大坪洋介 さん
20代前半のころから30年近くLAで暮らし、後にファションビジネスを展開。ファションやライフスタイルのアドバイザーとして多岐にわたり活躍している。
20代前半のころから30年近くLAで暮らし、後にファションビジネスを展開。ファションやライフスタイルのアドバイザーとして多岐にわたり活躍している。
居心地の良い住まいを彩るように選び抜かれた、大坪さんがLA時代から時間をかけて集めてきた、インテリアをはじめとするコレクションの数々。
「日本に戻るとき、集めたコレクションの数は40フィートのコンテナ分にまで膨れ上がってました。ふるいにかけられて残ったモノたちが、今の家には溢れてるんです。これを家全体に広げると、もはやギャラリーのように見えてしまい、この家の良さが失われてしまう気がしました」
「だけど、コレクションは家を自分らしく住みこなすためには不可欠なもの。なので、一階の図書室や二階の書斎など、自分だけが使う空間に限定して広げてみることにしたんです。家族と時間を過ごす場所では、伸び伸びと明るく、シンプルなディスプレイを心がけてますね」
そんなコレクションたちは、ヴィヴィッドだけど部屋に馴染み、独特な色彩感覚でセレクトされている。それは、海外在住の間に培われたもの。
「学生の頃、LAで先輩の義兄が営んでいた、レインボーシューズという靴屋さんでバイトをしていたんですが、いろんな配色の靴の色に影響を受けて、色を楽しむのも良いんだと感じたんです。
年4、5回行く事があったスウェーデンのストックホルムでも、目の色素が私たちと違うのかと思うくらい、北欧の美しい色合いに感銘を受けましたね」
そういえば、と大坪さんが次に案内してくれたのは、重厚な壁で覆い尽くされたガレージ。扉を開けると、そこにはまさに男のロマンとも呼べるような光景が。
「これまでいろんな古い車にも乗ってきましたが、現在の愛車が世界に二台しか現存しない1958年式の英国のバックラーDD2というものです。
家と同じで、この車もいつか次世代を生きる誰かに託し、引き継いでもらえればと思ってます。そのために、継承者として愛情を持ってメンテナンスしたり、ドライブを楽しんだりしてます」
「常に考えていることは、自分は新しいライフスタイルを伝える架け橋になるんだ、ということ。感動したこと、美しいと思ったもの、この商品は使い勝手がいいとか、様々な角度でモノやことを研究していくと、まだまだ伝えたいと思うような欲求が湧き出てくるんですよね」
生活をより豊かにしてくために身に付けたい、大坪さんなりの選び方のアドバイスとは。
「例えば良いハサミを探すとき、コンビニで売られているものだけではなく、人類がはじめて生んだハサミから、一見ハサミに見えない物、高品質な使い勝手のいい物まで、色々見るんです。手間はかかりますが、そしてやっと選んだ物には、愛着が宿ります」
「どんなに小さい物でも、そうやってこだわる努力をしていけば、お気に入りの物が身の回りにどんどん増えていくことになります。素晴らしいことだと思いませんか?家や空間づくりも、その積み重ねでどんどん良くなります」
Photography/原田数正 Text/浅倉潤一