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集合住宅をフルリノベーション。Webショップ acutti 圷みほさんの、古いものと「今」が調和する暮らし ‒ 後編 ‒

DATE 2020.05.08 ようこそ私の家へ
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リノベーションによる家づくりに好みの要素を存分に取り入れながら、暮らし心地には妥協なしの圷さんのお宅で目を惹く古家具やかごのインテリア。上手に取り入れるコツや、そのインスピレーションの源について、そして未来の「理想の暮らし」についても伺いました。
圷みほさん

2015年より「毎日の暮らしを少し楽しくする'衣・食・住'」をコンセプトとしたWebショップ「acutti」を主宰。インテリアや暮らしのアイテム選びなどがInstagramで人気を博し、さまざまなメディアで活躍。2017年にフルリノベーションした家をテーマにした書籍『かごと木箱と古道具と。日々をいろどる"もの"選び(ワニブックス刊)』を2020年1月に出版。
acutti, Instagram

かごと古道具でつくる、「見せる収納」のまとめかた

圷さんのお宅で印象的なのが、棚や家具などに背の高い家具がないこと。これは空間に圧迫感を出さないように、敢えて背の低い棚などでまとめているのだそうです。

「縦に積み上げられる食器棚を横に並べて使っています。入れるものもお気に入りの食器 だし、キッチン回りのアイテムはどれも大好きで、隠すなんてもったいない。だから敢えて隠さないようにしています」

もう一つ、お出かけをした際に「何はなくとも買ってしまう」というかごを、こちらも見せる収納として活用しているのにも惹かれます。

「かごはデザインもいいけれど、機能性も抜群なんです。ものがポイポイ入れやすく、フタや持ち手の付いたものを選んで買っています。

かごの選びかたは、私は目の細かいものを選ぶことが多いですね。感覚的なものですが、目が細かいと日本ぽく、目の幅が広いと北欧風になる気がします。形や色は主張しすぎていると合わせるのが難しいので、シンプルなものを。旅先では道の駅、蚤の市、色々なところで常にチェックしていますね。

不思議と、『こういうものが欲しい』と用途を絞って探すとなかなか見つからなくて、お店に行ってばったり『あれに使おう!』と思いつくことが多いんです。だからお家でかごを使う役割の入れ替えも頻繁にしています。とにかく出会いが楽しいのが、かごですね」

作家もの×メーカーもので
キッチンまわりに個性を

圷さんが「一番好きなスペース」というキッチンは、さり気なく<IKEA>や<無印良品>のアイテムが使われていて、クリーンな雰囲気と手しごとの温かみが同居した穏やかな雰囲気。

「古道具が中心の家なので、プチプラのものがないと思われがちですが、全然そんなことはないんです!
特にメーカーさんのものと作家さんのものを合わせようと思ってしていた訳ではなく、元々持っていたアイテムがそれぞれ、自然と合わさっていった...という感じでしょうか。メーカーさんのものを買う時は、主張しすぎていないものを買うと合わせやすいかなと思います。メーカー品でいうと、<KINTO>や<工房アイザワ>も大好きです」

「プラスチックや派手な色使いは、統一感が出なくなってしまうし苦手で...」と圷さん。娘さんのおままごとセットも木やかごで、落ち着いた雰囲気にまとめています。

良いものを吟味しながら、少しずつ増やしていく

現在 acutti でお取引のある作家さんは、陶器市に毎年行ってやり取りして仲良くなった作家さんばかりだとか。

「普段使いする“スタメン”の器は、キッチンすぐ横の棚に置いて動線を便利にしています。土っぽさを感じるものが最近の好みで、益子や笠間の作家さんの物が多いかな。ここにあるのは中村恵子さんのご飯茶碗や今井律湖さんさんのピッチャーです。ぽってりとした土の感じと、洗練されたかたちが大好きです」

「カーテンレールや高い所にはドライフラワーを置いています。
それぞれ、結婚記念日や娘の誕生日などの記念にもらったり買った花をドライにして、そのまま飾っています。ドライなら⻑く楽しめるし、目にするとうれしい記憶も一緒に蘇ってくるような気分になれます」

「今後は、グリーンを増やしたいと思っています。近所の友達が植木屋さんで、家の中にも外にも緑がいっぱいで。ちょっといいなと憧れますね。わが家だったら、華やかすぎず家になじむグリーンを比率を考えて取り入れたいです」

その時、その時の「楽しい!」や
「好き!」の気持ちを大切に

「リノベーションをして、衣食住がより楽しくなりました。お買い物もおうちごはんも楽しいし、元々はお出かけ好きでしたが、家での時間が多くなったんです」と圷さん。

ですが、彼女の家づくりはこれで終わりではないようです。娘さんが成⻑した時は、ダイニングキッチンの白い布を貼った壁面のエリアにロフトを作りたいと考えているそう。

「もちろん、娘の意思を聞きながらですが、もっとおもしろい家にしたいなと思っていま す。それに、ここに⻑く住むつもりも実はあまりないんです。ライフステージが変わった時の次のステップはその時々で考えようかと思っていて、もしかしたらこのままかもしれないし、住む場所が変わってもいいと思っています。大好きな益子に住めたらいいなあとか、やりたいことは一杯ありますね」

大好きなものでいっぱいの今の住まいで思い入れたっぷりに暮らしながらも『理想は、自分や家族の成長で柔軟に変わっていくものなんだ』ということを前向きに捉える圷さん。彼女のお話の端々から感じるポジティブさは、どこまでも穏やかに流れ続けながら移り変わる“日々”を大切にしていることの証なのかもしれません。

photograph/原田 教正 text/立石 郁