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その名も“インターバルハウス”。建築家 古谷俊一さんのグリーンと共存する温かい家 −後編−

DATE 2020.04.13 ようこそ私の家へ
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建築家・造園家の古谷俊一さん自身も建設設計を手がけるプロジェクト「大森ロッヂ」内の一角に、インターバルハウスと言う名の自宅を建設。空間の構成や外部との〝間〟を楽しむ家であるインターバルハウスで、愛するご家族とともにしあわせな時間を紡いでいる。今回は、実際の生活環境やプライベートでの過ごし方を覗きつつ、建築のプロの目線から〝住まい〟について思うことなどを伺う。
 

前編はこちらから

古谷俊一さん

建築家・造園家。植物を主軸にした住宅や商業施設の建築設計、ランドスケープデザインを行う。昨年末にはベツダイDoliveとコラボした新商品「AM6 HOUSE」を発表し、現代の住まいに新しい息吹をもたらす。著書に「みどりの建築術 古谷デザイン建築設計事務所作品集」(エイ出版)。
古谷デザイン建築設計事務所

土と緑にこころ癒されて次の日の活力に

設計の際に意識にした寺社や、2階の室内照明で表現した行灯など、どこか〝古〟を感じる伝統的要素が随所に散りばめたインターバルハウス。その発想の原点は?

「もともとの生活環境があると思うんですよね。小さい頃は千葉の船橋市に住んでました。掘ると貝が出てくるような埋立地なので、歴史とか寺社とか地縁とかそういうことがない。そうすると、そこがもうおもしろくないわけですよ。20歳の時に谷中に引っ越して、それをきっかけに植物にはまっていったっていうわけです」

学生時代に暮らした谷中のレトロな下町風情が、古谷さんの〝好き〟の核をつくり、そのまま現在の仕事に活かされているのだと語る。

「僕、あんまり趣味がないんですよ。仕事と生活がリンクしすぎてるので。知らないうちにも発想をめぐらせてなにかアイデアを生み出そうとしてしまうというか。でもアウトプットばっかりしてると枯渇するんですよね。インプットできるのは、旅行かなぁ。あと、日頃から土をいじるようにはしてるかな。家のまわりに植木をね、植えたりとか。毎日変化があるからそれを見たりとか。あとは自分でフルーツとか育てて、どこまでおいしくできるかの実験をしてる(笑)」

「朝日も夕陽も感じられてすごく気持ちがいいですね」

以前住んでいたという賃貸のヴィンテージマンションは、建物の構造上あまり日当たりが良くなく、大切に育ててきた植物が枯れてしまうことも。インターバルハウスに引っ越しをして来てからは、季節を問わず燦々と降り注ぐ太陽の光に幸せを感じるのだそう。

「この家では、常に陽の光を感じられるんですよね。朝日から夕陽まで。日当たりがいいのはすごくいいですね。植物との共存的にも。ちょっと弱った子もすぐ復活しますしね」

家族の顔が見えるリビングが自宅での定位置

平日だと平均して3〜4時間、自宅にいる時はほとんどの時間を3階のリビングで過ごす。

1階で仕事するより3階でやっちゃってる。家族には『もっと1階を活用して』って言われてるんですが(笑)引っ越し前は、狭いとこで木工作業したり趣味の油絵を描いたりして不便に思っていたのに、いざ1階のような場所ができたらあまりやらないですね。3階は気持ちいいもんね。温かいし、家族の顔が見えるからリラックスできますね」

実は、このインターバルハウスを建てる際に、ご家族からいくつかの要望があったのだそう。

「リクエストのひとつに、ソファに座った状態で空を見たいっていうのがあって。だから、我が家にとって、リビングは特別な場所なんです。くつろいでる時間は、ソファに座って本読んでるか、テレビ見てるか、だらっとしてるか、なんならみんなで寝てるか(笑)」

モノとモノ、時間と時間の合間が活きる住まい

「インターバルハウスを簡単に言うなら、〝間〟ですね。空間の構成によって、植物とかテラスとかを設けて外部との合間をとっていったりとか。そうした合間を楽しむ家です」

その言葉の通り、古谷家は開放感に満ち溢れていて、足を踏み入れるとすぐに心の緊張がゆるゆると緩む。そして、このように〝間〟を大切にした空間は、Doliveとコラボレートした「AM6 HOUSE」の設計にも生かされていると言う。「AM6 HOUSE」では、縁側のような空間を設けて、外でもなく中でもない中間領域を作ることで、まるでインナーテラスのような居心地の良いリビングに仕上がっている。

さらに、インターバルハウスには、モノとモノの合間という意味合いの他に、公にはしていない別のテーマが隠されているのだそう。

「インターバルっていう言葉は、ラウンドとラウンドの間......筋トレでいうとセット間の休憩時間っていうのが馴染みがあると思うんですけど。実は、そういった精神的な休息の場所という意味合いも含んでいるんです」

大切なのは、家族が快適に暮らせる家作り

物理的なだけでなく、休息の時間としての〝間〟。その発想の根本には、定住志向が薄れているというご自身の主観的考え以外に、日本全体の住宅に関する意識の推移もあるという。

「同じところにずっと住んでいるのが嫌なんです。......っていう気運が、社会全体的にもあるんじゃないかなって勝手に思っていて。日本人の持ち家思考みたいなのが薄れてきてるんじゃないかと。ライフスタイルの多様化が進むにつれて、一度家建てたらずっともう一生この家に住むんだっていう時代ではなくなってきてるから、そのような意味もこめたかった」

不動産を財産としてだけ捉えるのではなく、生活や環境にあわせて住まいを変えること。住むことの原点ともいえることこそが、古谷さんが考えるこれからの暮らし方。それは、すごくあたりまえのように思えるけれど、残念ながら今の日本の不動産流通の仕組みとはリンクしていないのが実情だ。

「もちろん、制度も整っていかないといけないですけどね、不動産の価値もこれからどんどん下がってきて空き家もいっぱい増えるだろうから。家にしがみついてっていうんじゃなく、大切なのはそれぞれが等身大で考えて、自分たちのライフスタイルにあった暮らしのためにどう工夫するかということ。快適に生活するための家をどう整えていくかのほうが、これからの時代は重要だと思いますね」

「志向がコロコロ変わってしまうので、10年後にどう変わっているかわからないけれど」と笑いつつも、間違いなくここインターバルハウスは、今の古谷家にとっての理想の住まい。毎日を快適に、気持ちよく。古谷さんは、今日も大森ロッヂの路地の片隅で大切な植物の手入れをしながら、新しい建築のためのアイデアを練っている。
 

Photographs/原田数正 Text/白﨑寛子