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23.5㎡のコンクリートの箱を、住みよい家へ。
ひとり暮らし男子の、暮らし実験レポート

DATE 2020.06.15 #みんなの暮らし
amanojackさんが暮らすのは、都内のどこへ出掛けるにもアクセス抜群の立地にあるワンルーム。躯体現しのコンクリートに包まれた空間に工夫を施し、心地よい住まいを作り上げています。暮らしを実験と捉え、軽やかな暮らしを楽しむamanojackさんの “暮らし実験レポート” をお届けします。
amanojackさんPROFILE

東京都在住。2019年、就職を機に北関東から上京し、築35年のリノベーション済みのワンルームにてひとり暮らしをスタート。“狭小アパートメント暮らしの実験” をコンセプトに、家づくりの過程をインスタグラムにアップしたところ、人気を呼び、メディアにも多数掲載される。

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両親に言わせると、ここは「監獄みたいな家ね」

 

学生時代は、家賃重視で選んだ “フツー” のアパートに住んでいたというamanojackさん。新生活を始めるにあたり、好きで集めている古道具やアンティーク雑貨とバランスの合う “箱” を求め、リノベーション物件に絞って探したと言います。

「古い物と、近代的な部屋は合わない気がして。築古のリノベーション済み物件の方が相性がいいかなと思ったんですよね」

 

そこで出会ったのが、現在の住まい。内見時の第一印象は “・・・何もない” だったとか(笑)。玄関側に水回りがまとめられた、間仕切りがない四角いコンクリートの箱に、直感的に惹かれたそう。

「何もないってことは、自分の生活や好みに合わせて自由に手を加えられるってこと。両親には『えー! こんな監獄みたいなところに住むの?』って驚かれました」

 

 

快適な住まいに変えるべく、入居後すぐに着手したのは、パウダールーム(脱衣所)の設置。

「仕切りを作って、空間にメリハリをつけたかった」と、合板と鋼製束でバスエリアを囲うようにレイアウト。壁で閉じないから、リビングと繋がりつつも独立性のある空間の完成です。

 

 

さらにキッチンの棚や玄関の収納など、必要だと感じるものを好きなように、思うままにプラスオン。そうして、自分にとって心地いい空間を形にしていきました。

無機質な空間を彩る、アンティークの品々

 

ミニマルな空間でひときわ存在感を放つのが、国内外の蚤の市で買い集めてきた古道具やアンティーク雑貨の数々。余計なものが何もない空間に置くことで、輪郭が際立ち、その魅力がより一層引き出されています。

「毎回どんなお宝に出会うか分からないのが、蚤の市の魅力ですね。一番の戦利品は、イタリアのミラノで買った鹿の角の標本かな。きりぎりすタイプのお金の使い方なんでグッときたものは、値段を見ずに買うことも多いです」

 

 

そうして迎えたサンゴの標本、多彩なガラスの小瓶、野草のドライフラワー、真鍮のキャンドルスタンド、滑車のようなランプ、足場板のテーブル……。個性的な品でも溶け込むように調和しているのは、“自然由来のもの” や “嘘っぽくない素材のもの” を選んでいるから。

 

「安っぽいプラスチック、メラミンなどの素材が苦手で(笑)。植物や石、サンゴのような自然由来のものだったり、ガラスや真鍮、美しい木肌で出来ているものなど、素材感が生きたものや、質感のあるものが好きです。新しく迎えたものをフィットする場所に飾り、その眺めを見て悦に浸る時間が幸せですね」

住みにくさはあるけど、得るものも大きい

独自の感性で彩った空間で、ひとりだけのひとときを満喫しているamanojackさん。住み心地を聞いてみると……。

 

 

「東向きなので朝は光が差し込むけど、コンクリートが光を吸収するので暗めです。材質のせいか、底冷えもするので、冬場はスリッパが必要。あと配管がむき出しなので、上の階の住民の生活水の音がチョロチョロと聞こえるし……」

「住み手に優しくない家です」と話す割に、その表情はどこか晴れやかなような?

 

「僕にとっては、この部屋での暮らしは実験だと捉えています。ここで得た “気付き” を次のステップに反映させればいいかなって。ここでの暮らしを元に、“次はこういう家に住もう”と気付きを得ることが、今は大切だったりするんですよね」

いずれは、イチから自分の城をつくりたい

自由に、軽やかに、実験的な暮らしを楽しむ姿勢が、多くのフォロワーから支持を集めているamanojackさん。インスタグラムは、インテリアの変遷を記録するために始めたと言います。

 

 

「投稿することで、自分の空間を俯瞰で見れるようになったのがよかったです。“ここはもっとこうした方が良くなる” など、空間づくりへのモチベーションにもなってます」

amanojack さんのインスタといえば、フェード感の効いた洗練された写真が特徴的ですが、毎回苦戦しているとか。

 

「ほんと暗いんで。冬場は、6時とか7時とか早起きして撮影してます。冬〜春にかけては朝も明るくならないから、手ぶれ防止のために三脚がマスト。ここへ住んで初めて、クロスが白い理由が分かりました。壁が白いと、窓からの光が回るんだ!って」

こうして実体験で得た “気付き” を集め、いずれは「自分でイチからリノベーションをやってみたい」とamanojackさん。

 

「空間としての美しさと快適性。どちらも取り入れて、自分にとってベストな住まいを作れたら。その最適なバランスを知るためにも、今後も暮らしの実験は続けていきたいですね」

 

いつの日か、理想の空間を手にするために。あえて「計画的な無駄」を作り、日々工夫を凝らしているamanojackさん。彼の住まいは、未来への明るい希望が詰まった “実験室” のような空間でした。

text/平田 桃子(verb)