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ミルクカートンハウス, 狭小住宅, 狭小住宅外観 DATE 2021.10.26

牛乳パックのような形がユニークな都心の住宅

街を歩いていると、外観のデザインを見ただけで入ってみたくなる魅力的な建築に出会うことがあります。「外観探訪部」は、そんな気になる建物の外観にフォーカスし、家づくりのアイデアを学ぶ企画。思わず足を止めてしまう外観デザインから、その魅力の秘密を探ります。

当たり前の風景に囚われない、新しい価値観の家

今回は、渋谷区の駅から程近い、土地の制限をポジティブに活かした家に伺いました。
夫婦共通の「狭くても通勤に便利な都心に住みたい」という考え方を実現してくれたのは、妻・宮本直子さんの幼馴染である一級建築士の佐々木倫子さん。「厳しい制限がある土地で、どこまで何ができるか」という相談から始まったづくり。宮本さんご夫妻が「ミルクカートンハウス」と名付けたこの家の、既成概念に囚われない外観デザインから家づくりのヒントを学びます。

POINT1:制限のある土地をポジティブに活かして

宮本さんご夫妻が購入した土地は、建物の高さ制限が厳しい地域にあり、広さにも限りがある狭小地でした。そんな制限のなかでも、家の内部空間を豊かにすることを優先し、バルコニーやガレージは作らず、2人にとって本当に必要な要素だけを残したのだそう。

そんな制限に合わせて建物のボリュームを最大限まで広げた結果、この牛乳パックの形が生まれました。ロフトを設けて四層構造にするなど、限られた中でも内側のスペースを充実させることを重視した結果、自然と美しい形が外観にあらわれたのです。

POINT2:紙を折ったようなガルバリウム鋼板の壁と屋根

設計を担当した建築士の佐々木さんは、屋根と壁とを同一材で一体化し、紙を折ったように繋がったファサードを表現できないかと考えました。屋根と壁のどちらにも使用できる素材は限られており、このガルバリウム鋼板に辿り着いたのだそう。日本の住宅ではよく使われるメジャーな素材ですが、斜め貼りにすることで外観に新しい表情が生まれています。

POINT3:白、木、グレーのやさしい組み合わせ

白、木、グレーの3つの要素の組み合わせは、北欧のようなほっこりとした安らぎを感じさせます。各部分で使用されている素材にはそれぞれ選んだ理由や意味があり、それが外観全体を通して見事に調和しています。

異素材を組み合わせてバランスの良い外観を作るには、ガルバリウム鋼板のようなスタイリッシュな金属素材に、マットな質感の素材や木などの自然素材を組み合わせるのがコツです。

制限のある土地をポジティブに活かすことで生まれた、ミルクカートンハウス。牛乳パックのような形や、珍しい斜め張りのガルバリウム鋼板など、ちょっと変わった外観の秘密は、狭小地でも家の内部空間が豊かになるよう工夫した結果辿り着いたものでした。家を建てるとき、建物の高さの制限や、道路との関係による制限など、必ずその土地の建築制限はつきものですが、その中で自分が優先したいことを見極められると、自ずとデザインの輪郭が見えてくるのかもしれません。

Photography/藤井由依(Roaster) Text/大倉詩穂、赤木百(Roaster)