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オーシャンサイドガーデン,井坂迪詠 DATE 2019.11.18

アメリカンファーマースタイルで庭いじりを楽しむ。
オーシャンサイドガーデン・井坂迪詠さんの「枠に収まらない自由な暮らし」

白い砂利が敷かれた庭に、一見無造作に植えられているサボテンや椰子の木。その奥に見えるのは、白い板壁が印象的な平屋の家。ガーデンデザインを手がける「オーシャンサイドガーデン」の井坂迪詠さんのご自宅兼オフィスを訪ねてみると、そこはさながらカリフォルニア! 子どもの頃から大好きだったというアメリカンカルチャーを詰め込んだご自宅で、自由に、おおらかに暮らす井坂さんの暮らしを覗いてみました。

井坂迪詠さん

カリフォルニアスタイルのガーデンデザイン、エクステリアの施工、多肉植物やサボテンなどの販売を手がける「オーシャンサイドガーデン」の代表を務める。以前は都内で会社員をしていたが、8年前に現在の自宅を建て、その後脱サラして造園事業をスタート。一緒に事業を行う奥様と中高生になった3人のお子さん、3匹の犬と暮らしている。
オーシャンサイドガーデン

好きなことを存分にできる家”を求めて木更津へ

以前は横浜市のマンションに住み、都内に通勤していたという井坂さん。千葉県の木更津市に今のご自宅を建てたのは、今から8年ほど前だそう。

「家を建てるなら、横浜・根岸にある米軍居住区にあるような平屋の家にしたいってずっと思っていたんです。公園で子どもたちを遊ばせているときに、丘の上にかっこいい平屋の家が見えて、ああいう家に住みたいなと。でも、横浜ではなかなかそれを実現できる土地がなかったんです。どうしても、2階建てにせざるを得ない。どっかにいい場所はないかなと探していたときに、ゴルフでちょこちょこ来ていた木更津が候補に浮かんだんです。しかも、アクアラインを使えば都内の職場にも通いやすい。あれ、もしかしたら横浜より近いかも?と。よし、じゃあ、自分が好きなことを存分にできる木更津で暮らそうと決めました」

当然、家族は大反対。「みんなから『バカじゃないの』って言われました(笑)」と井坂さん。子どもたちにとっては2階建ての家でも何の問題もないけれど、井坂さんにとっては平屋以外は絶対にあり得なかったのだとか。

土地を購入したときには、すでに建物のイメージが井坂さんの頭の中にはっきりと出来上がっていたそう。
「10代の頃からアメリカンカルチャーが大好きで、米軍ハウスのような家にしたいとずっと思っていましたから。建築系の学校出身だったこともあって、自分で建物のデザインを設計しました。素材の選定や屋根の角度なんかも、全部自分で。参考にしたのは、昔何かの写真集で見たアメリカの小学校の写真です。それをぎゅっと小さくしたような感じにしたいなと。ほら、玄関前のポーチとか、なんとなく学校っぽい感じするでしょ?」

庭造りまでが家造り。外構も含めて家と考える

もともと植物を育てるのが好きで、以前の自宅もジャングルのように室内にグリーンがあふれていたという井坂さん。当然、庭のデザインもすべて自分で考えたそう。

「横浜のときの植物をこっちの家に連れてきたら、すぐに枯れちゃったんですよ。木更津は横浜より2度くらい気温が低いので、亜熱帯の植物がダメみたいで。それで、ここら辺の気候に合った地中海性のテイストにしようと決めました」

 

 

大好きなカリフォルニア州のパームスプリングス地方をイメージして、サボテンや椰子の木を植え、砂利を敷いて。出来上がった自慢の庭は、この場所にずっと前からサボテンが自生していたかのよう。白い板壁の平屋の家と庭の一体感があり、ここが日本であることを忘れてしまいそうな雰囲気です。
「家の外観と庭には自分のこだわりを全部詰め込みました。ほら、よく言うじゃないですか。庭を見れば亭主がわかるって。まさにその通りだなと。その代わり、家の中のことは全部妻に任せて僕は口出ししていません(笑)」

理想の庭を完成させた井坂さん。週末に趣味として庭いじりを楽しんでいたそうですが、実はこれがきっかけで会社員を辞めることに。

「木更津に引っ越してきてから、妻が自宅で多肉植物を扱う専門店を始めたんですが、そのお客さんがうちの庭を見て、『こういう庭を造ってほしい』と言ってくれたんです。それをきっかけに、脱サラして夫婦で造園業を始めました。 日本の家造りって外構を忘れがちなんですよね。家のデザインはかっこいいのに、植物が全然あっていないケースが多い。でも本当は、庭造りまで含めて家造りだと思うんです。だから、うちみたいな庭の需要があるなら事業として成功するかなと思いました。それに、好きなことを仕事にできるって、最高に楽しい人生じゃないですか(笑)」

1930年代のアメリカンファーマーの作業場を再現

サボテンや椰子の販売、ガーデンデザインを手がける「オーシャンサイドガーデン」をスタートするにあたって、自宅のガレージを打ち合わせスペース兼作業場に改造した井坂さん。

 

 

「ガレージのテーマは、アメリカンオールドファーマーです。ハリウッド映画に出てくるような作られたアメリカの雰囲気じゃなくて、リアルで、ごく普通の、昔ながらのアメリカの雰囲気が好きなんです。ま、でも、テイストを目指してこうなったというよりは、好きなものを置いただけというのと、造園業なのでこのスタイルが一番しっくりくるだけなんですけど(笑)」

中央にある作業台は、なんと1930年代のアメリカンファーマーが使っていたもの。その他にも同じ年代のレジや棚、道具などのヴィンテージアイテムが。聞けば、高校生の頃からアメリカのヴィンテージアイテムを少しずつ集めてきたそうです。

「ここは作業場なので、あんまり片付いてないんですよね(笑)」と言いつつ、当時のアメリカの空気感がラフに溶け込んでいるガレージ内は、とにかくカッコいいのひと言。 さらに、天井からぶら下げられたドライフラワーや、ヴィンテージのブリキ缶にレイアウトされたサボテンや多肉植物などが、絶妙なバランス感でディスプレイされています。

休日は友人を招いてウッドデッキでBBQ

室内に入るとリビングの一角には、井坂さんご夫婦が事務作業を行うスペースがあります。そこには、なんと天井まで届きそうな、高さ4mほどのゴムの木が!

「お客さんの庭を施工したときに譲り受けたものなんですが、室内に大きな木があると面白いかなと思って(笑)」

なんとも特徴的な井坂邸ですが、ダイニングから続く広々としたウッドテラスもまた見もの。
もともとあったデッキに屋根をDIYで取り付けたそうで、 「よくここでBBQをするんです。年に30〜40回くらいかな。うちはお客さんが来たら必ずBBQです(笑)。秋も冬もするので『ちょっと寒いな』となって屋根と壁をあとから付け足しました。ソファを置いて、滑車をリメイクした照明を付けて。ここでよく、家族でくつろいでいます。この場所が家の中で一番好きですね」

カリフォルニア移住計画が進行中!?

「子どもたちが独立したらカリフォルニアに夫婦で住みたいって思っているんです。5年後くらいかな。現地で家を借りて、『オーシャンサイドガーデン』のカリフォルニア支店としてビジネスを展開していきたいと考えています。今は、それに向けて少しずつ準備をしているところです」

そう言って、ニカッと笑う井坂さん。これに対して奥様は、「旅行で行くのと住むのとは違うし、ちょっと不安はありますけどね。でも、彼は結婚する前からずっと『いつかアメリカに住む』と言っていたので、行くことになりそう…(笑)」との反応。

好きなものを追いかけ、自分が一番面白いと思う道を選び続けている井坂さんにとって、家造りも1つの遊びなのかもしれません。

枠に収まりきらず、自由すぎる井坂さんの暮らしには、人生を楽しみ尽くす秘訣があふれていました。