garage代表 二村 昌彦さん
1973年生まれ。大学卒業後はホームセンターで働き、その後修行のためオランダへ渡航。2007年に愛知県豊橋市に植物とインテリア雑貨のお店garageをオープンする。現在は、豊橋本店、名古屋、横浜、立川に4店舗構える他、クラフト教室、ガーデン事業、ウェディング装飾など、植物を軸にしたビジネスを多岐にわたり展開している。
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1973年生まれ。大学卒業後はホームセンターで働き、その後修行のためオランダへ渡航。2007年に愛知県豊橋市に植物とインテリア雑貨のお店garageをオープンする。現在は、豊橋本店、名古屋、横浜、立川に4店舗構える他、クラフト教室、ガーデン事業、ウェディング装飾など、植物を軸にしたビジネスを多岐にわたり展開している。
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2007年に、愛知県豊橋市内に植物とインテリア雑貨のお店garageをオープンさせた二村さん。学生時代からの趣味が高じて、今現在の仕事に繋がっているのだという。
「最初から、お店を出すなら植物とインテリアを置きたいと思っていました。学生時代には雑貨屋めぐりをしていて、その頃から自分の部屋にはこだわりがあって。既にインテリアにあう観葉植物を置いたりなんかもしていました。今は男性でのインテリア好きは珍しくなくなりましたが、当時はちょっと変わってるって言われてましたね(笑)」
garage本店は、白を基調とした“home”と、インダストリアルな雰囲気の“yard”の2つの建物から成る。他にあまり例のない造りが、来る人の好奇心を刺激して購買意欲をくすぐる。
「homeは光がたくさん入るお店なので植物を入れて、yardはかっこいい感じのふたつのタイプのお店になっています」
相反する2テイストの空間から構成された、合計400坪もの広大なスペースは、オープンの際にその前に建っていた工場をリノベーションしたことに端を発するという。
「今homeになっている建物(右)をリノベーションしてお店に変えて、yardの建物(左)は仮店舗に使って最後は壊して駐車場にしようと思っていたんです。
けど、元が結構古い工場だったので、いろいろ時間がかかってしまって。仮店舗も1年半経つと意外といい感じになり、お客様からも『もったいない!』みたいな話が出て。それが、最初のスタートでしたね」
お店に並ぶインテリアや雑貨は、二村さんご自身がセレクトして買い付けている。
「基本、植物と相性がいいものを置くのがコンセプト。オープンから5、6年のタイミングで、徐々に植物が好きでお店に集まる人はどういうものを好むのかを考えるようになりました。
自分たちが本当に欲しいものをセレクトしていこうってなってからはインテリアの幅が広がりましたね。実は、僕の自宅にあるもののほとんどが、お店で販売しているものなんですよ」
商品の仕入れは、仕事の一環でありつつも、二村さんにとってはたまらなく楽しい時間。買い付けをしながら、ご自身で購入した気持ちになることもしばしばだという。二村さんの商品セレクトは、ブランドの知名度や流行に左右されることは一切ない。
ショップは二村さんをはじめ、スタッフ全員の強い植物愛が伝わってくる。
「自分たちは、お店で扱う植物のことをこの子って呼んでるんですよね。売れた時には、お嫁に行ってよかったねっていう会話をすることもあります」
その想いの根底には、植物と共存するということにおいての、二村さんの理念が流れている。
「植物と暮らすこと=“Living with plants”っていうサブテーマが、僕の中でずっとあるんです。ただ単に観葉植物を買ってきて、それを部屋に置くだけなのは初心者なんです。最初は、空間がなんか変わるっていうところからみんな始まるんですけど」
二村さんが本当に伝えたいのは、その先にある暮らしかた。実際に、ご自宅も植物で溢れているそう。
ご自宅はgarage本店から車を走らせること10分とのことで、緑あふれる公園に隣接する見晴らしの良い斜面上に建つお宅に伺った。
「植物って、お水をあげていたら新芽が出てきて、良さをなんとなく知ってもらえると思うんです。そこから、例えば庭に目を向けてみて、じゃあここに木でも植えてみようかなってなる。そうするとその木が成長して、枝を切ってみよう、切った枝も可愛いから新しい花瓶にいけてみよう、とか。
枝が水を吸わなくなってドライになれば、ドライフラワーやリースを作ってみたり。植物を中心に、段々生活が変わるんですよね。雑草むしりや消毒みたいに手間がかかることもあるんですけど、それが楽しいっていうこともあると思うんですよね」
それは、昔の人たちが当たり前にやってきた生活。けれど、忙しい現代を生きる私たちは、そういった本質を忘れ、そこにグリーンがあるということを空間演出やインテリア先行で考えてしまいがちだ。
「植物は生きているものなので、実際には心地いいだけで終わらなくて、その先があるんです。これからは、その部分が価値となっていくと思います。働き方が変わって家で過ごす時間が増えて、おうちでのルーティーンが変わる。植物と共存することで、もっとおうち時間の価値を高めていこうとか、そういう部分が変わっていくはず」
photography/原田数正 text/白﨑寛子