maru. DATE 2020.07.13

リノベーションから始まったストーリー。
第二の人生を愉しむ住まい

maru.さん夫妻が暮らすのは、豊かな自然の景観が広がる埼玉県・西部に建つ、築28年のマンション。3年前、息子さんの独立を機に家族の風景も変わり、“第二の人生を愉しむため” に住まいの再編集を決意。お気に入りの家は、暮らす人の世界を広げてくれる——。リノベーションが運んできたという素敵な出会いや、新しい暮らしについてお聞きしました。
maru.さんPROFILE

埼玉県在住。社会人になった息子さんの独り立ちを機に、築28年の自宅をリノベーション。現在は、内装を依頼したアンティークショップ「REFACTORY antiques」にて、ショップスタッフ 兼 撮影係として勤務している。インスタグラムでは、“古いものとちょうどいい距離感” の等身大の家づくりが支持を集めている。

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悲しみを埋めるために、家の見直しを決意!?

 

maru.さん夫妻が、長年住んでいたマンションをリノベーションしたのは、3年前のこと。きっかけは、愛する息子さんとの涙の別れだったと言います。

「ひとり息子が社会人になり、関西に暮らすことに。寂しさを紛らわすために、家の使い方を見直したいなと思ったんです。何か別に没頭出来ることを用意しないと、どうにかなってしまうと思って(笑)」

リノベーションをするために躯体現しのスケルトンになったmaru.さんのご自宅

それまで住んでいた部屋は、いわゆる “ザ・公団” な画一的な間取りとデザイン。畳部屋があり、キッチンは閉ざされた空間で風も光も入らず「長年不満を感じていた」とmaru.さん。そこで、新たな住まいに求めたのが「開放感」と「夫婦ふたりが快適に過ごせる住空間」でした。

 

「目指したのは、夫婦が長く快適に暮らせる家。たまにしか来ないゲストや巣立った息子のことは、訪ねてきたときに考えます。(笑)8年かけて揃えてきた "暮らしの道具達が居心地よく存在する空間" をコンセプトに、間取りやイメージを固めていきました」

2LDKだった間取りを1LDK+WICに変え、ゆるやかにつながる空間に

小屋見立てのWICの建具。狭めの間口や中が見えづらいモールガラスなど理想的な建具だったそう。

2LDKだった間取りを1LDK+WICに変え、おおらかに設計したり、キッチン・リビングの床材を変えることで、ゆるやかにゾーイングしたり……。長年の夢だったリノベーションは、“心地よい暮らし” への知恵が散りばめられた、第二の人生のスタートにふさわしい住まいに生まれ変わりました。

内装は、憧れのショップ「REFACTORY antiques」に依頼

 

やわらかな自然光が射しこむ空間に、あたたかな風合いの古家具が馴染むmaru.さんのご自宅。空間作りに伴走してくれたアンティークショップ「REFACTORY antiques」の存在は、maru.さんのリノベーションを語るうえで外せません。

 

 

「内装は、もともとファンだった『REFACTORY antiques』にお願いしました。古い家具が合うように、壁の色は真っ白じゃなくて、光の反射によってグリーンに見えるホワイトを提案してくれたり。古家具に精通しているから、どんな “舞台” を用意すればいいか熟知されているんですよね」

 

聞けば、お店との出会いは8年前。ふらりと立ち寄ったところ、「自分が求めていた世界観はこれだ!」と心が吸い込まれたと言います。以来、リビングボードや食器棚などコツコツと買い揃え、気がつけば、自宅の家具のほとんどが「REFACTORY」のものに。そのどれもが彼女の暮らしを彩る欠かせない宝物になっています。

リノベーションが運んできた人生の転機

 

以前は、小学校で「特別支援教育支援員」として働いていたmaru.さん。リノベーションをきっかけに、「インテリア関連の職業に就きたい」という気持ちがむくむく沸いてきたそう。思い立ったら行動あるのみ! 近所の図書館に通い詰めて、インテリア関連の資格の勉強を始めたと言います。

 

 

「なにぶんこの年からのスタートなので、資格があった方が(就職する際に)後ろ盾になってくれるかなと。半年かけてインテリアコーディネーター、リフォームスタイリスト1級の資格を取得しました」

現勤務先でもある、アンティークショップ「REFACTORY antiques」

 

合格したタイミングで、なんと「REFACTRY」の店主のニーズと私の希望が運良く重なり、憧れのショップで働かせてもらえることに。これにはご本人も「こんな素敵な展開が待っているとは!」と驚き。リノベーションが、心地よい暮らしだけでなく、人生そのものに大きな転機をもたらしてくれたのでした。

人生に潤いを与えてくれた、インスタグラム

 

maru.さんの人生に影響を与えたもうひとつが、インスタグラム。

「リノベーションの過程を残しておきたくて、日記帳感覚ではじめたのがきっかけ。最初はフォロワーが50人いけば十分と思っていたけど、見てくださる方が増えてくると写真に凝りたくなっちゃって(笑)」

 

 

maru.さんの写真は、部屋のコーナーやリビング、食卓の切り取り方にセンスが溢れていて、まるで彼女の暮らしを覗いているようです。素敵な写真を撮るためのコツをたずねると……。

「色味とレンズが好きで、富士フイルムのデジカメを愛用しています。さらにカメラに内蔵されている機能を活用して、クラシックなテイストになるように調整+明るく補正しています」

 

そんなセンスや技術が認められ、勤務先ではオンラインショップの商品撮影を任されているとか。「以前は撮り直す事も多かったのですが、最近ようやく一発でOKをもらえるようになったんです」と、嬉しそうに話します。
「インスタを始めたことで、もともと趣味だったカメラに再び没頭したり、インテリア雑誌の取材を受けたり、人生に広がりが生まれました。振り返ればリノベーションをきっかけに、自分主体の人生を生きられるようになった気がします」

 

今後は「資格を活かして、インテリアアドバイザーとして活動していきたい」と語るmaru.さん。

「同時に『REFACTRY antiques』の商品を紹介して、お客様とお店のものを繋いで、橋渡しをしていきたいですね。自分がそうであったように、素敵なものと出会う喜びを知ってもらいたいから」

 

リノベーションという大きな決意と覚悟によって、第二の人生を大きく変えたmaru.さん。輝く人生は、一歩を踏み出す勇気から広がる。maru.さんの次の一歩が、どんな素敵なストーリーを紡いでいくのか、今後も目が離せません。

text/坂井 あやの(verb)

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