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築50年の一軒家をリノベーション。
ファッションディレクター大坪洋介さんが暮らす、温故創新な住まいの形 -前編-

DATE 2020.07.06 ようこそ私の家へ
1970年代より単身LAに移住し、世界各地でファッションやライフスタイルの仕事に携わり一時代を築いてきた大坪洋介さん。「運命に引き寄せられるように出会った」という一軒家をリノベーションしたご自宅には、気持ちのいい空間が広がっていました。
大坪洋介 さん

20代前半のころから30年近くLAで暮らし、後にファションビジネスを展開。ファションやライフスタイルのアドバイザーとして多岐にわたり活躍している。

LA在住をはじめ数々の国や街を訪れた先に、たどり着いた理想の家

築50年の一軒家をリノベーションするという道を選んだ大坪さん。

「LAに住んでいた頃は1930年代のとても古い家に住んでいたんですが、思った以上に快適だったんです。リビングルームには暖炉、天井はアールがあって、素性の良い木の枠組みの窓があったので、大事に残してリノベーションをしていました。

その経験もあり、日本に帰国後、散歩をしている時にたまたま見つけたこの物件を購入して、リノベーションすることを決めました。すごくワクワクする家になる気がしたんです」

残す部分と新しくする部分を見極める

リノベーションにおいては“作りすぎない”ということを意識したという大坪さん。より明るく、清潔感のある住まいを目指し、改修時は毎週末に現場に足を運んで作業に取り組んだそう。

「以前ここに住んでいたオーナーさんは北欧に長く住まれていた方だそうで、木をふんだんに使っていてどこもよくできていました。なので、どの部分を残そうか、どこを新しくしようかと見極めて、居心地のいい場所にすることを目指しました」

ここは“図書室”と呼んでいる部屋。実は、入って突き当たりの壁には窓があったんですが、耐震補強のためにつぶす判断をしました。おかげで趣味のアドバタイジングアート類を飾ることができたので、お気に入りの空間ですね」

今でこそリビングとダイニングがつながった形に見えていますが、以前はそうではありませんでした。

この部屋には壁が3つあり、どうしても圧迫感が拭えなかったんです。まずはそれらを取っ払ってひとつのつながりの空間に変えました。リビングとダイニングをつなげて対面式のキッチンにするのは妻の念願でもありましたね」

「リビングだけではないですが、耐震改修のために必要なところは全て筋交いを入れてもらいました」

「ドア上のガラス、実は昔の工夫でパタンと倒れるんです。風が回るようになるし、木の素性が良いからあえて残しています」

元からあるものを生かした、快適な空間

「LAに住んでいた当時の家は1930年に建てられたもので、僕の住むこの家はまだ50年しか経っていないわけです。

世界中の古いモノを積極的に取り扱う仕事をしている身でもあるので、古い建物なんだなって感じたことはありません。日頃から1950年代の古い家具をメンテナンスしたり、それよりもっと古い年代の椅子を張り替えたりしているので」

「築50年の家を自分なりにどう住みやすく改修していくのかと考える時間は、全く苦ではありませんでした。ペンキとかDIYも好きで、外の階段のセメント作業なんかも自分で行いましたよ」

「ダイニングテーブル前にある障子も昔から備えられていたんですが、傷んでいたので張替えました。奥の方は障子でなくカーテン仕様になっていたので、統一をするために大工さんに頼んで障子を備えてもらいました。
ポテンシャルがあると思った家をこうやってリノベーションして、家族と心地よく暮らしています」

世界中を飛び回り、帰国後についに理想の住まいを叶えた大坪さん。オリジナルをリスペクトし、さらに良いモノを追求していくという考えは、リノベーションにもうまく取り入れられていました。後編では、モノ選びのプロフェッショナルでもある大坪さんに、選び方の基準や趣味の楽しみ方を教えていただきます。

Photography/原田数正 Text/浅倉潤一