中田クルミ(俳優)
1991年生まれ、栃木県出身。日本大学藝術学部映画学科卒業を卒業。17歳でデビュー。ドラマ『ブラッシュアップライフ』、『雲霧仁左衛門』、『アンサンブル』、映画『夜明けのすべて』などに出演。このほかにもモデルやラジオMCなど多岐にわたって活動中。手芸やDIY好きとしても知られており、そのセンスや飾らない人柄で幅広い層に愛されている。
1991年生まれ、栃木県出身。日本大学藝術学部映画学科卒業を卒業。17歳でデビュー。ドラマ『ブラッシュアップライフ』、『雲霧仁左衛門』、『アンサンブル』、映画『夜明けのすべて』などに出演。このほかにもモデルやラジオMCなど多岐にわたって活動中。手芸やDIY好きとしても知られており、そのセンスや飾らない人柄で幅広い層に愛されている。
“HOUSE IS ENTERTAINMENT”をスローガンに、様々なアーティストと家具を作るプロジェクト『Who's Props』。家具一つで、家と空間はもっとよくなる。それを実現するインテリアを作りあげていくのが、このプロジェクトの目的だ。
DIY好きというのもあり、家の壁を塗り替えたり、キッチンタイルを貼ったりと、さまざまに家づくりをしてきた中田クルミさん。そのうちに「DIYだけではなく、インテリアも作ってみたい」という願望を持つようになったそう。ちょうどそのタイミングで、インターFMのLIFE LABEL &Dolive presentsのラジオ番組『What’s New FUN?』に出演したことをきっかけに、『Who’s Props』とのコラボレーションが実現。クルミさんにとって、初めての家具制作が始まった。
「以前はリビングにシルバーラックや棚を置いていたんですが、どこか雑多で、この空間にいてもあまりテンションが上がらなかったんですよね。昔から壁面収納に憧れもあったし、収納性もある本棚を置いて雰囲気を変えたいなと思って。ラジオに出演させていただいたときにそんなお話をしたら、このプロジェクトに声をかけていただいたんです」
さっそく、本棚の制作がスタート。リビングの印象を大きく左右するインテリアだからこそ、リファレンスを集めたり、素材を決める時間に期限を設けず、納得がいくまでじっくりと準備を進めた。
「とことんこだわって冒険したいし、制作いただく職人さんにも思いきり楽しんでもらいたかったので、納期は設けませんでした。時間にしばられると、どうしても自由な発想ができなくなると思ったんです。リファレンス集めからスタートして、形や素材を決め、制作に入るまで約3ヶ月かけました」
「まずはリファレンスを収集しながら自分好みの形を探り、造形からイメージを固めていったんです。北欧や韓国の本棚、ウォールシェルフを中心に見ながら、いいなと思ったポイントをチェックしていきました。『北欧らしいアール(曲線)がかったものなら圧迫感がなさそうだな』、『最近の韓国インテリアによく使われているラタン(籐)もかわいい』、とか。好きなテイストを集めていったら、さまざまな要素が折り混ざったデザインになりましたね」
タッグを組んだ職人に「思いきって、一緒に冒険しましょう」と伝えていたクルミさん。その言葉を受け、職人からもどんどんアイデアが出てきたという。
「お会いしたときに、こうした企画じゃない限りやらないだろうってことにトライしたいですよね!とお伝えして。打ち合わせを重ねるうちに、職人さんからもいろいろな案が出てきてわくわくしましたね。棚の位置や扉をすべて動かせるようにしたいです!といった無茶なお願いもして(笑)。構造上クリアしなければいけない部分も多々あるなか、職人さんの知恵によって、気分でアレンジできる自由自在な本棚ができあがりました」
「壁面収納のようにぴったりと壁にハマる造りにしたかったので、元から設置されているスイッチやインターホンをストレスなく使えるよう、本棚に開ける穴の位置や棚の高さも工夫してくださって。スイッチのサイズが合わなかったら大変!って言いながら、ここでじっくり採寸されていたのもいい思い出です」
「本棚を作るつもりが、収納スペースや愛犬・おはぎのハウスまで一体になった、世界に一つだけの棚ができちゃいました」と、クルミさんは笑う。デザインの大枠は色味のある背が付いた本棚を想定していたが、パソコン上でデザイン案を見るうちに、リビングの白壁を生かしたデザインに決定。
「デジタル上でイメージが具現化されていくのも新鮮でした。本棚のデザインを表示して、色味や棚の段数を変えながらいろんなパターンを検討して。初めはウッドやグリーンの背板を想定していたんですが、背景をホワイトにしてみたときに、これだ!と」
素材はサンプルを見ながらチョイスし、全体の木材はホワイトオークに決定。はめこまれたボックスは抹茶色のメラミン化粧板をボックス型に加工し、カゴメ編みにしたナチュラルカラーの天然ラタンを扉に採用した。
「ホワイトオーク、いい色ですよね!柔らかさがあって気に入っています。メラミン化粧板はホワイトオークでボックスを作るよりもリーズナブルかつ、耐久性もあると提案いただいて。サンプルをいくつか送っていただき、ラタンと合わせながら色を選びました。ラタンも数パターンのなかから、丈夫かつデザインも気に入ったカゴメ編みに。3つの素材とカラーを組み合わせたことで、雑多に見えていた小物たちにも気がしています」
「棚をすべて動かしたいというリクエストは、ボックスをはめこむというアイデアで実現してくださいました。扉も取り外し可能なので、気分や用途でデザインは自由自在。ラタンの扉にすることで、通気性がよくなるというメリットもあるんですよ」
「下段は収納スペース。もともと置いていた収納に入っていたサングラスや愛犬の洋服をそのまま入れられるよう、高さを調整していただきました。この本棚にすべて収まったので、部屋がスッキリ。引き出しや扉に取手がないほうが美しく見えるとのことで、プッシュオープン式になったんですが、なかなか使いやすいです。ちなみに扉の中の棚にも、ちょっとした職人技が。サイドのネジに棚板を乗せるだけでは負荷がかかったときにガタつくので、奥は板が差し込めるようになっています」
「こちらがおはぎのハウスです!どうですか?職人さんと話すなかで、もうちょっと遊んじゃいます?と提案いただいて。おはぎもすごく気に入っているんですよ。ハウス部分のアールは穴を開ける関係で、フローリングのように数枚の板で構成したそう。内側には、冬にホットカーペットを敷けるようコンセントも作っていただきました。ちなみにハウスの上は、配線やWi-Fiの収納スペース。熱がこもらないようラタンの扉を磁石でくっつけています」
家で過ごす時間が大好きというクルミさんは、本棚ができてからそのひとときがより心地いいものになったと話す。
「完成品を搬入したときは、大きいな〜!と思いましたが、壁にピタッとハマった瞬間に感動しましたね。部屋がスッキリしたのにくわえて、サイドをアールにしたことにより空間にゆとりが出て、隣のダイニングから移動するときもストレスがないんです。暮らしに馴染むってこういうことなんだと実感しています」
上段の見せる収納は、クルミさんらしさがぎゅっと詰まったスペースに。たくさん持っている小物を収めるにあたっては、リファレンス集めの際に見つけたオリンピア・ル・タンというデザイナーの棚が参考になったそう。
「インスタに小物がごちゃっと置いてある棚の写真を載せていたんですが、不思議と雑多に見えず、とてもかわいかったんですよ!私の家には、本よりもお土産でいただいた小物やソフビがたくさんあって(笑)。以前は家のいろんなところに置いていたんですが、オリンピアの棚をイメージしながらこの棚にスタイリングしたら、ごちゃごちゃしていた空間がいい感じにひとまとまりになって。小物たちを物理的にも視覚的にもまとめてくれる、優秀な本棚です」
自分を表現してくれて利便性もある、世界に一つの本棚。「本棚一つで、空間ってこんなにも変わるんですね」とクルミさんは続ける。
「壁の一面にこの本棚を置いてから、家づくり欲が刺激されて(笑)。イエローだった壁を白に塗り替えたり、テレビなどのインテリアも変えたんですよ。がらっと模様替えしたのは久しぶりだったので、家づくりの楽しみも改めて感じましたね。職人さんの知恵と技に助けられながら、自分の理想をひとつひとつ形にしていく作業は、まさに冒険のような時間でした」
Photo/Sana Kondo Text/Wako Kanashiro
家と暮らしをもっと楽しんで欲しいから「HOUSE IS ENTERTAINMENT」をスローガンに、様々なアーティストと特別な家具を作るプロジェクト『Who's Props』。家具を1つ置くだけで、家具を1つ変えるだけで空間が変わる。家に取り入れるインテリアの選び方1つで暮らしに彩りが加わることに気付けば、暮らしはもっと楽しくなる。