DATE 2024.07.30

目指したのは現代の町家。
時を経ても色あせない建築家の一軒家

街を歩いていると、外観のデザインを⾒ただけで⼊ってみたくなる魅⼒的な建築に出会うことがあります。「外観探訪部」は、そんな気になる建物の外観にフォーカスし、家づくりのアイデアを学ぶ企画。思わず⾜を⽌めてしまう外観デザインから、その魅⼒の秘密を探ります。

100年後も、豊かな風景をつくりだす外観を

建築家の今井さん一家が暮らしているのは、桃ケ池長屋や阪南町の下見板住宅など町家や古民家が未だに多く残る地域。「この町並みを壊したくない」という想いから、見事に地域に調和した家を建てました。

1980年代に建築家・石井修氏が設計して数々の賞を受賞したデザイナーズ集合住宅「ドムス香里」に影響を受けたそう。森に飲み込まれ、年月を重ねながら周辺環境と同化していった様子からインスピレーションを受け、たとえば100年後、この地域が緑に覆われたときに完成するような住宅を目指したのだといいます。時を経ても色あせず、豊かな風景をつくりだしていく外観デザインから家づくりのヒントを探ります。

POINT1:3階建て狭小住宅でも高さを抑え、町並みに馴染ませる

向かいの長屋を含め近くに建ち並ぶのは、昔ながらの町家や古民家。その景観を崩さないため、とにかく高さを抑えることにこだわったのだそう。

3階建てではありながら、スキップフロアを採用することで建物の低さをキープ。圧迫感を与えず、周辺の風景に馴染む外観を生み出しました。

ガレージの高さについても、参考にしたのは斜向かいにある住宅のガレージの高さ。そんなところからも、いかに近隣に馴染むことを意識したかを垣間見ることができます。

POINT2:木の素材を活かした外壁で町家を思わせるデザインに

外観を見て印象的なのが外壁。耐火性を高める木片セメント板の上に、墨入の柿渋にて古材風に塗装したスギ材を下見板貼りすることで仕上げました。

この趣深い外壁が傷まないように、軒は深く設計。独自の趣が宿りながら、雨から守る機能性も兼ね備えるつくりとなっています。

この地域は準防火地域。窓は防火性のあるアルミサッシが採用されていますが、外壁の雰囲気と浮いてしまうため、その上に木製ルーバーの建具を設けることに。見事に町家を思わせる“和”な外観となりました。

あえて木片セメント板の品番はそのまま見えるように。無骨な印象をプラス。

POINT3:ガレージを外観デザインに取り込む

「幼い頃からクルマが好きで、カーデザイナーになりたいと思った時期も少なからずある」と話す今井さん。クルマのことを動物になぞらえ、その動物=クルマが、巣=ガレージに帰ってくるイメージでガレージを設計したのだそう。

西日が当たるのを避けるために麻の暖簾をチョイス。大好きなクルマのことを思いながらも、町家のテイストを踏襲した外観デザインをつくりました。

「もともと自分自身が古民家育ち。実家に置いてあるノスタルジックな家具も似合うような現代の町家をつくりたかった」と話す今井さん。“和”のテイストも感じつつ、時を経ても心惹かれ続ける家をかたちにしました。町並みに敬意を払い、年月の経過を味方にする。そんな外観のあり方は、家づくりでも参考にできるかもしれません。

Photo/ 櫛ビキチエ  Text/ 小林拓水

Doliveが提案する「THE HOUSE GARAGE PROJECT」は今の時代に合ったガレージライフとは?を、模索しカタチにした家。
好きなことをなんでも表現できて、大切な仲間たちと思う存分くつろげる。

家まるごとガレージの新空間に「自分らしさ」を詰め込んで、家族との時間も、自分の時間も目一杯楽しめる「THE HOUSE GARAGE PROJECT」は、そんなライフスタイルをお届けします。

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