DATE 2018.09.28

インナーテラスと回遊する間取り。
家族をいつも感じられる「つながる家」のつくり方

東京郊外に中古マンションを購入し、フルリノベーションしたTさんご夫婦。設計関係の仕事をされている奥様がリードしてカタチにした住まいは、常に家族の気配とつながりを感じられる、開放感に満ちた空間です。リビングには小上がりとインナーテラスを設け、毎日を快適に、心地よく過ごす工夫も満載。「お家がいちばん!」と口を揃えて話す、ご夫婦の心豊かな暮らしを覗いてみましょう。

Tさん プロフィール

東京都在住。自動車会社勤務のご主人、設計事務所で内装デザインを手がける奥様の夫婦二人暮らし。2017年3月、築17年の中古マンションを購入し、「家族の存在を感じられる家」をテーマにリノベーション。飲食店の厨房のアルバイト経験もあるご主人は大の料理好きで、平日の夕食づくりも担当。得意料理は、グラタンとお好み焼きだそう。

元々4LDKだった間取りを広々としたワンフロアへ。生活動線を考えて、回遊式の間取りを採用しています。部屋をぐるりと囲む広々としたバルコニーも印象的!

光に包まれた明るい家に、夫婦そろって一目惚れ

Tさんご夫婦が住宅購入を検討したのは、2年ほど前。購入については満場一致でしたが、中古住宅+リノベーション派の奥様に対し、ご主人は当初「新築物件がいい」と思っていたそう。

「リノベーション前提で探せば、限られた予算でも選択肢が広がりますし、何より自分たちの好きなように設計・デザインできる。夫は新築派でしたが、私の中では一択だったんです(笑)」

関連のセミナーに誘ったり、施工事例を見せてプレゼンしたり。奥様の作戦が功を奏して、料理好きのご主人はキッチンの事例を自ら調べるようになったのだそう。「設備やデザイン、収納を自由に設計できるのはいいなぁ」と前向きになり、二人の足並みがぴったり揃った所で、出会ったのが現在の住まいでした。

「角部屋で二面に大きな窓があるので、家の中が光に包まれている。気持ちよくていい感じだな、とワクワクしました」と奥様。さらに、前オーナーさんとの会話も購入の後押しになったと言います。

眺望も良好。周りに高い建物がないので、空がとても広く見えるところも気に入ったそう

「共用部の修繕が都度行われていたり、管理組合がしっかり機能しているという印象を受けました。新耐震基準を満たしているという点もクリア。ここなら安心して住めそうだな、とほぼ即決で決めましたね」

寝室、水まわり以外の壁は自分たちでペイント! 設計のお仕事をされている奥様だけあって、費用を抑える工夫はお手のもの

収納の棚板もセルフで設置。奥様が発注し、ご主人が作業を担当するスタイルだとか

どうしても欲しかった、インナーテラスとリビングの小上がり

物件が決まれば、設計事務所で内装デザインを手がける奥様の出番です。リノベーション会社との打ち合わせに、イメージ写真をまとめたファイル2冊、CADで簡単な図面を作成して持参したとか。

奥様が譲れなかったのは、リビングに設けたインナーテラス。外と内とをゆるやかにつなぐ、光の一角は、空間に奥行きやゆとりを与えるだけでなく、実用的にも優れています。

「洗濯物を干すスペースが欲しくて。天候や時間を気にせず干せるのは、共働きの主婦としては助かりますね。黒い格子ガラスの仕切りを設置したので、干しっぱなしでも生活感が丸出しになりにくい点もお気に入りポイント!」

一方、ご主人は「リビングに小上がりが欲しい」と熱くリクエスト。

「お酒が好きなので、ここで晩酌できたら格別だろうなと思って。適度な “こもり感” というのかな? 壁と本棚に囲まれていて、秘密基地みたいで落ち着くんですよね」

最初は「いらなくない?」と渋っていた奥様も、ここで日曜日の昼下がりに昼寝をしたり、横になって漫画を読むのが至福の時と言います。リビングの中心にある畳スペースは、夫婦が心を休める寛ぎの場になりました。

土間打ちコンクリート仕上げの玄関もこだわり。共通の趣味であるスノーボード用品をしまえる収納も配備

回遊する空間を、本棚でゆるやかに区切る

Tさんご夫婦の住まいは、トイレや浴室などの水まわり以外に間仕切り壁がありません。将来、子供部屋となることを想定したフリースペースや主寝室も然りで、造作の本棚が空間をゆるやかに区切っています。

「目線は交わらなくても『あそこにいるなぁ』と、家族の気配を感じられる空間にしたかったんです」

伸びやかな空間にしたのは、そんな想いから。奥様にとって家とは “生活の場” であると同時に、“家族とのつながりを確認する” 場所。だからこそ、どこにいても互いの存在を感じられる間取りにしたかったと言います。

小上がり、PCカウンター、造作本棚、WICをセンターコアに設けた、回遊式の間取りも奥様のアイデア。「ベッドから起きてそのままバスルームに行けたり。家の中の移動がスムーズ」とご主人にも大好評です。

ウォークスルークローゼットは、リビングから寝室、浴室まで通り抜けられる “通路” の役割も

“おうちフェス” や映画鑑賞……。家にいるのが何よりの癒し

以前は休日になると安らぎを求めて、外出することも多かったというTさん夫婦。しかし、この家に住むようになってからは、お二人にとっての癒しは、“家の中” 。

「溜まった家事をして、疲れたら小上がりでゴロゴロ。午後はインターネットで配信される音楽フェスを鑑賞する “おうちフェス” を開催したり、“おうち映画鑑賞” をしたり。夫自慢の音響設備のおかげで、迫力ある音が楽しめます。そんなことをしていたら、あっという間に夕方! 近所のスーパーに買い物に行って、一緒にキッチンに立って、お酒を飲みながらゆったりいただきます。何でもない休日ですが、しみじみ幸せですね」

ご主人こだわりのスピーカーとウーファー。全部で5台設置しているので、スポーツやライブ鑑賞の迫力も満点!

「好きな空間で暮らす」ことが、心にはたらきかけてくれる

休日の過ごし方だけでなく、意識や生活スタイルにも変化が生まれたと言います。

「以前はがむしゃらに仕事をして、暮らしを疎かにしていたけれど……。自分の好きな空間を持ったことで、生活も心の内側もきちんとしたいという気持ちが強くなりました。モノも適当ではなくじっくり選んで、“どれも気に入っている” 状態にしたいですね」

「引っ越し後は、二人とも平日の帰宅時間が2、3時間は早くなって。今は、オンオフの切り替えが以前よりもしっかりできるようになったなぁと感じています」

涼しくなったらデッキを設置したり、バルコニーを充実させたいのだそう。

リノベーションで、意識も休日の過ごし方も生活スタイルも大きく変わったというお二人。今後も時間をかけて愛着のあるものを見つけ、自分たち好みに手を加えることで、もっともっと心地よい住まいにされていくことでしょう。

撮影協力:ORANGE HOUSE

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