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人や町とのつながりを紡ぐ、白い三角屋根の洋菓子店
街を歩いていると、外観のデザインを⾒ただけで⼊ってみたくなる魅⼒的な建築に出会うことがあります。「外観探訪部」は、そんな気になる建物の外観にフォーカスし、家づくりのアイデアを学ぶ企画。思わず⾜を⽌めてしまう外観デザインから、その魅⼒の秘密を探ります。
12歳の少女の夢を叶えるためにつくられた、5坪の小さなお菓子工房
滋賀県の近江八幡駅からほど近く、住宅街の一角にそっと佇む『みいちゃんのお菓子工房』。場面緘黙症を抱える12歳の女の子“みいちゃん”の「パティシエになりたい」という夢を叶えるために建てられました。2020年のプレオープン時からみいちゃんのつくる洋菓子は注目を集め、中学卒業後には世界的なアワードで表彰されるまでに。1人の少女が地域や世界とつながるきっかけになった、この5坪ほどの小さなお菓子工房には、どんな家づくりのアイデアが活かされているのでしょうか。設計を手掛けた、ALTS DESIGN OFFICE 水本さんにお話をうかがいました。
POINT1:白い三角屋根で、かわいさと親しみやすさを
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まず外観で目を引くのが、まさに“お菓子の家”をイメージさせるような三角屋根。さらに白を基調としたカラーリングをチョイスして、かわいさと親しみやすさを感じさせる雰囲気に仕上げています。
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建築家いわく、当時小学生だったパティシエの“みいちゃん”をイメージして設計したそう。打ち合わせ時、小さな模型を製作して見せたところ、とても喜ばれたことで、この「白い三角屋根」が実現したのだといいます。
POINT2:半分のみガラス張りで、“つながり”と“プライバシー”を両立
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『みいちゃんのお菓子工房』では、建物の半分をガラス張りに。この設計にすることで、たっぷり光を取り入れることができるうえ、室内にいながら外の風景を眺められたり、訪れる人が店の様子をうかがうことができて立ち寄りやすくなったりと、外と内のゆるやかなつながりを生み出すことができます。
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一方で、地域に開いていくだけではなく、“みいちゃん”自身が自分の世界を守れるようにすることも意識。全面をガラス張りにせず、もう半分側の視界を遮ることでプライバシーを確保できるようにしています。
POINT3:町並みに馴染む、穏やかな色と温かみのある素材
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『みいちゃんのお菓子工房』が建っているのは、住宅街を走る道路の突き当たり。存在感が出すぎないように、インパクトがある外観でありながらも、色と素材をコントロールすることで町並みに馴染むようにデザインしています。
無骨な印象を与えがちなガルバニウムも、白く塗装することで落ち着いた印象に。
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また、木をふんだんに使って、穏やかな雰囲気をプラス。室内天井から軒天まで続く構造部分の木目もそのまま見せることでより温かみを感じられるつくりにしています。
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かわいらしいユニークな外観が印象的な『みいちゃんのお菓子工房』。この外観デザインには、当時小学生だった“みいちゃん”と社会とのつながりを紡ぎ出すためのこだわりが詰まっていました。
外と内のゆるやかなつながりを生む設計、地域に馴染む親しみやすい色や素材選びなど、家づくりにも参考にできることもあるはず。気になった方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
Photo/ 櫛ビキチエ Text/ 小林拓水