Dolive Doliveってなに?

DATE 2019.07.15

40㎡を広々リノベ。中野区の植物男子が楽しむ、都心のバルコニーライフ

今回ご紹介するのは東京都中野区に暮らすwebディレクター、Sさんのお住まいです。2017年に築浅・好立地の中古マンションを購入し、フルリノベーションに挑戦。40㎡という限られたスペースですが、広く開放的に見せる工夫を施し、快適な空間を実現しました。愛する植物との暮らしを楽しむべく、バルコニーも充実。好きなものを詰め込んだ、自由で気ままな “男子リノベ” 空間を覗いてみましょう。

Sさん

住宅会社でwebディレクターをつとめる、東京在住の29歳。植物好きはお祖母様譲りで、室内とベランダで数種類のグリーンを育てている。休日は植物の世話やDIYをしたり、アウトドア(キャンプ、カヌー、登山)に出かけたり、友人を招いて家飲みを開催。よほど忙しくなければ、毎日自炊をするという料理好きの一面もあり。

間仕切り壁を取り払い、オープンな空間へ。洗面所・トイレ・お風呂はコンパクトにまとめ、リビングスペースを広く確保している

住み替えを視野に入れた、20代の単身リノベ

引っ越しを検討した当初より、中古住宅+リノベーションの一択だったというSさん。住宅会社につとめているという仕事柄、リノベーションの楽しさや、マンションが将来の資産となることを知っていたからこそ、決断はスムーズだったそう。

「賃貸暮らしも身軽でいいなと思ったけど、都心で借りると1LDKでもすごく高い。それなら中古物件を買ってリノベーションした方が資産になるし、何より自分の好きなように手をかけられますしね」

重視したポイントは、立地の良さ。将来的に売却や賃貸に出すことを見据えて、家探しをしたといいます。

「仕事で遅くなった日など、新宿駅からタクシーで帰宅しても2,000円以内で帰れるエリアに絞って探していました。あとは駅近。好条件の住まいなら、今後ライフスタイルが変わっても、身動きが取りやすいかなと」

現在の住まいは、会社まで自転車で30分と通勤ラッシュ知らず。多くの路線に乗り換えられる大きな駅が近いため、どこに出掛けるにもアクセス抜群の好立地です。都心暮らしを楽しんでいるSさんにとって、ここは理想的な立地だったよう。

「比較的築浅の物件なので、共用部分が綺麗だったこともポイント。メインの開口は南向きで日当たりがよく、広々としたベランダにも惹かれました。ここで好きな植物を植えたり菜園にしたりしたら、楽しそうだなと思いました」

広く見える工夫を散りばめて。ワンルームのような伸びやかな空間へ

「40㎡という狭い空間なので、部屋を細かく分けると窮屈になってしまう気がして。既存の壁をなるべく取り払いゆったりと広がりを感じられる空間を目指しました」

室内窓とガラス扉で、リビングと寝室をゆるやかに区切ったのもその一環だそう。空間にメリハリを作りつつも、部屋の奥まで視線が通るため、明るく開放的なイメージになりました。

バルコニーを活かして、平面的な広さを強調したのも工夫のひとつ。ウッドデッキを設置し、リビングの床と高さを極力合わせることで、室内と室外が続いているような “伸びやかさ” が生まれています。

一方で広さを確保するために、折り合いをつけた場所もあります。例えば、キッチン。

カウンターは手づくり。モルタル風にペイントした天板がお気に入り

友人との家飲みや平日夜のリラックスタイムのために、好きなお酒やお茶を常備

エントランスの色合いにもマッチした、優しいグリーンのインテリアが映える

「友人と家飲みをするのが好きなので、会話に参加しながら料理ができるアイランド型が良かったんですけど……。空間を効率よく使える壁付けを採用しました。その代わりカウンターを設置することに。ここで作業する人もいればお酒を飲む人もいて。理想の “作る” と “食べる” が近いキッチンが手に入ったので、結果オーライです(笑)」

DIYしたら、家がより愛おしくなった

玄関の内戸。写真右側に見えるガラスブロックは、採光のため自分で積み上げた(!)という

大がかりな作業はプロにお任せする一方で、壁の板張りや棚やカウンター、キッチンや洗面所のタイル貼り、ウッドデッキ設置などの内装は、可能な限り自身で仕上げたのだそう。

バルコニーに広がるウッドデッキはSさんお手製。デッキチェアにもたれ、抜けのいい景色を楽しむ

リビングの壁の一部をセルフで板張り。凸凹部分はご愛嬌、と笑う

悪戦苦闘した場所を聞くと「キッチンのタイル貼りですね」と即答。照明の差込口やコンセント穴に合わせて、タイルをカットするのが鬼のような難易度だったのだそう。さらにウッドデッキも渾身の作品。ホームセンターで木材を購入し、寸法を測っては切断、測っては切断……を2日間繰り返し、完成させたと言います。

「最初は予算の削減が目的だったんですけど、自分で手を加えることで、より一層住まいに愛着が湧きました。朝、歯を磨きながら『ここのタイル、ちょっと凸凹してるな〜』とクスッとしたり。はみ出したペンキや工事中についた傷ですら、愛おしいというか(笑)。全部、人に仕上げてもらった家では、味わえない感覚ですよね」

洗面所のタイル貼りは、会社の仲間のアドバイスを受けながらDIY。棚と鏡もセルフで設置したのだそう

内装だけでなく、家具もDIY。テレビ台は、来客にもよく褒められるとか

 

 

つくり上げるまでには苦労もあったようですが、本気で関わったからこそ「自分らしさ」を存分に感じられる、世界にひとつだけの場所ができ上がりました。

植物の成長を身近に感じることの喜び

開放的で明るいリビングには、たくさんの植物が季節の日差しの中で美しい眺めをつくっています。窓からは気持ちの良い風が吹き抜けて、どこか屋外のような雰囲気です。

「自然が身近な環境で育ったからか、植物が大好きで。グリーンはあって当たり前なものというか、その営みを身近に感じられることが心地いいんですよね。休日の晴れた日は、ウッドデッキに移して日向ぼっこさせるのですが、光と風がより通る場所に動かしてあげると、生き生きとしてくるんですよ」

植物と一緒に、本人も日向ぼっこするのがお決まりの過ごし方。デッキチェアに座ってコーヒーを飲んだり、読書をしたり。ここに座って眺める景色は、季節や時間によって違う魅力に溢れているのだそう。

「平日の夜は、ウイスキー片手にまったりします。新宿が近いので、ビル群の夜景も綺麗なんですよ。あえて優雅に過ごすことで、はりつめた気持ちがゆるんでいく気が。大事なリフレッシュの時間ですね」

料理も植物の世話も、この家だとすべてが楽しい

「もっと植物を迎えて、バルコニーを庭みたいにモリモリさせたいんですよ。シンボルツリーをどうしようとか、次はどんな野菜を植えようとか、そんなことを日々考えています」

この家に住むようになって、植物愛がさらに高まっているというSさん。心の変化はそれだけでなく、“きちんとした生活” を心がけるようになったと言います。

「キッチンスペースを充実させたので、料理の頻度は格段に上がりましたね。以前はコンビニやお惣菜に頼ることも多かったけど、今はほぼ毎日作っています。光が通るから朝日を感じて自然と早く目覚められるし、植物の水やりやお世話も前より楽しい。これからも、日常と丁寧に向き合っていけたらと思います」

理想の空間で過ごしていると、心にもゆとりが生まれ、そこに見合う生活を送りたいと願うのかも。好きなものに囲まれてくつろぐSさんの姿を見て、住まいが “丁寧な暮らし” を後押ししてくれているように感じました。