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家の中に小さな家!少女が建てた“aru HOUSE”があるおうち -後編-

DATE 2020.08.31 ようこそ私の家へ
リビングの一角に建つ小さなおうちaru HOUSEで暮らすaruちゃんは、小学6年生の女の子。小学校入学をきっかけに建てたこの家での暮らしぶりと、成長に伴う変化について、aruちゃんとお母さんのヒロコさんからお話を聞く。
(左)aru HOUSE家主 aruちゃん

都内の小学校に通う小学6年生の女の子。4歳から始めたというバレエ教室に週4回のペースで通っている。フランス好きで、パリの街を散歩するのが夢。

(右)お母さん ヒロコさん

結婚と同時に、都内に今のワンフロアマンションを購入。美術系の大学を卒業後は空間デザイナーとして活躍し、その経験を家づくりにも活かしている。

自分の家という自覚を持つことが何より重要

普段、aruちゃんがaru HOUSEで生活するうえで、お母さんのヒロコさんにはひとつのポリシーがあるという。

「ほんとにもう、本人に任せていて。わたしはノータッチなんです。ああ、ここはもうちょっとこうしたほうがいいんじゃないかなと思っても、決して口を出さないのが私のルール」(ヒロコさん)

6年前の小学校入学と同時に、まだピカピカのランドセルを背負ったaruちゃんがaru HOUSEの主になった。家が完成した時のことを、aruちゃんは「大人みたいな感じがした」と振り返る。実際、それを境に多くの成長の変化が見られたのだそう。

「まさに責任感が生まれました。あと、集中するクセが付いたかな。やっぱりひとつの空間でずっと一緒にいると、いつも見えてしまうからプライバシーがあまりないんですよ。

aru HOUSEはドアもガラスで程よく抜けがあるから、中の様子が見えるし息が詰まらない。お互いの気配を感じながらも集中できる時間が増えて、わたしも自分の時間を持てるようになりました」(ヒロコさん)

半個室のスペースが、親子間にちょうどいい距離感を生んで、もともとピタリと息の合った関係性がさらに円滑になったという。さらに、家族の就寝スタイルにも変化が。

「2階のベッドでひとりで寝るようになりました。それまではベッドに親子3人川の字で寝てて、もう限界だなーって思ってたので(笑)」(ヒロコさん)

「自粛期間中は家があって本当によかったなって」

おこもり生活の間も、起きてから眠るまで、一日一日をaruちゃんらしく過ごすことが出来たそう。

「自粛期間中も、この部屋があったから全然ストレスがなかったみたいです。午前中はラジオを聴きながら勉強する、というような規則正しい生活を過ごせました。自分の好きな空間がちゃんとあったことがよかった。イライラするとかもなくて、この環境を平常心で楽しむのにすごく役立ったというか」(ヒロコさん)

机の上に置いたラジオは、aruちゃんの生活に欠かせないもののひとつ。

「お父さんが誕生日にラジオをくれて、それで聞いてる」(aruちゃん)

それからというものラジオの魅力にすっかりハマってしまい、ハウス内に常に番組表を貼っているほど。ラジオ中心の生活も、日々を一定のサイクルで送るための秘訣となっているよう。

「自然と好きなチャンネルが固まってきて、そこからはもうその時間になったらラジオをつける、みたいな生活。聴きながら作業するのに、この狭さがちょうどいいみたい。コックピッド感覚で、使い勝手も良いそうですよ」(ヒロコさん)

「座ったままでパッパッて物を取れるからね」(aruちゃん)

コンパクトな空間は予想以上に居心地がよく、耳からさまざまな情報を入れながら集中して作業をするには最高の環境なのだとか。

未来をイメージしながら人生の節目に合わせる

「aru HOUSEを建てたのが、時間とか責任感とか社会性とかを意識する入学のタイミングでよかったなって思います。自分の居場所を持つことで、一日のルーティンを自分で律することができるようになったし、生活にメリハリもついた。子どもの人生の節目に合わせてあげることが大切ですね」(ヒロコさん)

小学校入学と同時に建てたaru HOUSEは、aruちゃんが高校生になるぐらいまでを想像しながら建てたという。

「行き当たりばったりじゃなく、キチンと考えて作りました。aru HOUSEから制服のaruが出てくるイメージはしてましたね」(ヒロコさん)

ドアを入って正面。

右側。

「最近は教科書が増えてきたから」とaruちゃん。年齢が上がるにつれて変わる持ち物を自分でキチンと管理している。完成当初はおもちゃがずらりと並んでいたという棚にも、今では推理小説やマジックの本など、aruちゃんの愛読書がきれいに並べられている。

「ゆくゆくは本が置けるように、文庫本のサイズを測って、まだ幼稚園児だったaruと相談しながら作りました。それから、幼ない頃からものづくりが好きだったから、机が作業台としても使いやすいように、横に長く作ってもらいました」(ヒロコさん)

すっきり心地よく暮らすためにも、家を作る時にはサイズが合っているかどうかが一番大切、とヒロコさんは語る。aru HOUSEを建築した際は、まず基本的な家具を購入し、それらのサイズに合わせて図面を調整し直したのだそう。

「必要なのは、机、ベッド、タンスだなって。それぞれの家具の縦横の幅に合わせて壁のサイズや机の高さを変えたりして。もちろん作り付けだったら素敵だけど、やっぱり費用は高くなるから」(ヒロコさん)

子どもが毎日わくわくできるような空間に

こうして、家族みんなの努力が結集されて完成したaru HOUSE。aruちゃんは、一日のほとんどの時間をこの家で過ごすという。

「宿題したり、オンライン(授業)したり、窓からおやつをもらって食べたり。王様みたいな感じになれる。誰もいないけど自分が支配してるみたいな。自分ひとりでいられて好きなことができる。自由になれる空間でジャマされないの」(aruちゃん)

「aruが自分の家を好きで気に入っているのは、本人の意思と自由がこの家に詰まっているから」とヒロコさん。

「子どものやりたいことをどこまで尊重してあげられるか。本当は納得いってなかったり、親の言う通りにしたっていう意識があると、しこりが残ってしまって気持ちよく暮らせないと思うんですよね」(ヒロコさん)

最後に、一番大切なのは、家を建てるという一大イベントを家族全員で楽しむ ことだと教えてくれた。
「最初から家づくりの過程を一緒に体験するからこそ、子どもにとって実体験 を通しての学びになるし、ずっと大切に住んでくれますよ」(ヒロコさん)

aru HOUSEの完成から、もうすぐ6年。ヒロコさんは、aruちゃんの長所を「何かあった時にも、すぐに頼らず対処しようとするところ」と語る。力強く自由に生きるための能力は、家づくりを通してさらに培われたに違いない。
両親の温かなまなざしを一身に受けて、今日もaruちゃんは、大切な我が家をベースに、自分の人生をめいっぱい謳歌している 。

Photography/原田数正 Text/白﨑寛子