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小楽園, 代々木上原のカフェ, 和洋菓子店 DATE 2023.07.06

“桃源郷の土産物屋”がコンセプト。オリエンタルな魅力の外観デザイン

街を歩いていると、外観のデザインを見ただけで入ってみたくなる魅力的な建築に出会うことがあります。「外観探訪部」は、そんな気になる建物の外観にフォーカスし、家づくりのアイデアを学ぶ企画。思わず足を止めてしまう外観デザインから、その魅力の秘密を探ります。

別世界に迷い込んだ?!桃源郷をイメージした外観デザイン

代々木上原と代々木八幡をつなぐ通りに突如現れる不思議な外観の『小楽園』。クリエイティブスタジオ「KLOKA」が手掛ける“桃源郷の土産物屋”をコンセプトにした和洋菓子店です。『浦島太郎』など、おとぎ話に出てくる“おもてなし”に興味があったというKLOKAアートディレクター兼店主の矢島さん。「異世界のおもてなし」を実際に作ってみたいという想いからお店作りが始まったそう。ご自身の“好き”やコンセプトへのこだわりが詰まった外観デザインから家づくりのヒントを探ります。

POINT1:異世界への入口を感じさせる植物のあしらい

まず目を引くのは、小楽園のネオン看板を覆うように生い茂るグリーンのあしらいです。“桃源郷の土産物屋”をコンセプトにしたお店らしく、密林の中から急に現れる桃源郷のイメージを植物で覆うようにデザインし、世界観を演出しています。「花が咲き乱れた楽園ではなく、少し怪しげな“秘境”がイメージ」ということから、森や山の奥に生えていそうなハーブっぽいものやシダ植物、雑草に近いような印象があるものを使うというこだわりも。現在はフェイクグリーンも混ざっているそうですが、徐々に本物の植物のみにしていきたいのだそう。自宅でも外壁の一部にグリーンを取り入れることで季節を感じられたり癒されたり、共に育っていく感覚が味わえそうです。

POINT2:“桃源郷の土産物屋”を体現した配色

看板まわりのグリーンとともに、小楽園で印象的なのは桃色の外壁。
外観にグリーンを取り入れていたことで、緑色が映える配色バランスも踏まえて桃源郷の桃色を外壁に採用しました。可愛くなり過ぎない絶妙な桃色を試行錯誤しながら決めたそうです。まさに、“桃源郷の土産物屋”。小楽園のイメージカラーになっています。

桃色の壁面でまとめるのでなく、下部にタイル絵を設置。モールディングの細かいあしらいと相まって、外観のアクセントになっています。

POINT3:細部に取り入れられたオリエンタルな装飾

「日本だけど日本じゃない」をコンセプトに意識して作っていたという矢島さん。和の要素は取り入れながらも、異国のものが漂流しミックスされた世界をイメージした外観デザインに。例えば外壁上部のアーチはパリの老舗カフェ、ランプやドアノブはクラシカルなヨーロッパを思わせます。

ドアノブのパーツにはさりげなく花の装飾が。これも桃源郷のイメージを造形的に表現したかったという矢島さんのこだわりです。全体を青サビのような加工を施し、経年劣化することをあえて活かし、よりリアルなアンティークに見せています。

“桃源郷の土産物屋”をコンセプトに世界観を演出している『小楽園』。色んな国の要素を加えたあしらいや配色バランス、フェイクと本物が混ざったグリーンのあしらいが、まさに桃源郷に迷い込んだかのような不思議な外観で、訪れた人々を魅了しています。コンセプトを立てて作り上げていくという外観デザイン。ぜひ家づくりの参考にしてみてください。

Photography/中野理 Text/中村ちひろ(Roaster)