
築60年の長屋をリノベ、猫5匹と暮らすレトロな家 ―建築家・いしまるあきこさん【前編】―

第5回目の訪問先は、建築家のいしまるあきこさん宅。築約60年の長屋をご夫婦でリノベーションし、住まい兼事務所として生活されています。家の中は、飼い猫のしろ、くろ、ものくろ、しま、みけの5匹と里親募集中の子猫がいて、とても賑やか!そんな猫達と、人とが心地よく過ごせるよう、いしまるさんは家の中をDIYしているんだそう。


木造平屋の長屋。江戸川区平井にあるため、いしまるさんは「平井ねこのいえ」と名付けた



猫小物がたくさんある、いしまるさん宅。こちらは足元で目を引く、玄関横の招き猫
〈今日のテーマ〉 古い家で猫が楽しく過ごすには?
⚫梁や障子など、古いものを猫用に活かす
2016年1月から今のお宅に住んでいる、いしまるさん。築約60年の趣に魅力を感じた長屋は、古い建物のため雨漏りがあり、あちこちに穴が開いていたそう。そこで引っ越し前にご自身で修繕をし、天井を取り払って梁をむき出しにするなど、リノベーションを行っています。



梁の素材は、昔の家屋でよく使われた赤松など。ザラザラした質感が、猫の足元の滑り止めにもなる


障子は、破れにくい強化和紙を使用。障子枠が、猫が1匹ずつ通るのに丁度いい大きさ。猫くぐりには、白いビニールシートを垂らしてある


いしまるさんがオークションサイトで購入した、「ほくさんバスオール」という床置き式ユニットバス。コンパクトなサイズと、レトロな家にぴったりな佇まいが魅力
⚫猫の暮らしぶりを見て、少しずつDIYする
引っ越した後も、壁に漆喰を塗るなど、家のリノベーション作業は続きました。いしまるさんは、以前住んでいた家でもDIYをしながら生活していたため、変化していく家の光景に猫達もすっかり慣れています。



大きさを決め、ホームセンターで板を切ってもらい、組み立てる。猫は大きな音が苦手なので、家の中の作業を最小限にしてDIYできるように努めるそう


梁から「ねこだな」へ降り、いしまるさんの机の上へ。甘えに来たり、ご飯をねだりに来たり、仕事場へも猫達がやって来る


⚫レトロな空間に合うインテリアを選ぶ
古い家の空気感を損なわないよう、インテリアにはなるべく古い物を選ぶ、いしまるさん。日用品は、オークションサイトやリサイクルショップで購入し、猫グッズも、市販の猫専用品を極力使わないようにしています。



綿ロープを巻きつけて作った、爪研ぎ器。柱での爪研ぎを防ぎ、見た目も美しい


しまと、子猫が猫草をよく食べる。補充しても、あっという間になくなってしまう


インテリアに調和し、どこかレトロさを感じさせるポットや湯のみ
⚫雨戸や障子にひと手間かけて、寒さ対策をする
古い家は構造上、外気の影響を受けやすく、寒さ対策が必須。そこでいしまるさんは、建物をリノベーションする際、斜め天井の内側に羊毛断熱材を入れ、断熱しているそう。また、障子で部屋を間切りするなど、暖かい空気を逃げにくくする工夫をしています。



古い家ならではの木製建具と、トタンの雨戸。雨戸にサイズがピッタリ合う厚めの発泡スチロールをはめこむと、冷気が遮断される

猫の寝床下には、ペットヒーターを設置。背面にオイルヒーターもあり、暖かいので猫達が自然と集まってくる


主に猫が過ごすのは、室内の床近く。そのため室温計も柱の下のほうに取り付け、室温管理を。人も猫も快適な20℃〜28℃を保つようにしているそう


【まとめ】
古い家で猫が楽しく過ごすには?
- 梁や障子など、古いものを猫用に活かす
- 猫の暮らしぶりを見て、少しずつDIYする
- レトロな空間に合うインテリアを選ぶ
- 雨戸や障子にひと手間かけて、寒さ対策をする
photography/黒坂明美 text/橘川なおこ
いしまるあきこさん著『猫と住まいの解剖図鑑』(エクスナレッジ)が3/22より発売中。
多頭飼いについてのアドバイスも掲載しています。