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農家を営むご夫婦の「家に帰るのが待ち遠しくなる住まい」

DATE 2019.12.09 #みんなの暮らし
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静岡県の静かな住宅地に中古戸建てを購入し、リノーベーションして暮らしているMさんご夫婦。農家を営むご夫婦が目指した住まいは、昔ながらの純和風の佇まいを残しながらも、自分たちらしいエッセンスを随所にちりばめたノスタルジックでモダンな空間。「自然と向き合う仕事をしているからこそ、家で過ごす時間を大切にしたい」と話すご夫婦の、こだわりが詰まった住まいを訪ねました。

Mさんご夫婦プロフィール

静岡県在住。横浜出身のご主人の「農業をしたい」という強い希望で、結婚後、静岡で農業を営む奥様のご実家に引っ越して作業を手伝うように。その後、農家として独立するタイミングで新居を探し始めた。現在は夏に枝豆、冬にレタスを栽培。ご夫婦そろって、アートや写真、オーディオなどの趣味を楽しんでいる。

実家の離れをリフォームするつもりが、予想外の展開に

ご夫婦で農業を営むMさんご夫婦。都会で生まれ育ったご主人が結婚を機に農家への転職を強く希望し、代々農家だった奥様のご実家で暮らし始めたそう。

「食べ物を作る仕事って、単純にすごいなと思ったんです。自分がゼロから作ったものをお金に換えるというシンプルな仕事ですから」とご主人。ご実家の農家をいつか継ぐことを考えていた奥様は、「まさか、自分が好きになった人が農家をやりたいと言ってくれるなんて、びっくりでした」と話します。

2人が最初に住み始めたのは、奥様のご実家の離れ。築100年以上、隙間風がピューっと吹くような昔ながらの農家の家だったそう。数年経ち、ご夫婦が農家として独り立ちするタイミングで、ご主人の両親と同居ができるように離れのリフォームを検討することに。しかし……。

「プロの方に相談したら、『古すぎてリフォームは無理。建て替えるしかない』と言われてしまい、さあどうしようかと。急いで中古住宅の購入を検討しはじめました。そしたら、偶然にも近所に状態がよい住宅が売られていたんです。新築を建てるよりも中古をリノベーションするほうが値段的にもお得だし、自分たちらしい家がつくれるし。『ここしかない!』と即決しました」

購入した住宅は当時築29年。耐震工事を行い、ご夫婦が気に入っていた純和風の外観はそのままに、背が高いご主人のために玄関ドアのみ取り替えたそうです。

玄関からお風呂に直行できる、農家ならではの間取り

室内は状態のよい玄関や階段まわりには手を加えず、間取りをがらりとチェンジ。子どもの頃から間取りを考えるのが好きだったという奥様には、農家ならではの強いこだわりがあったようです。

「農作業から戻ると全身泥だらけなので(笑)。家に帰ってきたらすぐにお風呂に入れる動線がマストだったんです。それで、室内に上がる動線とは別に、玄関横に着替えや洗濯ができる土間を設けてお風呂に直行できるようにしました」
土間には作業着を置く棚と、汚れものを手洗いする大きな洗い場があり、さらに2台の洗濯機が置かれています。

農家としての生活のしやすさを考慮した結果、洗濯機置き場、お風呂、キッチンを回遊する間取りが実現。「家事が一気にできるので、すごく助かっています」と奥様は話します。

あえて残した古い柱や障子。家の歴史を感じながら暮らす

よく見ると、キッチンの通路に古い柱が1本。もとはキッチンと和室だった2部屋を1つの空間にしたものの、柱は構造上取リ外せなかったそう。スムーズな動線を重視する奥様にとって。この柱は邪魔なのでは?

「みんなに言われますね(笑)。でも、味があって、すごく気に入っているんです。この柱があることで、前はここに壁があって部屋がわかれていたんだなーって忘れることはないし、なんだか愛着が湧いてくるんですよね」

ダイニングスペースの後ろにある障子と棚板も、リノベーション前の建物の名残。和室の書院にあったものをそのまま活かしています。
昔ながらの日本の家のよさを取り入れつつ、自分たちが好きなテイストを加えてうまくアレンジしていく。それもリノベーションならではの魅力です。

空間に変化を与えるために、ディテールにもこだわった

奥さまが間取りにこだわる一方で、空間のディテールにこだわったのはご主人だったそう。
「床板は空間に動きをつけるためにあえて横向きにしてもらいました。あと、スピーカーとテレビをかけているリビングの壁は、1段前に出して色を変えました。こうすることで、壁自体もインテリアになるかなと思って」

そうして出来上がったのは、和の空間にオーディオスペースが融合したモダンなLDK。「こういう雰囲気がすごく好きで。ずっとしたかったんですよね」とご主人。
玄関入ってすぐに目に飛び込んでくるのは、ご主人が若い頃に描いた作品。ウッドデッキがある窓側の壁に掛けられているのは、奥様が撮影したというダイナミックな植物の写真です。

LDKから続くウッドデッキは、引っ越してきたあとに知り合いの大工さんに頼んで作ってもらったものだそう。「実は外で過ごすことはあまりないんですけど(笑)。ウッドデッキがあることで視覚的にLDKが広く見えるので設置しました」

1部屋だけど2部屋のような、夫婦のプライベート空間

2階はご夫婦のプライベート空間。もともと2部屋の和室だったのを、大きな1つの空間とウォークインクローゼットに変えました。
1階同様にインテリアの主役になるオーディオスペースとソファが置かれた空間とベッドルームの間に、あえて1枚の仕切り壁を設置。左右と天井下に空間が空いているので、圧迫感を出すことなく、空間を分ける役割を果たしているそう。

「私がベッドで寝ているときに、夫がテレビを見ながらくつろいでいても気にならない。1部屋だけど、2部屋みたいに使えるのがうれしいです」と奥様。ご夫婦が思い思いの時間を過ごしながらも、心地よい距離感でつながれる空間となっているようです。

限られた条件の中で、自分たちらしさを探っていく

この家に住み始めて3年。ご夫婦そろって「掃除するたびに、いい家だなって思う」と話します。

「『こういう間取りで、こういうモノを置きたい』というイメージがはっきりしていたので。やりたいことと理想と目的を設計士の方に全部伝えて、どこまで実現できるかを相談しました。図書館で間取り本を見て、イメージに近いものを大量にカラーコピーして1冊のファイルにまとめたりもしましたね。 新築だと白紙の状態から考えないといけなくて逆に何をしていいかわからないけれど、リノベーションだと限られた条件の中で自分たちらしさを探っていけるのがよかったなと思います」

日の出とともに仕事を始め、日暮れ前に帰宅する。自然と向き合う仕事をするからこそ、住まいはゆったりとくつろげる自分たち好みの空間にしたい。そんな思いが込められたお二人の住まい。

古い家の味わいを残しながら自分たちらしく変えていくMさんご夫婦の暮らしは、これからも続いていきそうです。

撮影協力:Dolive オレンジハウス静岡店(ORANGE HOUSE)