松㟢 翔平さん
1993年生まれ、埼玉県出身。2018年7月から2019年5月まで台北で活動し、帰国後は「テラスハウス TOKYO 2019-2020」に出演。現在は東京と台北を行き来しながら、俳優やモデル、コラムニストなど多岐にわたり活動している。来秋公開の映画「激怒」(高橋ヨシキ監督)に出演。
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松㟢さんがこちらのシェアハウスに入居したのは、まだ世間が落ち着いていた今年1月のこと。友人に紹介をうけ、前に住んでいたシェアハウスから越してきた。
「実はここに住む前からもたまに遊びに来たりしていたんですよ。その頃から、広いバルコニーがあるのがいいなと思っていて。最上階の特権ですよね」
「雨が降らなければ友人を招いてバルコニーでお酒を飲んだり、日光浴をしたりしています。自粛期間は外出できなかったので、バルコニーにスピーカーを並べて横になって。目を瞑ってライブ音源を楽しむ『擬似フェス』なんかをしてました。
基本的には自分の部屋で過ごすよりも、バルコニーに出たり、キッチンのスペースで過ごすことが多いですね。根詰めて作業に取り組む時なんかは部屋にこもったりもしますが...あとは映画を見たりするときなんかも」
松㟢さんの部屋は、六畳ほどのスペース。好きなもの、仕事で使うもの、服や映画、本などが無造作に敷き詰められていた。均一のされていないその空間は、なんだか妙に居心地がいい。
「色々なものが綯い交ぜになった空間が好きなんです。趣味や仕事のものがごちゃっとしていて、人によっては嫌がりそうですが、僕にとってはそれが落ち着くんですよね」
前編でも述べたように、松㟢さんは元々は映画監督志望。無類の映画好きであることは、部屋を見ても明らかだ。
「両親が映画好きだったこともあり、実家にはLD(レーザーディスク)やVHSがたくさんあったので、昔から映画に触れて育ちました。幼いころから映画が横にある日常が当たり前だったので、自分でも集めたりしていますね。最近はここに座ってスマホでNetflixを観ることも多いかな」
映画に限らず、同じ棚には小説や雑誌、写真集からLP(レコードのこと)までが積み重なっている。収納をする上でのこだわりを聞くと、なんとも松㟢さんらしい答えが返って来た。
「片付けが苦手なんですよ。どこに何を仕舞ったかすぐに分からなくなるので、よく使うものは目に届く位置に置くようにしています。なのでごちゃごちゃなんですよね。すみません」
部屋を見渡すとまず目に入ってくるのが、その服の山。仕事でモデルを務めたブランドや、先輩に服をもらうこともあるそうだが、もともと古着好きな松㟢さんは、今でもフリーマーケットやイベントに赴いては、直感でピンときたものを購入しているという。
「気になったものをノリで買うので、家に帰ってから『あ、これミスったな』ってなることも。でもそういった服を、自分なりにどう組むかを考えるのも楽しいですよね」
服好きな松㟢さんは雑誌やWEBでそのスタイリングについて特集されることも。折角なので最近のコーディネートを見せてくれないかとお願いすると、快く承諾してくれた。
「イタリアのブランド『ピエール・ルイ・マシア』のカーディガンに、先輩にもらった『L.L.Bean』の太畝のコーデュロイパンツを合わせています。『ピエール・ルイ・マシア』は以前WEBでインタビューを受けた際にもらったもの。あったかいのでよく着ています」
「インナーに着ているのは友人が開催したフリマで買ったものです。これこそ、買ってから『どうやって着よう』と悩んだアイテムですね」
「これもカーディガン。先輩にもらったお古です。カーディガンってなんか気が抜けてて好きなんですよ。インナーに着ているTシャツは同じシェアのグラフィックアーティストがデザインしたもの。キャップは台湾時代の同居人が立ち上げたレコード会社『Chiching Records(チチンレコード)』のものです」
「ズボンはヴィンテージの革パンなんですが、これは先輩に貰いました。『男なら一度は革を通っておけ』と言って渡されたんです。こうやってみると、ほとんどもらってばっかりですね」
松㟢さんといえば『テラスハウス』で料理を振る舞う姿も印象に残っている。聞くところによると、今ではたまにカフェやバーを使って、代名詞とも言える「魯肉飯(ルーローハン)」のポップアップを行うほどだ。
そんな人が一緒に住んでいたら、つい甘えたくなってしまうものだが、現在のシェアハウスでも料理をよくするのだろうか。
「他のシェアメイトに料理を振る舞うこともあるし、その逆もあります。3人それぞれ得意な料理が違うので、その時の気分によって『今日はこれを食べよう!』と決めたりすることもありますよ。ただ、家だと魯肉飯はほとんど作らないです。家中が魯肉飯の匂いになってしまいますからね。たまに友達が遊びに来たりして、リクエストがあれば作るくらいです。まあでも、基本的には自炊をするようにしています。一人だとサラダばっかり食べてますね」
遊びに来た先輩や友人はみんな「また来たい」と口を揃える、松㟢さんのシェアハウス。居心地がよいあまりに、某雑誌ではこの場所を使用して撮影を行ったそう。
「風通しがよくて気持ちいいんですよね。築年数も結構経っていると思うし、冬は寒かったりもしますが、不思議な魅力があります。場所が変わろうと、今後も誰かと住みたい気持ちは変わらないと思います」
Photograph/原田教正 Text/浅倉潤一