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街を歩いていると、外観のデザインを見ただけで入ってみたくなる魅力的な建築に出会うことがあります。「外観探訪部」は、そんな気になる建物の外観にフォーカスし、家づくりのアイデアを学ぶ企画。思わず足を止めてしまう外観デザインから、その魅力の秘密を探ります。
ほっと一息をつきたくなる、ログハウスのコーヒー店
鶴川駅から少し離れた幹線道路のほど近く。思わず車も足も止めたくなるコーヒー店『beans farm』があります。自家焙煎のコーヒーと季節のスイーツを求め、近隣の方以外にも多くの若いお客さまが訪れますが、じつは12月に28周年目を迎えた地元に長く根付くお店。2020年には息子さんが引き継ぎ、リニューアルオープンしましたが、外観は変わらずクラシカルなログハウスのままです。
この佇まいがコーヒー店の看板代わりと言わんばかりの存在感ある外観デザインから家づくりのヒントを探ります。
POINT1:ポスト&ビーム構法でつくった、憧れのログハウス
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コーヒー店を建てるなら、絶対にログハウス! と憧れがあったという創業者の荻巣さん。
もともとは奥様のご実家の花畑だったというこの場所に開業を決め、住居兼店舗としてこのログハウスを建てたそう。 当初は、丸太が積み上げられたフルログ構法のログハウスを考えていましたが、2階の住居スペースをより快適にするべく、ポスト&ビーム構法のログハウスを採用しました。
柱(ポスト)と梁(ビーム)に丸太を使うポスト&ビーム構法は、しっかりとした丸太の存在感でログハウスらしさがありつつも、木以外の塗り壁があることでほっこりしすぎない印象になります。
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ベースに使われてるベイマツはカナダからコンテナ輸送され、この地にたどり着きました。一度カナダで仮組みとデザインチェックを経ての運搬のため、基礎組みは2日ほどで終わったと荻巣さんは振り返ります。
POINT2:外観を印象付ける差し色と切妻屋根
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『beans farm』でもう一つ印象的なのは、屋根や窓枠に用いられている、深いグリーン色と切妻屋根です。
デザインについては施工会社が提案してくださったそうですが、とんがった三角の切妻屋根はまさしくログハウスで想像する要素の1つ。また、屋根が2方向から交差したり、窓にも小さな切妻屋根がつくことで欧米的な雰囲気がぐっと増します。
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屋根や窓枠につかった落ち着いたグリーン色は、イメージカラーとして狙ったわけでなく、二重サッシのカラーの数少ない選択肢から気に入った色を採用したそう。
ただ、狙ったわけではなくても、その深いグリーン色に合わせて、細かな部材まで色味のトーンを合わせることで、建物を象徴するアクセントカラーとなっています。
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POINT3:自然な木の曲がりを活かした、唯一無二の空間。
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コーヒー店となれば、もちろん内装にもこだわりが。フルログではないため、ベイマツの柱と梁が印象的でありつつ、空間に白壁や石壁も取り入れることができ、木のあたたかみをほどよく感じられるモダンな雰囲気となっています。
なにより自然な木の曲がりを活かした仕切りは唯一無二。こういった木のオリジナリティを取り入れられるのが、ログハウスの良さの1つです。建設時に内装で使われた木の隅々までのオイル仕上げを荻巣さん自ら大工さんと一緒に施し、28年たった今では経年変化の味がプラスされた空間へと仕上がりました。
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憧れてたログハウスでお店をはじめた『beans farm』。丸太の存在感とグリーンの屋根は、お店の看板代わりのような佇まいです。山間に似合うフルログと違った、程よく街に馴染んだログハウスの外観デザインをぜひ家づくりの参考にしてみてください。
Text / 中島直樹