、自ら敷地外に赴くことはなく、人や他の猫とのトラブルもない穏やかな性格。そのため、中西さん達は信頼して、たたみを好きにさせているのだとか。毎日、薪入れ作業や閉店後の掃除風景を見守り、仕事が終わると生活スペースまで一緒に帰るのが日課。まさに、苦楽を共にする“仲間”のような関係性です。
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普段は敷地外に出ないけど、皆がコンビニに行くのを追いかけて行ったことがあるよ。それに、一緒にピクニックに行ったこともあるんだ。ハーネスを着けてもらって、荒川まで行ったよ。
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楽しそうー!とっても仲良しなんだね。
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うん。お姉さんとはよく一緒に寝るし、そのおかげかお姉さんは猫アレルギーが治ったんだって!毎日朝から晩まで一緒に行動して、皆は僕の友達って感じがするんだ。
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従業員の皆さんも、たたみさんを働く仲間の一員として認めてくれてるんだね。人と猫が、お互いしっかり信頼し合っているのってステキだな!
【まとめ】
看板猫として、多くの人に愛されるには?
- 分け隔てなく接客をする
- 和ませ役に徹する!
- 仕事場のルールに従う
- 信頼関係を築き、人と仲間になる
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猫らしく自由に過ごしつつ、禁止事項は守る。そして、接客仕事はきちんとする。これが、看板猫として求められることだってわかったよ。職場とプライベートを共にして生活すると、人と猫は絆が深まって、お互いに仲間として認め合うことができるんだね。
photography/きくちよしみ text/橘川なおこ