Dolive Doliveってなに?

アースシップMIMA,アースシップ,オフグリッド住宅 DATE 2023.05.02

廃材をつかったセルフビルドの家づくり x 電気も水も自給自足する「アースシップMIMA」

「家は買わなくてもいいし、形だって、誰と住むのかだって自由」。暮らしのカタチが多様化している今、家の使い方自体を見直す人が増えているみたい。そこであなたも、家との付き合い方、住み方、暮らし方を、もっと柔らかい頭で「シン解釈」してみるのはどうだろう? 誰かのユニークなライフスタイルをヒントに、あなたの「こんな暮らしもいいよね」を見つけてみませんか。

今回シン解釈するのは

廃タイヤや空き瓶などの廃材をつかった、セルフビルドの家づくり。
電気も水道も自給自足で暮らす「アースシップMIMA」です。

アースシップMIMA

オフグリッド体験ができる1日1組限定のゲストハウス。
予約・問い合わせはアースシップMIMA WEBサイトより可能
HP

廃タイヤや空き瓶などの廃材をつかった、セルフビルドの家づくり

徳島県の山間を車でぐんぐん走っていくと、山の上に目を惹く個性的な“ポツンと一軒家“。そう、これが日本で初めてできたオフグリッド住宅「アースシップMIMA」です。そもそもアースシップとはどんな家なんでしょうか。そこで暮らす清水智子さんにお話を伺いました。

オフグリッド

電気や水道といった公共のインフラに頼らず、それらを自給自足で確保すること。

ガルバリウムとテラコッタのような土壁でできた外観

「アースシップは、1970年代からアメリカ人建築家マイケル・レイノルズさんによって建てられ続けている建物です。廃タイヤや空きビン、空き缶などの廃材を建材として建てていて、電気は太陽光、水は雨水、そして冷暖房器具を使わないで暮らせるオフグリッドな家なんです」

このコンセプトを聞いただけで驚きですが、なんとこの建物は清水さんとその有志の手によってワークショップ形式として建てられたそう。

「建設はマイケルさんと海外のアースシップチーム、そしてアースシップの理念や建築技術を学びたいという参加者たちが世界中から集まって、寝食をともにする4週間の滞在型ワークショップ形式で建てました。50人ほど参加をしてくれましたが、この短期間で本当にできるか、すごく不安だったのですが、無事に建ちましたね」

とはいえ、この4週間で全てが完成したわけでなく、家の骨格ができただけ。住めるようになるまで、様々な職人さんとその後一年ほどかけて完成させたそうです。

円形の部屋の中に入ってみると、建築未経験者たちが建てたとは思えないデザイン性が高い空間が広がっています。

「この部屋の壁がボコボコしていると思うんですが、奥にはタイヤが詰まっています。通常のアースシップだと、タイヤのボコボコはフラットにするのですが、左官屋さんがこれは活かしたほうが面白いと言ってくれて、このボコボコな壁に仕上げてくれました」

天井は板張り。半地下のようになっているので、光は天窓から入ってきます

キッチンやバスルームの壁面には、ステンドグラスのように空き瓶が埋まっています。

「廃材集めの中で、実はこのガラス瓶を集めるのが一番大変でした。何千本も使っているんですが、この量の集め方はさすがにネットにもなくて。なんとか業者さんを探して、ここから3時間ぐらい離れた場所へ仕入れに行ったんです。廃品の山から探してくださいって言われたときには、途方にくれそうになりましたね(笑)」

こうして集めた空き瓶はデザイン性だけでなく、採光という利便性もあわせ持った装飾になっています。

リビングの床に目を向けると、錆びたような独特な色合いに。素材はコンクリートですが、そのままではなく鉄の成分を混ぜることでこのコンクリートとは思えない、独特な質感を生み出します。

これだけインパクトのある住宅だとどうしても作り方にフォーカスしてしまいがちですが、家のデザインひとつひとつとってもみても、とても魅力的です。

公共のインフラに頼らず、電気も水も自給自足

アースシップの大事なポイントといえば、オフグリット。一体どのように電気や水道を自給自足をしているのでしょうか。

まずは水道。家の裏側には、ドーム型屋根がふたつ。ここに水を貯めるシステムがあります。

「雨水を受ける雨どいから、敷き詰められた砂利によってろ過された雨水が地中に埋められた貯水槽に流れ込む仕組みになっています。そして、室内でさらに濾過した水をキッチンやお風呂、洗面所などで使用しています」

そこで使われた水はそのまま外に流れるのでなく、室内の野菜や果物の菜園を通るように設計され、最後はトイレの水になるそうです。

「菜園にあるアボカドの木は3年ぐらいでかなり大きくなりました。すごい茂ってくれているので、いい感じにキッチンに日陰をつくってくれているんです。この水菜は、スープにしたり、サラダにしたりして食べています」

アボカドの木

キッチン横の菜園で育てた野菜を収穫し、そのまま料理して、生活で使ったお水がまた菜園のお水になるという循環型の生活はシンプルながらもどこか憧れてしまいます。

電気はというと、ガラス窓の上に設置された12枚のソーラーパネルで発電。それをトラックサイズの車のバッテリーに蓄電し、この家のすべての電力をまかなっているそう。そして、冷暖房器具いらずで暮らせるのは、年間を通して室温はほぼ21℃前後に保たれるアースシップの構造に秘密があります。

「廃タイヤや空き缶を大量に使ってるので、それが断熱構造の代わりになっているんです。空気の層作ったり、熱をためてくれるので温度が安定するんです」

取材時の南向きのサンルーム側は、ぽかぽかと汗ばむような温度。そんな時は、屋根の上の戸を開けることで、熱せられた空気を上から逃し、快適に過ごせるようにしています。
シンプルなアイデアですが、こうしてエアコンがなくても快適な暮らしを手に入れています。

ゲストハウスとして”人”へもひらく。
家も自分も変わっていく暮らし

2019年に完成したアースシップを、現在ではゲストハウスとして運営をする清水さん。

「私以外にもこういう暮らしを体験したい人がいるだろうと思って、民宿のようなゲストハウスを始めたんです。宿泊される方は、性別も年齢層も幅広いですが、なんとなく建築関係の方が多い気がします」

それ以外にも移住を視野に入れた家族だったり、リフォームのアイデアを探して訪ねてくる方も多いそう。

そんな清水さんにここで暮らしてみて変わったことを聞いてみると、「予定を立てるんじゃなくて、今やるしかないということが増えました。洗濯機も電力消費があるのでいつでも回せるわけではないですし」と話します。

他にも、バッテリーを2ヶ月に1度は配電盤のチェックをすること。実はチェックを怠ったため一度ダメにしてしまったことがあるそうで、『あとでやればいいやでなく、今やる』。多くの失敗からこの家での暮らし方を学んでいるようです。

暮らしながら、この家のマニュアルをつくるように日々を過ごす清水さん。
家はできたら終わりというのではなく、何年もかけて自分を家に合わせて変えていくことを楽しむ。「アースシップMIMA」からそんな暮らしの暮らしのシン解釈と出会うことができました。

あなただけの“暮らしのシン解釈“を具現化できる家が誕生!

Doliveから登場した新しい家「No.00」は、住む人らしいライフスタイルを自由に味付けできる家。「家はこうでなきゃいけない」なんてことは一切なく、プレーンなベースのプランにあなたなりの暮らし方や好みのデザインをカスタムすることができます。この記事で登場するさまざまな“暮らしのシン解釈“をヒントに、あなたもあなたなりのアイデアで自由に家づくりをしてみるのはいかがですか?

Photography/宮前一喜